こんにちは、ヒナです。みなさんはChange.org(チェンジ・ドット・オーグ)という団体をご存知ですか?
アメリカ発のオンラインで署名を集めるサイトで、ワンクリックで賛同をすることができたり、簡単に活動を始められることができたりするのが特徴です。
私がChange.orgを知ったきっかけは体毛が生えている女性を揶揄する脱毛の広告をYoutubeで廃止するムーヴメントでした。
そこで、Change.orgの署名で社会をより良くするための活動に参加できる点に魅力を感じ、より多くの人にChange.orgの存在やそこでできることを知ってもらいたいと思い、今回取材をお願いしました。
今回の記事は二つに分けて構成されています。後日公開される後編もぜひチェックしてくださいね。
大学生が立ち上げたキャンペーンを見ながらChange.orgがどんな団体で、私たち大学生とどのように関係しているのか、自分たちがChange.orgで何ができるのかなどをChange.org Japanのキャンペーン・サポーターで、私と同じICUの卒業生の加藤悠二さんに教えていただきました。
公式サイト
Change.orgって何?
社会に影響を与えたキャンペーンの例ーマスクの転売の禁止ー
大学生だって社会に影響を与えることができる
①JOC森元会長の女性蔑視発言
②生理用品を軽減税率対象に
③ミャンマーの人々をクーデターから守って
後編
大学生だって社会に影響を与えることができる
④大学の学費軽減
⑤外見を卑下する広告の禁止
大きいムーヴメントだけが成功じゃないー山形大学の並木道ー
インターネット上での署名は不正が起こりにくい?
ワンクリックで賛同できるという気軽さー海外のキャンペーンにも賛同が可能ー
具体的な要望と仲間がいれば
自分が声を上げることには価値がある
編集後記
目次
Change.orgって何?
ーChange.orgとはどのような団体ですか?
加藤:Change.orgは誰もが変えたいことについて声をあげて、社会に変化をもたらすことを目的としたインターネットのプラットフォームです。私たちが「キャンペーン」と呼んでいるオンラインでの署名活動を軸に、自分が変えたいと思っていることを変えるための一連の活動をサポートする様々な機能を提供しています。キャンペーンの立ち上げ、キャンペーンページの作成、応援したいキャンペーンへ賛同などのサービスが全て無料でできるサイトです。
ー無料で全てできるということですが、Change.orgの運営はどのようにされているのですか?
加藤:Change.org Japanは非営利型の一般社団法人という形で運営をしています。Change.orgはもともとアメリカで始まった団体なのですが、そこではパブリック・ベネフィット・コーポレーションという非営利型の枠組みで社会の利益のために働くことを目的とした企業として運営をしています。パブリック・ベネフィット・コーポレーションの例として日本にも進出しているパタゴニアさんを挙げることができます。つまり、Change.org自体はアメリカと日本では運営の形式が違うだけで活動の内容は同じです。
ーそこで気になったのですが、Change.orgの運営資金はどこから出ているのですか?
加藤:現在は、市民の方からの寄付で成り立っています。日本では月々500円から会員になることが可能です。企業や行政からお金をもらってしまうと、スポンサーフィーや支援をいただいた時に「お金をもらったから何も言えない」「このキャンペーンは取り下げた方がいいんじゃないか」というような忖度が生まれてしまいます。そのようなことを避けるために、100%市民の皆さまからの寄付で運営を行なっています。
ーその方が平等で公正なキャンペーンになりますね。Change.orgがスタートしたきっかけも知りたいです。
加藤:現在Change.orgのCEOをしているカリフォルニアのベン・ラトレイさんが2007年にChange.orgを立ち上げました。きっかけは彼の弟が同性愛者であるとカミングアウトしたことです。そこで、自分がこれまで少数派と言われる人々に対して無関心であったことを恥じ、社会をよりよくしていくためにできることはないかと考えこのサービスを始めました。もともとサービスの一部に署名を集める機能があったのですが、途中から署名に特化したサービス運営に変わりました。その背景には2011年に南アフリカでレズビアンの女性が性被害に遭うことが多発していたことがあります。
加藤:そのような事件を止めることを政府に訴えることを目的としたキャンペーンが始まり、それが世界中で反響を呼び、170カ国17万人もの人々から署名を集め、政府に働きかけるきっかけとなりました。そのような経緯もあり、署名機能に特化した団体となりました。
ー日本でも女性蔑視発言をした当時のJOCの会長、森喜朗氏に関するキャンペーンがChange.orgでもいくつか立ち上がっていましたね。森氏の処遇の検討を求める署名が集まるなど社会に大きな影響を与えたと思います。Change.orgでワンクリックするだけで、社会に大きな変化をもたらすことができるのは素晴らしいことだと思います。
加藤:賛同はクリックだけでできますし、コメントを残すこともできます。そのような小さなステップから始められるのがChange.orgの大きな特徴だと思います。
社会に大きな影響を与えたキャンペーンの例
ーマスクの転売の禁止ー
加藤:コロナ禍で私たちの生活に密着したキャンペーンも多く立ち上がりました。その中でもコロナが流行り始めた当初に起こった「マスク不足解消運動 マスクの出品禁止をオークションサイト、フリマアプリに求めます。」というタイトルのキャンペーンがとても盛り上がりました。2020年の3月頃はマスクが非常に品薄になりYahoo!オークションやメルカリなどで高額で転売され、マスクを必要としている人が買えなくなってしまう問題が社会的に起こっていました。そこで、マスクの転売のような出品を止めることを求めるキャンペーンが立ち上がりがました。
加藤:このキャンペーンには4万6千もの賛同が集まり、メルカリなどに提出され、ニュースでも取り上げられました。国会でも転売を禁止する枠組み作りについても議論され、閣議決定されました。
大学生だって社会に影響を与えることができる
ーJOC森元会長の女性蔑視発言ー
ーChange.orgでは誰もがムーヴメントを起こすことが可能ですが、特に大学生が立ち上げたキャンペーンにはどんなものがありますか?
加藤:先ほど言って頂いた、当時オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長であった森喜朗氏の女性蔑視発言に対して立ち上がったムーブメント「女性蔑視発言『女性入る会議は時間かかる』森喜朗会長の処遇の検討および再発防止を求めます #ジェンダー平等をレガシーに」は20~30代の現役大学生・大学院生の女性11名が掲げたキャンペーンです。
一般社団法人Voice Up Japan代表 山本和奈さん
一般社団法人NO YOUTH NO JAPAN 代表 能條桃子さん
加藤:誰もが声をあげることで、社会が良い方向へ変わりうるということが多くの人に伝わるキャンペーンが理想的なものだと思っています。実は、この署名は森喜朗氏の辞任を求めるものではありません。あくまで「なぜこれが起こったのか」「それを防ぐためにはどうしたらいいか」を委員会として検討することを求めたキャンペーンでした。結果的に辞任という形にはなりましたが、辞任を求めたキャンペーンではないことが印象的ですね。もちろん他にも森氏に関する署名がいくつか立ち上がっていて、その中に辞任を求めるものもありましたが、一番盛り上がったのは今紹介した処遇の検討と再発防止を求めるキャンペーンでした。開始から10日間で約15万の署名が集まり、大会組織委員会に提出されました。他にも「#わきまえない女」「#Dontbesilent(声を上げろ)」が大きなムーヴメントになったことは、Change.orgが社会への発信源の一つとなった結果だと考えています。
ー森氏の発言のさらなる問題は、その発言によって女性がさらに公の場で発言しにくい状況を作りかねない点や、その発言があった時に会場にいた人々が笑っていたことだと思います。一人が辞任するだけでその問題が終わるわけではありません。そのトピックやそれに付随して起こりうる問題をより多くの人がディスカッションし、考えるきっかけを作ることができるのもChange.orgの魅力の一つですね。
加藤:そうですね。「#MeToo」運動のようなSNS上のハッシュダグを利用したムーヴメントやインターネットを使いながらのムーヴメントにもChange.orgは深く関わっています。そのような発信・拡散の蓄積がこのムーヴメントにも大きな影響力を与えていると思います。
大学生だって社会に影響を与えることができる
ー生理用品を軽減税率対象にー
ー「生理の貧困」がよく話題になっていますよね。
加藤:このキャンペーンをきっかけに谷口さんは「#みんなの生理」という団体を立ち上げました。「#みんなの生理」は学生だけでなく社会人も含めた若者の団体となりました。
加藤:最近#みんなの生理がインターネット上で「生理用品を購入するにあたり経済的に困ったことがあるかどうか」アンケートをとりました。その結果が反響をよんで各種メディアで取り上げられたり、国会でも女性に対して支援を行っている団体に女性に生理用品を配る補助金を出そうか議論されたりするなど、大きなうねりとなりました。「クローズアップ現代+」に谷口さんが出演した後にはキャンペーンにも反響があり、現在の賛同者数は6万人を超えています。
ー#みんなの生理は以前から知っていましたが、それがICU発の団体と知らなかったです。ICUでは最近ジェンダーレストイレができて、そこに生理用品が2週間置かれました。最近では生理の貧困が漸く意識されるようになり、そのために動き始めている自治体もありますね。
中野区:https://www.tokyo-np.co.jp/article/94405
豊島区:http://www.city.toshima.lg.jp/013/kuse/koho/hodo/r20302/2103091753.html
札幌市:https://www.fnn.jp/articles/-/161784
ーただ、多くの自治体は備蓄入れ替え時の一時的な配布で、持続的な支援をしている自治体は非常に少ないです。課題はまだありますが、少しずつ良い方向へ変わりつつあることは嬉しいことですね。
大学生だって社会に影響を与えることができる
ーミャンマーの人々をクーデターから守ってー
加藤:ミャンマーの軍事クーデターが問題となっていますが、ミャンマーの人々を軍事クーデターから守ることを求めるキャンペーンは世界各地で立ち上がっています。その中には、東京外国語大学のミャンマービルマ語専攻の学生とその卒業生の有志によって立ち上げられたものもあります。これも大きく話題となり現在約7万4千の署名が集まっています。残念ながら、日々犠牲になった方々の悲しいニュースが報道され、情勢がよくなっているとは言い難い状況です。しかし、学生を中心としたグループがそのようなことにもちゃんと声を上げていることも事実です。
>> 今回の記事はここまでです。次回の記事では今回に続き大学生が立ち上げた様々なキャンペーンを中心にChange.orgがどんな団体なのかお話します。また、キャンペーンを立ち上げる上で大切なポイントについても伺ったのでぜひチェックしてください。続きはこちら!
Add Comment