こんにちは、ヒナです。毎年5月30日は「ごみゼロの日」と言われていることを知っていますか?1人1日当たりのごみ排出量は、918グラム。私たちは沢山のものを作っては、使い捨てる生活を送っています。ゴミを出さない循環経済の暮らしを企業や消費者、行政と取り組む20-30世代中心のコミュニティ「530week(ゴミゼロウィーク)」代表の中村元気さんに活動内容や私たちがゴミを減らすためにできることをお聞きしました。
目次
530weekってどんな団体?
ー530weekの名前の由来や設立したきっかけを教えてください。
530weekは毎年5月30日を中心に「0 waste(=廃棄物ゼロ)」に関する活動をしようということで始まった団体です。ゴミ削減にその日だけ取り組むのではなくもう少し長くしてみようということで、530weekと名付けました。week自体に大きな意味はないのですが、私たちメンバーはゴミ問題に興味を持っていたため5月30日の530に由来しています。5月30日を「ゴミゼロ」と掲げて活動している行政機関は多くありますが、その活動としてされているものは一斉清掃でした。ゴミ拾いは僕自身もしていますが、やはり街を綺麗にする一時的な解決策でしかなく、出るゴミそのものを減らさないとゴミ問題は解決しません。「530(ゴミゼロ)の日」をゴミ処理を徹底するだけでなく、ゴミを根本的になくす策を考える日として捉え、活動を始めました。活動する中でゴミ問題の深刻さを知り、2019年に同志とNPO法人を立ち上げました。
ー中村さんはこれまでゴミとどのように関わってこられたのでしょうか?
僕自身がゴミ拾いをしていました。現在も毎月第三土曜日に原宿のキャットストリートでしています。そこにあるお店や住人の方々とゴミを拾っています。ゴミ拾いをはじめたのは、ゴミ問題を解決したいという理由からではなく、困った時に助け合えるような地域コミュニティを作ることが目的でした。ゴミ拾いは話しながらでも街を綺麗にすることができ、参加するために必要な持ち物がないので参加のハードルも低く、コミュニティ作りのツールとして非常に優秀です。自分がゴミ拾いをしていた原宿・渋谷のゴミ問題は深刻でした。私たちがゴミ拾いしていない時、道端に落ちているゴミはどうなっているんだろうと疑問を持ちました。人々がゴミを捨てた後、そのゴミがどうなっているかわかりません。ゴミ拾いを通してそのようなゴミ問題に興味や問題意識を持つようになりました。
ー530weekさんの活動を教えてください。
「0 waste(廃棄物ゼロ)」に関する発信・活動をしています。今までは、個人に向けてイベント・ワークショップを開催していました。ただ、やっている中で個人に働きかけることの難しさにも気づいて。商品を購入する消費者に問いかけるよりも、商品を作る企業が変わる方がゴミ問題に大きなインパクトを与えられるのではないかと考えるようになりました。そこで最近は企業向けにイベントや勉強会の開催、廃棄されるものを使ったプロダクトのディレクションに力を入れています。
ー企業とはどのように関わっていらっしゃるのでしょうか?
事業に関連することで何ができるかを考え取り組んでいます。例えば、事業内で出たゴミをどう再資源できるか、いかにゴミを出ないようにするかなどです。「CSR事業でゴミ問題に取り組むから、既存の事業は変えなくていい」では意味がないので、その企業が稼いでいるエリアで「0 waste」の考え方を導入しようとしています。
コミュニティとして地域に密着し多岐に渡る活動を
ー530weekさんはさまざまなな方面で活動されていますね。
「0 waste」へのアプローチが多様であることを大事におり、様々な角度からそれに取り組める機会を作ることが530の在り方です。そのため、何に取り組むのかを決めるときに問題の大小で決めないようにしています。地域のコミュニティとしては「0 waste」の仕組みを地域の人が享受しやすいように実装することを目標に活動しています。
ー地域コミュニティとしても多くの活動をされていますね。
ブーメランバッグという買い物袋のシェアリングサービス、ゴミ箱をあらゆるところに設置しダイブする体験を通してゴミとの向き合い方を考える機会の提供、お店で余ってしまうパンの耳を原料にしたビール作り、コンポスト関連のプロダクト開発など、ジャンルを問わずさまざまな方向からゴミ問題にアプローチしています。
ー先ほど仰ったコンポストについて詳しく教えてください。
生ゴミは家庭ゴミのほとんどを占めています。生ゴミは水分量が非常に多く、そのまま焼却炉に入れると焼却炉の温度が下がってしまいます。すると、焼却炉内の温度を上げるために汚れたプラスチックや綺麗なのにリサイクルされないペットボトルを投下します。つまり、生ゴミのせいでリサイクルできるプラスチックを燃やさなければならなくなります。コンポストでは生ゴミを燃やさずに畑の肥料とすることで、ゴミ問題に貢献できます。
ー生活に身近な生ゴミが捨てた後そのような影響を与えているとは思っていませんでした。
ゴミは生活のどの部分でも、事業のものづくりでも発生します。問題として捉えると生活と切り分けて考えてしまう傾向がありますが、かなり身近なものなんですよ。
社会問題を取り組む人は意識高い系???
ーウェブサイトにあった「We Are NOT 意識高い系」というキャッチコピーが印象的でした。
私たちが暮らしを居心地よくするために意識していることを「当たり前だよね」と言ってくれる方々と、これからどんな取り組みができるのか一緒に考えていきたい、そんな想いを込めています。また「意識高い」と言われてモヤモヤしている人たちに向けて「私たちのコミュニティに入れば話し合える仲間がいる」ことも伝えたいです。社会問題について考えている人は、それを全く考えない自分にはなれないですよね。しかし、すべての人から共感を得るのは難しいため、自分がしんどくなると思います。そのような場合は企業や仕組みを変えた方が早いかもしれません。
ー仕組みを変えるというのはどのようなことですか?
例えばレジ袋の有料化は批判的な意見もありますが、あれによって約90%の人がレジ袋をもらわなくなりました。この結果は人々が意識的にプラスチック問題について考えたから達成できたというわけではないと考えています。「お金かかるのやだな〜」とか「じゃあいらない」と思いマイバッグを持ち歩くようになったのではないでしょうか。レジ袋有料化が「マイバッグを持って買い物に行く」という文化を作ったのだと思います。これは、考えていないと言われている人たちに対する諦めなのではなく、環境問題は急ぐ必要のある問題なのでより早くインパクトを出すことにフォーカスしたものだと考えています。
ーインパクトを出すためには他者の「共感を得る」ことが必要不可欠になると思います。中村さんが「共感を得る」ために意識していることを教えてください。
自分の言ってることとやっていることを矛盾させず、アクションし続けることです。これは、悪い部分を人に見せないのではなく、常に自分の行動にみんなが共感してくれていることを忘れずに行動することで、自分の言葉の説得力が上がり、行動にすることで自然とそれが自分に習慣となり、それに共感する人が出てくるのだと思います。
想像力を最大限に
ー「0 waste」はどのように実現できるのでしょうか。ゴミを全く出さない生活が分からなくて…。
正直、自分たちもわかりません。しかし、ゴミを減らすために想像することはできます。例えば、今使っているこのグラスが紙コップだとしたら、というように一つ一つ想像していくことでゴミゼロ実現に近づけられます。様々なことに対して想像力を最大限に働かせ、思考停止せず日常生活の中で考え続けることで「0 waste」に近づけるのではないでしょうか。また「答えを決めつけない」ようにしています。興味を持ったところから、様々なアプローチで実験的に試すことが重要だと思います。
ー想像力働かせることで「0 waste」に近づけるのですね。
ゴミ問題は、みんなが意識的に行動すれば一気に解決します。社会で起こっている全ての問題が人によって引き起こされているので、コミュニケーションを重ねながら、想像力を働かせて問題を解決したいと考えています。例えば、みんながゴミだと思っているものがゴミではなく、何かに使えそうなマテリアルになると思いつくと楽しいです。
ー「0 waste」のために大学生が実践できることがあれば教えていただきたいです。
常に疑って想像していけば自ずと行動に落ちていくと考えています。特定のアプローチを決めたくありません。プラスチックの問題に取り組みたければ水筒やマイバックを持ち歩けばいいし、その行動が正しいかどうかは自分で考えていくべきだ思います。想像して考えて実行する濃い時間を過ごしてほしいです。想像することを楽しんで欲しい。「こうなったら面白いよね」とか「こんな感じでゴミが減ったら楽しいよね」「プラカップで出てくるより美味しく飲めるね」というようなポジティブな想像力を持つと自ずと行動が変わってくるのではないでしょうか。
ー取材は以上です。ありがとうございました。
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