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米中貿易戦争の【穴】香港

3分でニュースをのぞき見!大学生向け新聞解説シリーズ

米中貿易戦争の抜け道、香港(1月31日(木)日本経済新聞掲載)

目次

・忙しい人はここだけ!

・前提知識

・ポイント①関税の抜け道

・ポイント②香港だからこその抜け道

・ポイント③ただし、簡単な抜け道ではない

・まとめ

 

 

忙しい人はここだけ!
今なお激しい貿易戦争(※)を繰り広げるアメリカと中国。お互いの首を絞め合っている追加関税ですが、そこには抜け道があるようです。その存在とはズバリ「香港」。この背景には、中国の中でも特別に高度な自治を認められる「一国二制度(※)」という仕組みが関係しています。
これに対し、アメリカでは「香港は中国に依存してきているため、中国の一都市に過ぎない」と、この抜け道をあまり大きくとらえない見方も強まっています。この抜け道の仕組みと背景を詳しく見ていきましょう!
 
※貿易戦争…下記「前提知識」参照 
※一国二制度…下記「前提知識」参照

 

前提知識

⑴一国二制度

1つの国に二つの制度が存在するということ。中国が台湾・香港・マカオとの統一を目指し打ち出した方針。中華人民共和国を中央政府として統一するが、台湾・香港・マカオも高度な自治権を持つ「特別行政区」になる。これら特別行政区は、独自の社会・経済制度、法律制度をそのまま続行することができ、立法権や貨幣の発行権なども有する。

 

米中貿易戦争

アメリカと中国は追加で関税をかけ合っている。このように関係が悪化していることは両国だけでなく、日本を含む他の国に大きく影響している。

詳しくはこちら

 

ポイントで記事を読む!【抜け道ポイント】

ポイント①関税の抜け道

抜け道として、ファーストセールという仕組みが挙げられる。ファーストセールとは米国での関税額の算出方法の一つで、

監査などを行うKPMGという企業によると、

 

ファーストセールとは、輸入取引に関して複数の商取引が行われた場合、輸入者の購入価格の代わりに、最初に輸入国へ向けて輸出取引を行った際の価格(製造会社のファーストセール価格等)に基づいて、輸入国における関税評価額を決定する評価方法をいう。

 

と定義されている。つまり、「最初に取引した価格」と「最終的に適用された価格」がある場合、最初に取引した価格をもとに関税を決めることが出来るというもの。

 

これを米中貿易戦争に当てはめると、中国のメーカーが香港の貿易会社を経由してアメリカに輸出する場合、最初に80ドル、最終的には100ドルで取引したとする。

すると、関税は最初の取引価格である80ドルに対してかけられるので、仮に関税が10%とすると関税は8ドルになる。

これは、最終的な取引価格に関税がかけられた場合10ドルになるので、20パーセントのコスト抑制になる。

 

ポイント②香港だからこその抜け道

香港は、他の国に比べて中国からの輸送コストが安いうえに、一国二制度であるため関税がかからない

アメリカが1997年の香港返還以前に制定した法律でも、香港の関税は中国と別に位置付けられている。

これまでも、香港の企業にとっての利用価値は指摘されてきた。「特別行政区」として、中国本土とは異なる法制度や税制が適用されているため、ヒト・モノ・カネが自由に行き来しやすいのだ。

ちなみに、アメリカは中国企業を締め出す動きを見せているが、香港とは取引できるようだ。

 

ポイント③ただし、簡単な抜け道ではない

ただ、ポイント①で説明したような、最初の取引価格を適正だと証明するためには膨大な書類が必要となるため、簡単に追加関税分を節約できるわけではない。

 

おわりに

アメリカと中国の間で板挟みになる香港。中国に依存する一方で、米国の制作にもその根幹が左右される。香港の独立した位置づけを見直す必要があるのかもしれない。

 

 

2019年2月1日時点での貿易戦争に関する香港の立場についてのまとめは以上です。当記事は大学生向けに必要な情報をわかりやすくまとめたものです。数字など、より詳細な情報を知りたい方は以下を参照してください。

 

参考

日本経済新聞(2019年1月31日)

KPMG(ファーストセール)https://home.kpmg/jp/ja/home/insights/2013/10/taxfs.html

 

〈ニュース解説シリーズ〉

 

 

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gakuseikichi

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