社会問題

【2】ハイヒールをはいた僧侶 西村宏堂さんの考える「自分らしさ」と試練の乗り越え方

こんにちは、ヒナです。今回の記事は前回に続き、ハイヒールをはいたお坊さん、西村宏堂さんのインタビュー記事の第二回です。第一回では、メイクやおしゃれが西村さんにどのような影響を与えたのか、またおしゃれが周りの方にどんな影響を与えるのかをお聞きしました。第二回では、自分らしく活動を続けるためのモチベーションの保ち方と、物事に対して憤りを感じた時に、それを自分のパワーに変える方法をお聞きします。

>> 前回の記事を読む
【1】 世界で活躍されるメイクアップアーティストの西村宏堂さんにとってメイクとは?

 
西村宏堂さんのご書籍 :正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ 
 
記事一覧

【1】 世界で活躍されるメイクアップアーティストの西村宏堂さんにとってメイクとは?
1. 20代の頃からメイクアップアーティストとして世界で活躍されてきた西村さんにとってメイクとは?

2. おしゃれは自分の発信を聞いてもらうための武器である

【2】 ハイヒールをはいた僧侶 西村宏堂さんの考える「自分らしさ」と試練の乗り越え方
3.自分らしさを保つには、良いモチベーションと悪いモチベーションを使いこなす。相手に見下された時こそ丁寧に接しよう

4.偏見ある社会に憤りを感じた時こそ、ポジティブな気持ちを持とう

【3】 西村宏堂さんと考える、世間のこうあるべきやカテゴリーと上手につき合う考え方
5.メディアの性的マイノリティの描き方への違和感

6.自分をカテゴリーに当てはめなくても大丈夫

4】 西村宏堂さんの24年間隠し続けたセクシュアリティと家族へのカミングアウトの瞬間
7. 家族へのカミングアウト

【5】 西村宏堂さんと考える、社会で違和感を抱いた時に私たちができること
8.違和感には声をあげ、より良い社会にしていこう

9. ICU PRISMメンバーからの感想
編集後記

 

3.自分らしさを保つには、良いモチベーションと悪いモチベーションを使いこなす。相手に見下された時こそ丁寧に接しよう

ー西村さんはLGBTQ+の当事者として積極的に発信・活動されていますが、その中でどのようにモチベーションを保たれていますか。

西村:私は良いモチベーションと悪いモチベーションの両方を持っています。良いモチベーションは「自分と自分を肯定してくれる人たちのために頑張ろう」と思うことです。私はそのような人達のために、完璧じゃなくてもベストを尽くしているんだと思えば、やる気が出ます。

もう一つの悪いモチベーションは、誰かに対して「勝ちたい」と思うこと例えば「あの時に学校の子達に無視されて仲間はずれにされたから、私が努力をして、『あの時に友達になっておけばよかった』と思わせたいな」とか、私のことを馬鹿にした人には「私の方がメイクが上手い、悔しいなと思わせたい」と自分を鼓舞します。

他には「自分には乗り越えられる力があるから、この挑戦を与えられているんだ」「この方は自分を成長させてくれるための先生なんだ」と、厳しい試練を乗り越えることでもっと良い結果が生まれるのだと、ポジティブに受け止めます。

さり(P):ICU PRISMで活動していると、「LGBTQ+」は触れにくくて難しいイメージを持つのか、横柄な態度でLGBTQ+に関する説明を要求されることがあります。LGBTQ+に限らず、横柄な態度をしてくる人に対してどのように接するのがいいのでしょうか。

西村:私は上からの態度をとる人に対しても、大人目線でいた方が自分が嫌な気持ちがしないと思っています。こんな失礼な人がいたけど、私は優しく接することができた、という時の方が、自分の中で自分をもっと好きになれるから、相手のレベルに自分を引きずり下ろさないようにしています。相手の態度がすごく悪かったとしても、絶対に自分のレベルを落とさないで、さらに丁寧に接することが尊敬してもらえる自分の将来に繋がるのだと思います。

4.偏見ある社会に憤りを感じた時こそ、ポジティブな気持ちを持とう

ーLGBTQ+についてお話しします。今の社会はマイノリティの方に対する極端なイメージを持っている人がまだ多いと感じます。例を挙げるとしたら「オネエの人は派手なメイクをしている」「ゲイの人は男性の考え方も女性の考え方も分かるんでしょ」などです。このようにマイノリティのイメージが偏っていることについてどのようにお考えですか。

西村:確かにそうかもしれませんね。しかし、それは私が当事者として「いろんな自分」を発信していくことで、その偏りを和らげていけると信じています私自身小さい時には、ニューハーフ、オカマ、オネエなどと言われ揶揄われたことがあります。LGBTQ+の人々に対して「気持ち悪い」という印象が世間一般的にあり、私もそう思っていました。そのため、自分がそこに含まれていることがすごく怖かったです。

しかし、私がアメリカのパーソンズ美術大学に通っていたときに、そこの学部長や先生たちが自分はLGBTQ+だと公言していました。自分の中にあったLGBTQ+のイメージじゃない人々がみんなから尊敬されているのを実際に目の当たりにし「こんなに素晴らしい人がいるなら、LGBTQ+は悪いことじゃないんだ」と思えるようになりました。さらに、調べてみるとアップルのCEOのティム・クック氏や、日本の歴史だと織田信長がLGBTQ+だということが分かりました。外見だけでは人間のセクシュアリティは誰にもわからないことを実感しました。

自分がLGBTQ+でお坊さんだからこそ、これまでのお坊さんのイメージや「LGBTQ+の人々は派手なメイクをしている」という固定観念を壊すきっかけになると思っています。

さり(P):最近twitterで、ゲイをカミングアウトした俳優さんがいらっしゃるのですが「自分がゲイであることが作品のイメージを壊してしまうのではないか」と心配されていました。もちろんゲイを公表する俳優さんがいていいはずだし、俳優さんのセクシュアリティはちゃんと作品の役に向き合っている限り、演技には関係ないと考えています。一方で、異性愛者であることを期待されて(自分を偽って)俳優業を続けてこられたことを想像すると、マイノリティを認識できていない社会に悲しくなりました。自分らしく生きられない人がいらっしゃることに悔しさを感じます。

西村:理解が遅れている社会に憤りを持つことはぐっと堪えることが大切です。マイノリティについて社会の理解がないのは、勉強する機会に恵まれず、当事者じゃないと興味がない、関係ないと思っている人がたくさんいるからではないでしょうか。

だから、自分一人だけでも、やっとそのことに憤りを覚えられるようになっただけでも前進しているのではないでしょうか。そして大切なのは、理解が遅れている社会で、さりさんが生きていく中で、これからその問題に向き合い、進んでいくことです。遅れている社会に対しては大目に見てあげて「この世界にはこういうことで悩んでいる人もいるんですよ。だからみんなで支えていきたいですね」という気持ちで、ポジティブな面を見ていくことが、ちゃんと前に進んでいける方法だと私は思っています。

「偏見だらけの社会なんてダメじゃないか、なんでマイノリティについて知らなかったの」と言ってしまうと初めて知った人はもっと知りたいという気にならないですよね。そうではなく、丁寧な態度で接することが、偏見をなくすステップになると考えています。誰にでも苦手なことはあります。だからLGBTQ+について学ぶことを難しく感じる人もいて当たり前だろうなという目で見てあげることが大事なのではないでしょうか。

今回の記事はここまでです。第三回では、メディアの性的マイノリティの描き方に感じたモヤモヤを、西村さんと一緒に考えます。ぜひ続きもチェックしてください!

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【3】西村宏堂さんと考える、“世間のこうあるべき”やカテゴリーと上手につき合う考え方

この記事はガクセイ基地メンバーの西木桃子と作成したものです。

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