社会問題

【大学生が社会を変えられる?】私たちがChange.orgを通して社会のためにできること【後編】

こんにちは、ヒナです。この記事は以前投稿したChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)のインタビュー記事の後編です。

ぜひ前回の記事をチェックしてからこの記事を読んでください。前回の記事では、大学生がChange.orgを通して立ち上げたキャンペーンについてお話してきました。今回の記事はその続きで、キャンペーン立ち上げの際に大切なポイントなどもお話していきます。

 

 

記事一覧・目次
前編
Change.orgって何?
社会に影響を与えたキャンペーンの例ーマスクの転売の禁止ー
大学生だって社会に影響を与えることができる
 ①JOC森元会長の女性蔑視発言
 ②生理用品を軽減税率対象に
 ③ミャンマーの人々をクーデターから守って

 
後編
大学生だって社会に影響を与えることができる
 ④大学の学費軽減
 ⑤外見を卑下する広告の禁止
大きいムーヴメントだけが成功じゃないー山形大学の並木道ー
インターネット上での署名は不正が起こりにくい?
ワンクリックで賛同できるという気軽さー海外のキャンペーンにも賛同が可能ー
具体的な要望と仲間がいれば
自分が声を上げることには価値がある
編集後記

 

大学生だって社会に影響を与えることができるー大学の学費軽減ー

加藤:2020年に緊急事態宣言が出て、それに伴って学費の軽減を国や大学に求めるキャンペーンが約170立ち上がりました。一部の大学生が始めるとSNS等で拡散され、他の大学生にも影響を与えました。国内の大学生だけの問題ではなく、留学が延期になった学生も注目されるようになりました。海外の学校が留学を中止・延期したことが原因で、奨学金も打ち切ることがいくつも起こりました。しかし、海外にいる人は帰って来れなかったり、帰ってきても復学復学できるのか分からなかったりしました。そこで立ち上がったキャンペーンが「新型コロナウイルスによる海外留学奨学金の支援中断について、 奨学金支援の継続を要望します!!」です。

 

加藤:このキャンペーンは文部省が奨学金の打ち切りを考え直すきっかけになり、結果的に留学先の留学先に残る学生や、帰国してリモートで海外の大学の授業を受ける学生、帰国して日本の大学で授業を受けることを決めた学生の支援の継続が決定しました。コロナ渦で社会全体でも、家庭的な面でも経済的な状況が悪化したことで教育の継続が難しくなったことが社会的な問題となりましたが、そこで声をあげることで状況を改善できる場合があるのもムーヴメントを起こすメリットだと思います。

 

ー確かに、学費免除は各大学で話題になっていたのは覚えています。ICUでも設備費の免除を求めるオンライン署名活動がChange.orgではないのですが、立ち上がり、私も署名しました。結局設備費が免除になることはありませんでしたが、非常に納得できる説明が返ってきたので満足できました。

 

大学生だって社会に影響を与えることができるー外見を卑下する広告の禁止ー

加藤:Youtubeの女性の体毛に関する広告のキャンペーンを立ち上げたのも大学生です。まだ提出はされていないのですが、5万近くの賛同が集まっています。

 

加藤:このキャンペーンは今でも月1以上のペースでニュースなどに取り上げられています。このキャンペーンから実際にYahoo!が外見のコンプレックスを露骨に表現する広告出稿を禁止にするなど、大きなムーヴメントに発展しています。

 

大きいムーヴメントだけが成功じゃないー山形大学の並木道ー

加藤:ここまで、大きなムーヴメントに発展したキャンペーンを紹介してきましたが、Change.orgは小さくても成果が出ているキャンペーンも大事だと思っています。何をもって成功とするかはキャンペーンやその発信者によって異なります。山形大学の例を紹介します。大学構内に地元で人気の並木道があったのですが、キャンパス内の工事に伴い並木の伐採が決まりました。それに反対するキャンペーンが立ち上がり、結果的には一部の木が切られたのですが、並木自体は残されました。

加藤:キャンペーン発信者は成功宣言を出し、地元の山形新聞にも取り上げられました。これは非常にローカルな事例で、賛同者も394人と、このインタビューでご紹介してきた他のキャンペーンと比べると決して多くありません。しかし、地元の人にも思いが届き、大学に提出することで工事の事業者の人たちとの話し合いの場が持たれ、結果として、「工事はするけど、並木道は残す」という両者が納得できる形に着地できました。このように、賛同者数が多くなくても、成功と言えるキャンペーンもあります。

 

インターネット上での署名は不正が起こりにくい?

ーここまで、大学生が立ち上げたキャンペーンを中心にChange.orgで私たちにできることをお話して頂きました。Change.org Japanのシステムについての質問です。Change.org Japanでの活動はほとんど全てがインターネット行われていますが、署名の水増しなど不正にはどのように対応されているのですか?

加藤:特に最近、署名の水増しが問題視されるようになりました。Change.orgには、ユーザーの認証がされないと署名が有効にならないなど、署名の水増しが起こっていないかチェックする仕組みがいくつかあります。また、同一ユーザーが複数のメールアドレスを作った場合もそれを検知するセーフガードシステムが走っています。そのため、署名の数は実数にかなり近い状態だといえます。また、そのような不正はインターネット上だから起きてしまうことではなく、オフラインで手書きの署名を集める場合にも起こりうることです。オンラインで会員登録というステップを挟むことでオフラインよりも水増しが起きにくい状況だと考えています。

 

ワンクリックで賛同できるという気軽さー海外のキャンペーンにも賛同が可能ー

ーChange.orgではキャンペーンを立ち上げるだけでなく、賛同も簡単にできることが印象的です。

加藤:私たちは「声をあげること」は「キャンペーンを立ち上げること」だけでなく「賛同すること(ワンクリックで署名すること)」も含まれるものだと考えています。キャンペーンを立ち上げるのは難しいと思う人も、まずは賛同することで「声をあげる」アクションに加わって欲しいと思っています。

 

ー私は日本のChange.orgを使っているのですが、海外のChange.orgの活動に賛同することも可能なのでしょうか?

加藤:サイトの言語を変更すれば、その言語の国のキャンペーンの閲覧が可能です。また、キャンペーンのURLをクリックして貰えばそのままキャンペーンページに飛ぶことも可能です。

 

具体的な要望と仲間がいれば

ームーヴメントを立ち上げる際に重要なことは何ですか?

加藤:キャンペーン立ち上げにあたり、心に留めていただきたい大切なことがあります。それは、署名は数を集めれば成功と言えるわけではない、ということです。何千何万も賛同が集まると「もうこんなに署名が集まっているんだから、物事は変わるだろう」と思ってしまうこともあると思います。しかし、賛同者が集まっただけでは、多くの物事は変わりません。意思決定者(変えたいと思っていることを、実際に変える権限を持つ人。署名を提出する相手)に署名を提出し、変えてもらえるように対話をしていけるよう、具体的なアクションを起こしていくことが大事です。

 

ー他にも意識するべきことはありますか?

加藤:キャンペーンを立ち上げる際の要望は漠然としたものではなく、具体的な要望に落とし込むことが非常に大切です。例えば「今すぐ地球温暖化を止めてください」と言っても、地球温暖化に対するアプローチの仕方は数え切れないほどあります。「温暖化を止めるためになにをして欲しいのか」が意思決定者に伝わりませんし、賛同者も「自分はなにに賛同するんだろう?」と、定まらない状態になってしまいます。そのため例えば、「2030年までに二酸化炭素排出量を20%削減してください」や「プラスチックゴミを10%削減する法律を作ってください」というような具体的な案を作っていくことが大切です。そうすることで、意思決定者の人たちもリアクションがしやすくなりますし、「これは私にも関係のある問題なんだ」と思って賛同してくれる人も増えると思います。

 

―キャンペーンを立ち上げたあとで大切なことはありますか?

加藤:ムーヴメントを盛り上げる方法も様々です。最近特に注目されていて問題が可視化されやすいのが、ハッシュタグを利用したSNSでの投稿・拡散です。ハッシュタグをつけることでより多くの人が発言する機会を作り、大きなうねりとなることはあると思います。また、できれば身近なところで、またはインターネットを通じてでもいいので、一緒に動いてくれる仲間を作ることは活動を継続する上で非常に重要だと考えています。キャンペーンには誰でもワンクリックで賛同できますが、それだけでなく、周りの人にキャンペーンについて話してみたり、自分のSNSでシェアしたりすることで、身近で応援や協力をしてくれる人を増やしていってください。。例えば、大学生でジェンダーの問題でキャンペーンを立ち上げようとするなら、大学でジェンダーを教えている先生にアクセスしてみたり、そのような問題に関心がある政治家さんにアクセスしてみるなど、応援してくれる人を探し、繋がっていくことがキャンペーン自体の信頼感をあげることに繋がり、キャンペーンの要望の内容に厚みを増していくのだと思います。

 

自分が声を上げることには価値がある

ーキャンペーンを立ち上げることに興味のある人が大切にすべきことはなんですか?

加藤:根本的に大切にして欲しいのが、自分の声には価値があることを信じることです。日本には「出る杭は打たれる」ということわざがありますが、目立って声を上げると反対意見をぶつけられたり、「声をあげても無駄だ」というように声を上げること自体を揶揄するような意見を目にすることも結構あり、それに傷つくこともあるかもしれません。しかし、そうした声の数以上に、賛同してくれる人やあなたと同じ思いを持っている人たちに、キャンペーンを通してたくさん出会うことができます。そのため、自分が声を上げること、自分が発信することには価値があると信じることが、キャンペーンでより多くの人を巻き込み影響力を持つために必要なことだと考えています。あなたの声には価値があるから、遠慮しないで声をあげて欲しいと思っています。

 

ー現代の日本の社会では、変わりつつあると言ってもまだ異質なものを嫌がる傾向があると感じます。そのような中で、キャンペーンを立ち上げる人をChange.orgはどのようにエンパワーしていますか?

加藤:Change.orgのサイトの存在自体が応援になっていると感じます。サイトを使えばキャンペーンを簡単に立ち上げることができます。紙で署名を集めることはオンラインに比べてより多くの時間や労力を必要とします。署名用紙を作って印刷して、署名活動の場所を確保して、署名活動に携わる人のシフトを組んで…。こういうところに力を割いた結果、一番力を使って考えるべきとこまで体力を温存できない場合もあると思います。Change.orgだと150秒の動画を見て簡単にキャンペーンを立ち上げることができ、広める時もSNSやメールを使って拡散できるシステムがあるので、それだけで他の労力を省くことができます。そうして空いた労力や時間を「どのように活動を盛り上げていくか」「協力してくれる影響力のある人にどう繋がるか」といった、問題の解決に向けてもっと大事なことに使うことができます。このようなプロダクトの仕組み自体が、キャンペーンを立ち上げる人たちに対しての大きな応援になっていると思います。

 

―加藤さんはChange.orgの中で具体的にどんなことをされているのですか?

加藤:僕はキャンペーン・サポーターという肩書きで働いています。キャンペーンの立ち上げにアドバイスしたり、署名提出に着いていったりするなどしています。「自分の声を上げるにはどうしたらいいんだろう」「そもそも自分の声をどうやってまとめたらいいか分からない」と思っている人たちに対して「提出に向けて予定はどうなっていますか」「本文をこのように変更するともっといいですよ」「この人にアクセスしてみるといいですよ」とアドバイスをしたり、一緒に声を上げる方法を考えたりするなどという形でも応援しています。また、月に一回初心者向けオンラインワークショップも開催しています。

 

ー大学生に向けてメッセージをお願いします。

加藤:声を上げている人や上げたいと思っている人を応援したいと強く思っています。皆さんも声を上げたいと思っていることや気になることがあるかもしれません。もし自分に声を上げる自信がなかったら、ワークショップに参加してみるなど、Change.orgと一緒にどのように自分の声を形にできるか考え、一緒に動いていきましょう。

 

編集後記
今回のインタビューのポイントは「声を上げる」ことと「自分の声には価値がある」ということだと思います。元JOC会長の森氏の女性蔑視発言には驚いたと同時になかなか進歩しない日本の社会に憤りを感じてしまいました。他の問題でも同じように感じている人はいるのではないでしょうか。しかし、そこでキャンペーンを立ち上げてくれる人やその発言は間違っていると声を上げる人がいて、その声に賛同する人が十数万人もいます。この事実を私たちは誇りに思うべきだし、ゆっくりでも着実に社会は変わりつつあると感じます。
また、そのような社会の変化のためのツールの一つとしてChange.orgがあるのだと思います。ワンクリックで賛同できるという手軽さに加えてキャンペーンには具体的な行動が示されているため、キャンペーンが社会に影響を与えたときに自分もその一部になれたと感じることができるのもChange.orgの特徴だと思います。是非自分が賛同できるキャンペーンを探しに、Change.orgのサイトをチェックしてみませんか?

 

 

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