米中の制裁関税(12月3日(月)日本経済新聞掲載)
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アメリカは中国に対し、既に2500億ドル相当の制裁関税(※1)をかけている。このうちの2000億ドル分は今後、関税率を10%から25%に引き上げる予定。
※1 制裁関税:報復措置として課す追加の関税のこと
目次
前提知識
・中国はもともとWTO(※2)機関のルールを違反していた
・アメリカの対中国貿易赤字が膨らんでいる(アメリカの貿易赤字の約半分が対中国)
→上記2点より、もともとトランプ大統領は2016年の大統領期間中に「お互いの国での貿易額の差が大きいこと(貿易不均衡)」を問題視していた。
・中国の方が相手国(アメリカ)へ輸出依存している。(下図参照)
※2 WTO:貿易に関する国家間のルールを定め、監視している国際機関。
つまり、
アメリカ「うちの貿易赤字がひどくなっているのは、大半が中国のせい!もう我慢できない!」
中国「アメリカがその気なら、うちだってそれなりの対処をさせてもらうよ!(アメリカにこれ以上関税かけられたら結構ダメージ大きいし、本当はあまり激しく喧嘩したくないんだけど…)」
という状況であると言われている。
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ポイント①合意点
アメリカの対中国貿易赤字を減らすため、中国はアメリカ産の農産品やエネルギ―、工業製品などを大量購入する。
ポイント②両国の声明の食い違い
アメリカの発表
・中国の構造を改革することについて、5分野で協議し、90日以内に中国から結論を得る。
・90日以内に合意できなければ、2000憶ドル分の関税率を25%に引き上げる。
中国の発表
・既にアメリカから課されている500憶ドル分の制裁措置を取り消してもらう。
→具体的な交渉の内容を発表していない。
ポイント③協議対象
アメリカが強く求めていたハイテク産業育成策「中国製品2025(※3)」の見直しは協議の議題にはっきりと記されていない。アメリカにとっては、貿易の不平等をなくす1つの手段であったのに…。
※3 中国製品2025:中国が2015年に打ち出した産業政策で、次世代情報技術やロボットなどの重点分野を発展させるというもの。ハイテク産業でも中国に追い抜かれてしまうことをアメリカは懸念している。
ポイント④北朝鮮問題では連携確認
両国とも北朝鮮の非核化問題では連携を確認している。
今までの流れ
第2弾までアメリカに対して対等な額で報復措置をしていた中国…
第3弾で中国は、アメリカから2000億ドル相当の追加関税をかけられているにもかかわらず、アメリカに対して600億ドル相当しか追加関税をかけることが出来ていないというのが現状であるといわれている。(上記の表を参照)
つまり、中国に限界が来ていることがうかがえるのではないだろうか。
2018年12月3日時点でのアメリカと中国の間の貿易摩擦についてのまとめは以上です。当記事は大学生向けに必要な情報をわかりやすくまとめたものです。数字など、より詳細な情報を知りたい方は以下を参照してください。
参考
日本経済新聞(2018年12月3日)
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