環境

株式会社ゴールドウインがサステナブルに配慮した新プロジェクトを始動!生分解できる洋服の”神”素材「ブリュード・プロテイン™」とは?

世間で「サステナブルな社会」という言葉を耳にする機会が多くなりました。

世界中の環境問題や貧困問題を解決するために掲げられたSDGs(持続可能な開発目標)。SDGsに記載された17のゴールの中には「気候変動に具体的な対策を」や「海の豊さを守ろう」という目標が掲げられています。

上記で取り上げた2つの目標と深く関わりを持っているのがアパレル産業です。国連機関が「世界2位の環境汚染産業」として問題視しており、洋服の生産過程で排出された二酸化炭素による気候変動や、洗濯で海に流れ込んだ化学繊維による海洋汚染が問題となっているそうです。

そんな中、スポーツアパレルメーカーのゴールドウインは、自然環境に配慮した素材を使用した新ブランドを立ち上げました。

脱酸素社会、脱プラに貢献する新たな洋服の素材とは一体どのようなものなのでしょうか。サステナブルファッションに興味を持った私は、3月に行われたゴールドウインの事業戦略発表会に参加し、新プロジェクトについてのお話を聞かせていただきました。

 

株式会社ゴールドウイン

 

THE NORTH FACE(ザ・ノース・フェイス)やmacpac(マックパック)などの様々なブランドを展開するスポーツアパレルメーカー。各種スポーツ用品の製造、販売を行っている。

HP:https://www.goldwin.co.jp

Source:GOLDWIN(株式会社ゴールドウインのオリジナルブランド「Goldwin」による商品「The Sweater」。Brewed Protein繊維とウール素材の混紡セーター。日本、米国、欧州数 カ国、計11ヵ国で展開(2020年12月販売。価格: 国内/¥80,000(税抜) 欧州/€800.00(税 抜) 米国/$800.00(税抜))) ※数量限定の抽選販売のため、現在は購入できません。

 

株式会社ゴールドウイン 代表取締役社長 渡辺 貴生(わたなべ たかお)さん

 

新プロジェクト「Goldwin 0(ゴールドウイン・ゼロ)」に込められた想い

渡辺社長:Goldwin 0の「0」というのは、地球と同じ「円環」を表した記号であり、私たちが目指す循環する世界を象徴するものです。私たちは新ブランドを通し「Circulation(循環性)」「Borderless(越境性)」「Co-Creation(共創性)」という3つのキーワードを大切にしてきました。人間は地球上で最も負荷の高い生物と言えます。そんな私たちが資源や領土を争うことなく、利他性を持って循環の責任を果たしていかなければなりません。その新しい姿勢を世界に表明するアクションとして、Goldwin 0を立ち上げました。

 

海洋・土壌分解が可能な新素材、ブリュード・プロテイン™とは?

渡辺社長:今回発表する製品の多くは、Spiber株式会社が開発したブリュード・プロテイン™という素材を使用しています。シェルやニット、フリース、デニムなど、ここ数年の開発で素材のバリエーションは多様になりました。

Spiber株式会社

 

新世代バイオ素材の研究、開発を手掛ける。構造タンパク質素材「ブリュード・プロテイン™」を開発。

HP:https://spiber.inc

Spiber Inc.(2019年秋冬パリオートクチュールファッションウィークにて、デザイナー中里唯馬氏主 宰のブランド「YUIMA NAKAZATO」とのコラボレーション。作品の大部分にBrewed Protein素材を使用)

 

ブリュード・プロテイン™

 

植物由来のバイオマスを主な原料とし、Spiber独自の微生物発酵(ブリューイング)プロセスによりつくられるタンパク質素材です。環境面では、主原料を枯渇資源である石油に頼ることなく、環境中に長く存在し続けるマイクロプラスチックを生み出すこともないため、​​​​ポリエステルやナイロンなど従来の素材よりも海洋生態系を含めた海洋汚染に対する影響も少ないことが期待できます。また、動物由来の素材と比べ、温室効果ガスの排出量を大幅に削減できる可能性があり、動物倫理の懸念もありません。

引用:https://spiber.inc/brewedprotein/

Spiber Inc.(Brewed ProteinTMポリマーと各種加工工程で成形された素材の例)

 

ブリュード・プロテイン™への期待

渡辺社長:ブリュード・プロテイン™を用いた製品を提供することによって、人間の意識を変えていくことができるのではないかと思っています。経済的、環境的な面だけでなく、1人ひとりの社会的、精神的な成長を促す効果を期待しています。

Spiber Inc.(2021年秋冬パリオートクチュールファッションウィークにて、デザイナー中里唯馬氏主 宰のブランド「YUIMA NAKAZATO」がBrewed ProteinTM素材を使用したコレクションを発表)

 

フリースとデニムの生産に至った背景

渡辺社長:スポーツアウトドアのビジネスを経営する私たちにとって、フリースは中間着として最も使われる商品でもあります。また、デニムはスポーツの分野に限らず、一般アパレルの中でも小さな子どもからお年寄りまでが着用する商品だと思っています。日常の中で一番身近な製品をブリュード・プロテイン™で作ることが構造タンパクという新しい素材を世界に伝えていく上で最も最適だと考え、フリースとデニムをデザインすることにしました。

渡辺社長の描く「Goldwin 0」から始まる未来

渡辺社長:自然と人間が共生できる社会のあり方を考えていく上で私たちは、自然と遊び、遊びながら学んでいくという新しいスポーツの概念を提案します。私は子どもたちに対し、この概念から多くの知識や経験を得て、好奇心や謙虚さを身に付けてもらいたいと考えています。

これからも素材開発はもちろん、スポーツウェアに限らず様々なことに挑戦をし、人間としての生き方を伝えられる会社になっていきたいと思います。

 

終わりに

微生物によって構成され、微生物によって分解されるという、まさに「循環」を考えられた素材「ブリュード・プロテイン™」。環境汚染問題の解決に貢献する新しい素材に驚愕するとともに、バイオテクノロジー技術の無限な可能性に感銘を受けました。しかし、いくら環境に配慮された洋服の素材の開発が進んでいるからと言って、洋服を大量生産、大量廃棄して良いというわけでは全くありません。ブリュード・プロテイン™製品は、むしろ私たちに一度立ち止まって環境問題を考えさせる存在であるように感じられました。サステナブルへの理解は、Z世代と呼ばれる現在の大学生が特に意識しなくてはならない課題です。私たちも安価な洋服の大量購入を考え直したり、洋服1着1着を大切にして1つの服を長く着続けたりと、できることから少しずつ行動していきましょう!この記事が、洋服における環境問題を考えるきっかけになれば幸いです。


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