社会問題

【4】西村宏堂さんの24年間隠し続けたセクシュアリティと家族へのカミングアウトの瞬間

こんにちは、ヒナです。 今回の記事は前回に続き、ハイヒールをはいたお坊さん、西村宏堂さんのインタビュー記事の第四回です。第三回では、世間のこうあるべきという固定観念やカテゴリーに囚われずに、自分の好きな物を好きと表現したり、カテゴリーをうまく使ったり使わなかったりを選択して生きることが自分らしさに繋がるのだとお聞きしました。

第四回では、LGBTQ+の当事者である西村さんと、ICU PRISMメンバーがカミングアウトした際に苦しんだことをお聞きします。彼ら・彼女らの周りでは「カミングアウトの必要がなくなってきている」という前向きなお話も印象的です。

LGBTQ+って何だろう?という方はこちらをチェックしてください!
現役大学生によるLGBTQ+に関する用語解説!入門編
 

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【3】 西村宏堂さんと考える、世間のこうあるべきやカテゴリーと上手につき合う考え方

 

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記事一覧

1】 世界で活躍されるメイクアップアーティストの西村宏堂さんにとってメイクとは?
1. 20代の頃からメイクアップアーティストとして世界で活躍されてきた西村さんにとってメイクとは?

2. おしゃれは自分の発信を聞いてもらうための武器である

2】 ハイヒールをはいた僧侶 西村宏堂さんの考える「自分らしさ」と試練の乗り越え方
3.自分らしさを保つには、良いモチベーションと悪いモチベーションを使いこなす。相手に見下された時こそ丁寧に接しよう

4.偏見ある社会に憤りを感じた時こそ、ポジティブな気持ちを持とう

【3】 西村宏堂さんと考える、世間のこうあるべきやカテゴリーと上手につき合う考え方
5.メディアの性的マイノリティの描き方への違和感

6.自分をカテゴリーに当てはめなくても大丈夫

【4】西村宏堂さんの 24年間隠し続けたセクシュアリティと家族へのカミングアウトの瞬間
7. 家族へのカミングアウト

【5】 西村宏堂さんと考える、社会で違和感を抱いた時に私たちができること
8.違和感には声をあげ、より良い社会にしていこう

9. ICU PRISMメンバーからの感想
編集後記

7. 家族へのカミングアウト

ー西村さん自身は長い間ずっとカミングアウトをしてこなかったそうですが、カミングアウトする「前」とした「後」で何か変わったことがあれば教えていただきたいです。

西村:私は、自分の親に自分が同性愛者だとばれることを一番恐れていました。なぜなら、カミングアウトしたことで親に捨てられてしまった、という友達が身近にいたからです。しかし、親に打ち明けたときに、何も心配することがなくなって、誰に対しても「彼がいたことがある」「メイクが好き」「ミュージカルが好き」と言えるようになりました。頭の上の漬物石がなくなったかのようにすごく軽い気持ちになりました。

ーそうなんですね。ご両親に伝えることが最難関だったんですね。

西村:そうですね。大事な人だからこそ、言えなかったんです。

さや(P):私はカミングアウトするとき、両親に手紙で伝えたのですが、それ以降その話題が一切家の中でされないようになりました。私はやっぱり認めて欲しくて、伝えたことに対してどう思っているのか知りたかったです。それをまた話題に出していいのか、出した時に、自分が期待している言葉が返ってこなかったらどうしよう、と不安になります。自分からまた両親に聞き直した方がいいのか、まだ何もしないほうがいいのか分かりません。

西村:難しいですね…。今聞きたいと思いますか?

さや(P):聞きたいです。答えがまだもらえていないので。

西村:いつカミングアウトしたんですか?

さや(P):ちょうど一年前くらいです。

西村:それからご両親の態度は変わりましたか?

さや(P):デートに行くと言うと、良い反応はされないです。他の友達と遊びに行くって言った時のような反応はないです。それに関して全く話題に上がらないことが怖いです。

西村:怖いし、突き放されたりがっかりされたりすることもあると覚悟を持って、私だったら正直に自分の気持ちを話します。「私は両親が反対するかなと思ってるし、期待してた通りじゃなくてがっかりさせていたら嫌だなあと思っている」とまず自分が今抱いている不安を正直に話します。その上で「でも私はこういうセクシュアリティで、家族がどう思っているのか知ることができれば、もっとお互いの心が通じ合って私も晴れやかな気持ちになると思ったの。もっと家族のためにできることが増えるかもしれないと考えているの。」と伝えます。

そしてその話をして欲しくないんだったらしない。だからって私が変わるわけでもないし、家族を嫌いになったりもしない。私のセクシュアリティが変わる理由にもならない。不安はいっぱいあるけれど、はっきりさせておいた方が、私が気持ちよくコミュニケーションを取れるようになるしお互いのためにいいと思ったの。だから、家族の正直な気持ちを教えてほしい。聞くのは正直すごく怖かったけど、どう思っている?と聞いてみます。

思っている不安は全部伝えて、あなたのため、私のため、みんなのためにいいと思って悩んでいて、聞けなかったけれど、前に進みたいと思っていることを伝えてみるのはどうでしょうか。今すぐに聞かなくてもいいんだったら、聞かなくてもよくて、聞かなきゃ進めない、もう他のことも考えられない、となった時に聞けばいいと思います。

 

あっきー(P):私は、両親に自分がバイセクシャルであること、トランスジェンダーであることをカミングアウトしました。その時は「そう言えば」と軽い感じで話しましたが、後になって軽く打ち明けたために、真剣に受け止めてもらえなかったのではないかと考えることもあります。

西村:どちらでもいいんじゃないかな。性格も、カミングアウトの状況も人によって違うから、シリアスになると言えない人もいるし。シリアスにする方がいい人は手紙を書いたり、シリアスが得意じゃない人はディズニーランドに行った時に話したり…。自分でできると思える方法で「心を開いてみんなのために、いいと思ってやっている」を伝えることがベターだと私は思います。

 

ー西村さんが実際にカミングアウトされた時、ご両親との関係にどのような影響がありましたか。

西村:もっと仲良くなれました。それは、今までずっと隠していたことからの後ろめたさや罪悪感、不安がなくなったからだと思います。母に「このメイクどうかな?」と聞けるようになったり、父に「付き合っている人が家に遊びに来るからね」と言えるようになったりしました。

それまではハラハラしながら付き合っていたので、私はカミングアウトしてすごく良かったです。しかしそれは受け入れてもらえたから良かったと言えるのだと思います。受け入れてもらえない場合もたくさんあるから、カミングアウトすることが怖くなっちゃうんですよね。それでも一生家族と一緒に生きていくわけではないし、家から出れば違う人と暮らすこともできるので、カミングアウトはしてもいいし、しなくてもいいし、本当に自分が安心できればいいと思います。

 

ーカミングアウトすることに対してどうお考えですか?

あっきー(P):カミングアウトをしなくても受け入れてくれる人も増えてきており、カミングアウトの重要性は減ってきていると感じます。西村さんはどのように感じますか。

西村:私もカミングアウトの重要性が減ってきて、日本でも理解が進んできていると感じています。「どんな人がいるかわからないよね」「どんな人でもありえるよね」と思っている人が増えてきたので、それは素晴らしいことだと思います。

LGBTQ+への理解は、国や地域がそれぞれのペースで進歩しているので、スピードが地域によって違うかもしれません。役に立てるところは立ちたいと思うし、学べるところは学んで、理解していきたいです。木がいきなり大きくなることができないのと同じで、人の考え方は時間がかかって成長していくものなので、すぐに変わることは難しいと思っています。でも私はこの成長をすごく嬉しく思うし、速やかに成長をしていけるように周りが支えることが良いアイデアだと信じています。

今回の記事はここまでです。最終回では、LGBTQ+への理解不足から起こる社会問題などについて、一人ひとりがどう向き合うか、西村さんと考えます。ぜひ続きもチェックしてください!

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【5】西村宏堂さんと考える、社会で違和感を抱いた時に私たちができること

この記事はガクセイ基地メンバーの西木桃子と作成したものです。

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