How To 学生生活

【政治・社会】についてオープンになろう!/ 学生団体 【NO YOUTH NO JAPAN】

雇用・労働、貧困、環境、ジェンダー、コロナ対策…。

 

日本には溢れんばかりの社会問題が存在していますね。

 

このような問題を改善するために「政治」というものがあり、政治の「政策」を決めるのが「投票」であり、その投票をするのは私たち一人一人の正直な「意見」です。

 

これからの社会を生きていく私たちのようなU30(=30歳以下)の人々の意見は、これからの社会を築いていく大事な要素の一つです。それにも関わらず、若者の投票率は近年30%前後で留まってしまっています。

 

「政治について話す空気じゃない」

「政治は難しくてよく知らない、興味がない」

「自分の一票だけで何か変わるわけじゃない」

 

世間では、若い世代の人たちが、このように考えて政治や社会へ目を向けようとしない傾向があります。

 

このような状況を改善し、若者の声が今の政治に届き、そして社会に響くことを目標に活動しているのが「NO YOUTH NO JAPAN」という団体です。

 

NO YOUTH NO JAPANは大学生で構成される団体で、SNSの中でも主にインスタグラム(@noyouth_nojapan)で、政治や社会問題などの最新の情報を発信して、多くの若い世代の人たちに政治を身近に感じてもらうきっかけ作りをしています。

 

今回はそんなNO YOUTH NO JAPANの代表の能條桃子さんと運営メンバーの瀧澤千花さんにお話を聞いてきました!(左:能條さん、右:瀧澤さん)

 

 

 

 

インスタグラムを使用した情報発信

ーーーーーーー主な活動内容を教えてください。

能條さん:NO YOUTH NO JAPANは、政治や社会に日頃から自分のスタンスを持ち、アクションを起こす人を増やすための活動を行っています。具体的にはメディアの運営、イベント開催、記事の執筆をしています。イベントというのは「ジブンゴト会議」といって、身近なテーマを切り口に、政治や社会が自分の普段の生活に直結していることを知ったり、政治について気軽に話したりするイベントを行っています。現在は60人ほどで活動をしており、団体のメンバーは日本や海外のいろんなところにいるので、活動は基本的にはオンラインで行っています。

 

ーーーーーーーインスタグラムでは、毎月一つの社会問題(ジェンダーや環境問題など)に焦点を当て、それについての様々な情報・意見を発信していますね。これについて、もう少し詳しく教えてください。

能條さん:政治という話になると、難しそうとか面白くなさそうと感じる方が多いと思います。

政治は「政局」(誰が政治をやっているのか?誰が権力を持っているのか?など)と「政策」(環境やジェンダーなどトピック別の方針・手段)の二つに分けられます。確かに、政局には会う事も滅多に無いし、関心を持ちづらいところがあります。しかし、政策は、自分たちが生きていく社会を築いていくものであり、その社会に生きている人だったら全員が関係するものですから、興味を持てるんじゃないかと思います。そのため、私たちはあらゆる政党の政策に盛り込まれている社会問題を毎月一つピックアップし、それをテーマにしてインスタグラムで解説をしています。私たちの発信をきっかけに、社会問題について関心を持ったり、政治について考えるきっかけになったり、投票の際に政党を選ぶなど、少しでも政治を身近に感じるようになって欲しいという思いで日々更新しています。

 

ーーーーーーーなぜ、インスタグラムで活動をしようと思ったのでしょうか。

能條さん:活動を始めたのが留学中だったので、インターネットでしか活動できないという制約がありました。もう一つは、日本ではSNSで政治の話をするのはハードルが高いという印象があったので、そのハードルを下げていかなければいけないと考えました。インスタグラムに着目したのは、24時間で消えるストーリーの機能があるからです。気軽にできる発信と政治への関心を結びつけることで目標に近づけるのではと思いました。

 

きっかけはデンマークへの留学

 

ーーーーーーーこの団体を立ち上げようと思ったきっかけについて、教えてください。

能條さん:日本の若者の投票率の低さをどう改善していくかを考えるというイベントに参加したことがありました。その時に北欧の若者の投票率が80%を超えていることを知り、実際にそんな社会を目にしたいと思い、デンマークのブランビアホイスコーレ(Brandbjerg Højskole)という学校に大学4年を休学して留学しました。

NO YOUTH NO JAPANを立ち上げるきっかけとなったのは、5月にあったデンマークの国政選挙でした。若い世代の投票率が約80%だったことや、通っている学校の学生たちが友達と団欒しながら選挙の話をしているとか、選挙が国民のワクワクする一大イベントの一つとして扱われている様子を見て、日本もこういう風になったらいいなと思いました。そこで同じくデンマークに留学していたちか(瀧澤さん)たち3人の日本人の友人を中心に、去年の7月の日本の参議院選挙の時に団体を立ち上げることになりました。

 

瀧澤さん:私は中学生のときに、女性の社会進出に関する卒業論文を書いて北欧の社会のしくみを知りました。

高校・大学と関心を広げる中で、男女平等を学ぶにはその根本である民主主義に鍵があるのではないかと考えました。特に、フォルケホイスコーレ(Folkehøjskole)という教育機関が誕生し、今も成立する社会の空気に触れ、その社会をつくる人々との生活を実際に体験したいという思いからデンマークに留学することにしました。

実際に留学先で、国民が政治についてとてもオープンであること、「自分たちは社会を変える力を持っている」と自覚していることを実感し、自分たちも何かアクションを起こしたいと考えました。そんな時に、もも(能條さん)のNO YOUTH NO JAPANを立ち上げる話を聞いて、私も参加しようと思いました。

 

ーーーーーーお二人とも、デンマークへの留学が大きな転機となったんですね。印象に残っている出来事などはありますか。

能條さん:ある日の夜に寮の部屋で、候補者の動画を見て泣きながら愚痴を言っている子がいたのですが、とても印象的でした。その子は高校をドロップアウトしてたので、学歴や今まで勉強してきたかどうか、学校の成績というのは、民主主義や政治と全然関係ないんだなと感じました。

 

 

「積極的中立」という立場をとる

ーーーーーーー一政治や社会問題について話す時は中立の立場をとることが重要だと思うのですが、情報を発信する際に気をつけていることがあれば教えてください。

 

能條さん:学校では中立な立場を保つために政治についてじっくりと話す機会を避けたりしますが、そのような状況が政治について話すことがタブー視されてしまう原因にもなり得ます。そこで、私たちの団体では「積極的中立」という立場をとることを大事にしています。いろんな意見が存在し、それぞれが異なるということをきちんと認識した上で、情報発信するようにしています。

具体的には、例えば社会問題に関する投稿の場合、出来るだけ一つのトピックに対していろんな立場の意見を載せるようにしています。そしてその先で見た方がどんな意見を持つかはその方次第なので、一つの意見に誘導させないように気をつけています。

 

また、私は上から目線の啓発は面白くないと思っています。私自身も政治に対して勉強している最中だし、政治に対するこれといった正解みたいなものがあるわけではありません。政治について興味を持ってくださる方たちとつながって情報・意見の交換をするには、発信する自分たちが彼らと対等な立場にいることを大切にして取り組まなければいけないと思います。

 

ーーーーーーー1人でも多くの人が「積極的中立」の立場をとれるようにするには、活動のどういった部分を重点に置き、どのように取り組むべきだと考えていますか。

能條さん:政治に対して無関心な人は確かにたくさんいますが、それは今まで政治について知る機会に出会えなかっただけで、政治と無関係な人や、一切興味を示さないで生きられる人は一人もいないと私は思っています。なので、NO YOUTH NO JAPANができることは、そんな方達に対して少しでも興味を持ってもらう機会を作ることです。具体的には、選挙が近づいた時はインスタグラムのアカウントで寄せていただいた、社会のルールに対するU30の人たちの様々な悩み、疑問、モヤモヤなどを『U30の争点』として幅広く紹介します。自分のスタンスとは異なる多種多様な考えを見つけ、それらを踏まえた上で最終的には選挙への投票先を選んでもらえればいいなと思っています。

政治を身近に感じて欲しいけど、無理のない程度で

ーーーーーーー「政治を身近に感じる」とは、具体的にどのようなことだと考えていますか。

能條さん:一つは政治を知り、自分の意見を持ち身近な人と話すことです。また、何かおかしい!と思ったらSNSなどでアクションを起こしたり(誰かの投稿をシェアする、いいねを押すなど)、投票に行くことも政治を身近に感じる例の一つかなと思います。

 

ーーーーーーーSNSで何かアクションを起こすことに躊躇してしまう人も中にはいると思うのですが、そういう場合はどのようにアクションを起こすことと向き合えばいいのでしょうか。

能條さん:そうですね、まず無理をしなくていいということを前提に考えて頂きたいです。一人ひとりの意見は本当に大事だし、尊重されるべきものです。だから本来躊躇する必要はないし、自分が意見を言うことに対してバッシングしたり、裏で悪口を言うような人のことはほっとけばいいと私は個人的に思っています(笑)。でも、それでも周りにどう思われるかが心配であるなら無理にしなくていいし、アクションを起こすタイミングは人それぞれだと思います。例えば自分と同じような意見を持つ人がとる著名活動に参加する、意見を言っているアカウントをフォローする、NO YOUTH NO JAPANのストーリーの質問箱にコメントを書く、などは周りを気にせずとれるアクションなので意見を発信することが怖くてもできることかなと思います。何よりも大切なのは政治や社会について考え続けることをやめないことなので、自分のできる範囲でアクションを起こすことが一人でも多くの人の中で増えればいいなと思います。

 

活動の「ここ」が楽しい!

ーーーーーーー活動を始めて、心境や周りの状況の変化はありましたか。

能條さん:NO YOUTH NO JAPANの活動を行うことで、若い世代の政治参加が低いという現状の捉え方が変わった気がします。活動を始める前は、政治に対する関心が低いことにただただ失望し、批判をしているだけでした。しかし、この団体を創設し、同じことを感じているメンバーたちと共に活動を始めてから、失望がアイデアに変わっていきました。現実を見てただ悲しむのではなくて、その現状を変えようと立ち上がること、そしてその現状を変えるためのアクションを起こすことが大切だなと強く感じるようになりました。もちろんアクションを起こしたからといって大きな変化が起きるとは限りません。でもだからこそ一つずつ変えられるものはあると思います。NO YOUTH NO JAPANの活動を始めたことで、始める前以上に今の社会に対して何かアクションを起こすことに前向きになりました。

 

瀧澤さん:活動を始めてから、有難いことにフォロワーがどんどん増えました。活動に対して共感や応援をしてくださる方がこんなにもいるということが数字で分かることがとても嬉しいです。NO YOUTH NO JAPANと同じ思いを持っている人が団体の外にいて、そういう方たちにポジティブな影響を与えられるので、もっと私たちの活動が広まっていっていることが楽しい、嬉しいと感じます。またこの活動を通じて、団体外の友人たちと政治の話をするようになって、政治に参加することが個人レベルでも容易になったことも変化の一つかなと思います。

 

ーーーーーーーお二人にとって、「自分たちの声が届きやすい社会を作ること」とはどういうことを意味しますか。

能條さん:私にとってNO YOUTH NO JAPANの活動は趣味に近いんですよね。アイドルグループが好きな友達とまったく同じようなテンションで政治について考え話しているし、そうしていることが好きです。だから自分と同じように政治に興味を持つ誰かの意見と、自分の意見を照らし合わせることにすごくワクワクします。NO YOUTH NO JAPANでは、私が考えなかったようなアイデアをメンバーやフォロワーの方から教えてもらえることがたくさんあって、それがとても楽しいです。一方的に私が自分の意見を誰かに発信するのではなく、見てくれた方と相互に意見交換をすることが自分の中で本当に楽しいし、活動をやる理由になっています。

 

瀧澤さん:「U30世代たちの声が届きやすい社会を作ること」は必ずしも政治ど真ん中!というテーマからじゃなくてもいいと思っています。それよりも、自分がこれから生きていく社会をより良くするために何かを作ったり動かしたり、誰かに求めてもらえるものをやるということが自分の中で一つの楽しみとしてあります。もともと私は政治よりもジェンダーなどの社会問題に興味を持っていました。それでも高校と大学、そして留学の経験を経て、自分の興味ある社会問題が政治につながっていること、そして民主主義こそがより良い社会を築く重要なポイントであることを実感しました。NO YOUTH NO JAPANを始めてからは、これらの重要性をより強く感じるし、社会を少しでもいい方向に変える努力ができていることが、挑戦的ではありますがすごく楽しいし、取り組む価値があると感じます。

 

能條さん:確かに!政治に対する入り口は必ずしも政治への興味じゃなくていいよね。この団体にいるメンバーって全員が政治に興味があるというよりかは、政治に関わるさまざまな社会問題に関心を持った人たちが多い気がします。いろんなテーマに興味を持った人たちが集まって話し合うことで、「政治」という一つの難しいテーマにみんなで取り組めていることを実感できるし、それがNO YOUTH NO JAPANをやっていて楽しいなと思う瞬間でもありますね。

 

瀧澤さん:さらに付け加えると、私はメディアも好きなのでメディアという一つの手段を通して発信するというNO YOUTH NO JAPANの方法がすごく好きです。こんな風に政治に限らずいろんな興味に基づいた人たちの行動がかけ合わさっているおかげでいろいろなことができるし、それを共感したり一緒に楽しめたりする人がいるということに意味があるんだなと思います。

最後に

 

ーーーーーーー 今後の団体としての目標を教えてください。

能條さん:一人でも多くの人が日常で政治や社会について知って、自分の意見を持ち、行動に移すための入り口を今までより多く増やすことです。具体的には、次の衆議院選挙が今年か来年かにあるのですが、若者の投票率は前回20代で約30%だったので、そのパーセンテージを上げるにはどうしたらいいのかを考えるのが直近の目標です。

 

ーーーーーーーこの記事を読む大学生に何か一言あればお願いします。

お二人:若い世代の方や大学生の中では、政治と自分たちはあまり接点がないと感じる方も多いと思います。しかし、政治は私たちが生きやすい社会を作っていくために欠かせないものだし、みんなで築き上げていくものです。まずはインスタグラムのNO YOUTH NO JAPANのアカウント(@noyouth_nojapan)をフォローしてみてください。それが政治に触れ、自分の興味のあることを見つけるきっかけに少しでもなったら嬉しいです。

能條さん、瀧澤さん、貴重なお話をありがとうございました!

皆さんも気になる方は是非、インスタグラムで@noyouth_nojapanをフォローしてみてくださいね!

 

能條桃子(のうじょう・ももこ)
NO YOUTH NO JAPAN 代表。
デンマークに留学したことをきっかけに若い世代に選挙や政治、社会のことを分かりやすく伝え考えるNO YOUTH NO JAPANの活動を始めました。普通に政治について話して考えて意見を持ち行動するきっかけを日本でつくっていきたいです。98年生まれ。慶応義塾大学経済学部4年生。

 

 

瀧澤千花(たきざわ・ちか)
NO YOUTH NO JAPAN運営メンバー。主にインスタグラムのコンテンツ制作を担当する。デンマークに留学し、「自分が社会をつくる」という民主主義の大切さを知りNO YOUTH NO JAPANの立ち上げに携わる。慶應義塾大学法学部政治学科4年。ジャーナリズムと社会政策を専攻。97年生まれ。

 

 

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