環境

美しさの概念を考え直すランジェリーの楽しみ方【植物染めランジェリーブランドニュアラ】

私たちが毎日身に付けているものの一つに「下着」が挙げられます。

毎日着用し、直接身体に触れるものだからこそ、デザインや素材にはこだわりたいですよね。

今回は、植物染めのシルクランジェリーブランドニュアラの代表兼デザイナーである松本奈月さんにインタビューさせていただきました。

ニュアラ
シルクランジェリー「Puntoe」から生まれた植物染めのニューラインブランド。女性の身体や環境に配慮した、サスティナブルなライフスタイルを大切にしている。未染色のランジェリーや職人さんにより染色されたランジェリーに加えて、自分で染めることができる染めキット付きランジェリーを販売している
 
Puntoe
体を締めつけないこと、女性らしい気分でいられることをコンセプトとしたランジェリーブランド。シルク素材を使用している。
 

ニュアラ設立時の想い

―puntoeからのニューライン『ニュアラ』を創設するに至ったきっかけを教えて頂きたいです

 まず、大学時代に染色について学んでいたことが挙げられます。

私が染色について知識を持っていたので、それを活かした商品をつくりたいと思いました。

また、商品の無駄をなくしたいという思いも強いです。

元々、シルク素材は縫製が難しく、アウトレット品となってしまうことが多いです。

加えて、既に色のついてある既製品の販売、となるとどうしてもお客さんの需要の変化により売れ残ってしまう商品が出てきます。

これは、生産者である企業側・職人さん側にとって損失ですし、環境にも良くありません。

一方、植物染めのランジェリーであれば、未染色のプレーンタイプがベースとなるのでお客さんの要望に合わせて染めることが可能であり、在庫残りを減らすことができます。

 植物染めのこだわり

―ニュアラ設立のための企画を進めていく中で力を入れた点はありますか?

 

植物染めを社会に受け入れてもらうための準備です。

ニュアラでは、アカネやマリーゴールド、エンジュ、ビワの葉などを原料としているのですが、植物染めは化学染料とは異なり自然由来のものなので、色の変化などがどうしても出てきてしまい、化学染料と同じクオリティを出すのは難しいです。

染色に向いている植物を探したり、ムラができにくい染め方の開発を行ったりし、テストを何度も実施しましたが、それよりもこの色の変化を楽しみ方の一つとして受け入れてもらうためのコンセプト作りに力を入れました。

ニュアラ染めの魅力

―ニュアラでは自分で染色することができる「染めキット」付きの商品を販売されています。

これはあまり例を見ない商品だと思いますが、なぜ染めキット付きの商品を販売しようと思われたのでしょうか?

 

ただ物を買うだけではない商品をつくりたいという思いがあったためです。

「自分で染める」という体験付きの買い物となり、お客さんに商品以上の特別なものを手に入れてもらうことができるのではと考えました。

例えば、このキットの体験から染色が意外と簡単なことを知ったことで、新しい趣味が増えるかもしれません。

染めキットを通して、自分の手を動かして何かすることを提案していきたいと思っています。

また、自分で染めたことにより、その商品により愛着を持っていただけるのではと思います。これは、商品を長く使うことにも繋がり、環境に対しても良いことですよね。

無農薬栽培の染料開発プロジェクトについて

―染色の原料となる植物を御社の農場にて無農薬で栽培している「無農薬栽培の染料開発プロジェクト」について詳しく教えてください。

 

このプロジェクトは染料となる無農薬の安心できる植物を、安定して手に入れたいという思いから始めました。

以前は他の無農薬栽培をしている農場から購入していたのですが、それが本当に無農薬かは実際確認することも難しいです。

今年は不作だから、と無農薬の植物が手に入らないことがあるかもしれません。

他社に依存するのではなく、自分の手をうごかして、目の届く範囲でビジネスしたいという思いもあります。

また、「お花畑でお花をたくさん摘む」という私の夢を実現したかったというのも一つの理由ですね!

すでに来ていただいた方もいるのですが、ニュアラのお花摘みツアーを通じてお客様と一緒に楽しめたらいいな、とも思っています。

新しい「ランジェリー」の捉え方

―ニュアラのランジェリーは世の中に出回っている「盛る」ことを意識したものとはことなり、ヘルシーな印象を与えてくれます。

このようなデザインにした理由をお聞かせください。

 

私自身「盛る」下着に対し、苦手意識があったからです。

以前盛る下着を使用していたことがありましたが、窮屈で苦しい思いをしていました。

私たちは「一般的な理想のバスト」という固定概念が刷り込まれているように感じます。

その固定概念のために苦しい思いをするのは違うのではないか、自分主体で良いのではないか、という思いからヘルシーなデザインのランジェリーを販売しています。

 

―バストの形を固定し、胸が動くことを防ぐためにブラジャーを付けるという女性も多いように感じます。

そのような中で、販売されている「シルクスキンブラ」のようにノンパテッドタイプで、バストの形を変えずに包み込んでくれるブラジャーの販売に至った思いを教えてください。

 

先程の回答とも似通った点がありますが、私たちは固定しなければバストが垂れると教育されてきました。

しかし、ナチュラルにたゆんとしているバストの方が、人工的に補正された形よりもすてきだと個人的には感じます。

このような思いのもと、女性に心地よいと思ってもらえるようなブラジャーの販売を行っています。

 

―一般の方を起用した商品紹介の写真はとても魅力的で「すべての人は美しい」と思わせてくれ、自分のことも好きになれる、そんな写真でした。

なぜプロのモデルを起用するのではなく、一般の方で撮影を行ったのでしょうか?

みんな美しい、それぞれの美しさを知ってもらいたいからです。

「美しさ」に正解はありません

確かにプロのモデルの完成度は高いかもしれませんが、みんな魅力的なことに変わりはないのです。

なにより、勇気を持って応募してくれたこと、緊張しつつもハッピーな笑顔で撮影を楽しんでくれたことに、私たちも元気を貰いました。

 

―全ての商品に共通するこだわりは何でしょうか?

 

我慢のない商品にすることですね。

お客さんにとって心地よいだけでなく、デザイン性も満足できる商品となっているか、生産をお願いする工場さんや、環境への負荷がかかりすぎていないか…。

企業側だけが良くても、お客さんだけが良くてもだめです。

わたしたちは商品を開発するとき、だれかが我慢を強いられていることがないかを考えます。

 「ランジェリー」に留まらない 未来のための活動

―今後取り組んでいきたい活動についてお聞かせください

 

活動をランジェリーだけにくくらず、後々残る仕組みをつくりたいと思っています。

例えば、私は島に移住した最初の頃は、のどかなところなので、地元の新鮮な路地栽培の野菜ばかりと思っていたのですが、思いのほか売っていないんですよね。

意外と都市部の方が、無農薬の野菜を売っていることが多いです。

田舎で無農薬野菜の生産をしていることは確かなのですが、流通システムが整っていないんだと思います。

このような、「えーっ!」と思ったことを解決していける、そんな活動ができたらと思っています。

 

―ありがとうございました!!

 

編集後記
私たちは毎日下着を付けます。
皆さんはどのような基準で下着を選んでいますか?
私は今まで、少し苦しくとも仕方がないと自分に言い聞かせていました。
しかし、ニュアラさんのお話しを聞いて、もっと自分を大切にしていいんだ、自由でいいんだ、と思うことができました。
私たちの周りにはたくさんの固定概念が潜んでいます。
しかし、これらに囚われず、自分にとって何が「大切」なのかを考え、選択していくことがきっと「自分を好きになる」大きな一歩となるのではないでしょうか。
このような思いを抱かせてくれる、そんな素敵な考えを持つニュアラさんの商品を試してみてはいかがでしょうか。
 

 


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