社会問題

外見で悩むのはもう終わりにしよう。ENBAN TOKYOの考える「カワイイ」の定義

こんにちは、ヒナです。今日の記事は、ENBAN TOKYOさんのインタビュー記事です。

女の子は目が大きい方が可愛い」「肌は白い方が綺麗」「痩せたら幸せになれる」…。
様々なメディアから植えつけられた「カワイイの定義」「女の子のあるべき姿」にうんざりします。そんな時にインスタグラムの広告で出てきたENBAN TOKYOの広告に私は胸がドキっとしました。そこには「みんな違って、みんなKAWAII」というキャッチコピーと共に、キラキラ光るコスメがありました。

今、私たちに必要なのは、アイプチでもなく、男ウケを狙ったファッションでもなく、ENBAN TOKYOの掲げる「みんな違って、みんなKAWAII」というコンセプトではないでしょうか?


ENBAN TOKYOのURIさん(右)と島貫夏海さん(左)にお話を伺いました。
気さくに話してくださり、和やかな雰囲気で取材を進めることができました。(^^)

URI(ユーリ)
ENBAN TOKYO ブランドディレクター/メイクアップアーティスト。
サロンワーク勤務後2011年よりヘアメイクアシスタントの経験を積み2015年独立。
sumika、CHAI、フィロソフィーのダンス、ビッケブランカ 、リーガルリリー、東京初期衝動のメイクなどアーティストを中心に幅広く活動。 自身の経験を活かし、ただ可愛いだけのメイクでなくキャラクターを引き立たせるメイクを得意とする。 
 
 
島貫夏海
株式会社ENBAN 社員 。外見で悩んだり、自分を好きになれない人の生きづらさを解消したいという思いで2017年4月に化粧品メーカーに入社。新卒から3年間広告制作を経験した後、知人から声がかかりENBAN TOKYOにジョイン。 ブランドのSNS運用、企画担当や広報活動など運営全般を担当。
 
ENBAN TOKYO
一人一人の自由なKAWAIIを叶えるコスメブランド。「自分が気に入って自分らしいスタイルを楽しむことが一番KAWAII」ということを、多様な個性、ファッション、カルチャーが集まる渋谷の街からインスタグラムを中心に発信。2020年8月には第一弾商品としてアイテムの枠を超えて自由な使い方を楽しめる「マルチグリッターカラー」を発売。
公式サイト
 

 

もっと自由な「カワイイ」を

ーーENBAN TOKYOの活動を始めようと思ったきっかけを教えてください。

URI:世界に発信されている日本のカルチャーのように、自由なビューティーを発信したいと思ったのが活動のきっかけです。東京は世界から見ても魅力がある場所だと思っています。伝統工芸や、アニメや漫画のようなサブカルチャーなど日本の魅力は世界に繋がっています。

しかし、ビューティーにおける日本の文化はどうだろうと考えてみると、日本の「可愛い」は閉鎖的なように感じました。アイドルっぽいとか、清楚系といった誰かが決めた可愛いの定義みたいなものがあって、それに当てはまっていないと可愛くないとみなされることもたくさんあります。そうではなくて、もっとオープンで自由な「カワイイ」世界観を一緒に作ってくれそうな人を探している時にマーケティングのノウハウがある協力者に出会い、オファーを頂き始まりました。

 

ーーなるほど。特にどんな活動をされているのですか?

URI:自分たちの伝えたいことを発信するために、2019年2月からインスタマガジン「ENBAN TOKYO」としてインスタグラム上で活動していました。その活動でブランドのコンセプトである「みんな違ってみんなKAWAII」に共感してくれる子が増えていきました。その中で、コンセプトをダイレクトに表現するアイテムを作っていきたいと考えるようになり、コスメアイテムを通してENBAN TOKYOの思想や、もっと自由なカワイイの考え方を広げていきたいと思い、コスメブランドとしても活動しています。

 

ーーコスメを出すまではどのような活動をされていたのですか?

島貫:SNSを通してENBAN TOKYOのコンセプトを発信してきました。ただ情報を発信するだけのメディアではなく、ユーザーを巻き込むことを意識していました。例えば、ユーザーの投稿のリポストをしたり、思想を共感し合えるモデルに「あなたにとってのKAWAIIとは」について質問して、私たち以外の言葉でも自由で多様な「KAWAII」を発信して頂くようにしました。

アーティスト性でいうと、イラストレーターとして活躍する冠木(かぶき)佐和子さんや牛木匡憲(まさのり)さんにENBAN TOKYOのイラストを描いて頂いたり、バーチャルモデルの葵プリズムさんや、りゅうちぇるさん、ZOCの香椎かてぃさんとコラボし、ユーザーとコミュニケーションを取りながら、一緒に情報を作っていくという点で、アーティストの力を借りてSNSを盛り上げることをしていました。

 

ーーインスタグラムにポストする時はどんなことを意識しているんですか?

URI:見た人が、「こういうふうになりたいな」って思ってもらえたり「カワイイってたくさんあるんだなあ」とか「こういうのも素敵だな」というような発見に繋がるきっかけになれるように、いろんな子がいることを知ってもらえるように意識した作品を作ってポストしていました。画一的な見え方にならないよう、キャラクターが被らないようなモデルを起用してきました。

ENBAN TOKYOだからこそ伝えられるメッセージ

ーー私はENBAN TOKYOの投稿に出てくる子達を見ると元気が出るし、万人ウケや男ウケするようなファッションやメイクかどうかは分からないけど、超~~カワイイし超~~カッコイイです。人気Youtuberのねおさんやりゅうちぇるさんとコラボするなど、ENBAN TOKYOをより多くの人々に広める時に意識していることを教えていただきたいです。

URI:自分の思春期の頃、外見で悩んでいた時のことを思い返し、当時の気持ちは思い出したくないけど、その頃の自分が見たかったものや聞きたかったことを発信するように意識しています。モデルの子にKAWAIIについて聞いたりすると意外とみんな悩んでて、この子でもこんな悩みがあるんだな、とか当時の自分にもっと早く聞かせてあげたかったなって思うことがすごくあります。

島貫:ブランドの思想(みんな違ってみんなKAWAII)を伝えていくという点で、寄り添う言葉の選び方や発信の仕方を意識しています。どの媒体で発信するときもユーザーと対等で寄り添うブランドであることを大切にしています。

 

ーー先ほどおっしゃった、「外見に悩んでいた時に見たかったものや聞きたかったこと」とは具体的にどんなことですか?

URI:私が悩んでいた時は、みんな一緒のものを目指していると言うか…特に私の頃は目が大きいのが主流で、みんな目を大きくするために努力していました。でも、目が大きいとか体が細いだけじゃないかわいさとか、キャラクターがちゃんとあることの魅力や美しさ、自分の中に信じているものがある人は輝いているとか、そういうことです。

 

ーーありがとうございます。ENBAN TOKYOのインスタグラムをフォローしてそれを見ていると、「ああ、私がカワイイかどうかは私が決めていいんだ。」と思えるようになりました。見ている人がそういう風に考えるような投稿をすることは意識していますか?

URI:撮影の時に写真は絶対にレタッチしないようにしています。

レタッチ
カメラで撮影した写真を加工したり、また撮影者の表現イメージにより近づけるよう、パソコン上で行う修正作業のこと


URI
:ニキビだったり傷だったり、そういう生きてきたものの歴史というか、その子が気に入っているそばかすやシミを私たちが勝手に消すことはおかしいと思っています。もちろん彼らが望むなら消すこと自体を否定するつもりはありません。

 

ーーなるほど。私もサロンモデルをしているのですが、撮影会とかだとカメラマンさんにレタッチをされることがあります。それって元の自分自身とは多少なりとも違うし、レタッチはすることはよくあることですが、やっぱり少し傷つきます(笑)。ああ、そのままの私じゃダメなんだって…。

島貫:私はここで働く前、ビューティーに関する広告を作る仕事をしていました。その時はモデルさんの写真はレタッチをして肌はツヤツヤに、クマは全部消すのが当たり前でした。

URI:自分のクマや傷が好きっていう子も中にはいるから(美の基準や価値観を)押し付ける事は絶対にしたくないです。

 

ーーそれがENBAN TOKYOのユーザーとの距離の近さに繋がるのかもしれませんね。他にも、商品をプロデュースするときやENBAN TOKYOの商品のプロモーションなどでモデルの撮影をするときに気をつけていることや、こだわりはありますか?

URI:ブランドイメージに合うかどうかも重要ですが、本人にキャラクターがあることが大事ですね。他にも、本人の思っているKAWAIIについて伝えてほしいなと思う人たちにオファーもします。モデル経験のない方でも、良いなって思える人には出てもらうこともあり、自分自身を楽しんでいる姿を発信するようにしています。

島貫:キャリアや実績でモデルを選んでいないのは特徴的だと思います。私が以前働いていた業界だと、モデルの過去の実績を重視し、キャリアのない子を起用する事はほぼありませんでした。でも、ENBAN TOKYOでは、キャリアや実績は見ず、信念があるかなどモデルの子のキャラクターを重視しています。

ENBAN TOKYOの作品の一つ

 

プロダクトを通して「カワイイ」の多様性を発信

ーー次の質問です。ENBAN TOKYOの化粧品は植物性保湿成分配合で、肌のことを考えたフリー設計という点が印象的だったのですが、それに込めたこだわりも教えてください。

ENBAN TOKYOのコスメは、肌のことを考えたフリー設計。合成香料、動物油彩成分、鉱物油、アルコール、紫外線吸収剤は入れていない。また、植物性保湿成分のオリーブ果実油、ホホバ種子油、モモ葉エキスを配合した肌に優しい設計になっている。

URIオーガニックなど「肌に優しいコスメ=ナチュラル」というイメージになってしまうことが多く、一方、派手なコスメはケミカルなイメージがつきまとい、体に悪そうな印象を持たれることが多いのですが、私はそれが嫌で…海外コスメには目に鮮やかなだけど肌のことを考えたブランドもたくさんあるので、肌に優しい処方だけど、派手でもカラバリも豊富なものもあるということを知ってもらいたいです。

島貫:世界で通用するコスメにするために、ENBAN TOKYOではオーガニックやナチュラルなど、肌に優しいことを当たり前にしたいと思っていました。また、今回のアイテムではマルチに使っていただきたいからこそ、肌が弱い人でもおしゃれを楽しめ、どんな人でも使ってもらえるように意識しました。

 

ーーそうですね。マルチグリッターカラーはアイシャドウとしてだけでなく、ハイライトとしてもカワイイし、リップの上に乗せてもカワイイですよね。これから作ってみたい商品や、やってみたい活動があったら教えていただきたいです。

島貫:グローバルに通用するブランドになりたいというのが大きな目標としてあります。今後出すものでは、東京渋谷を拠点として活動しているブランドとして、渋谷の魅力を発信できるようなアイテムを考えています。また、ポップアップストアのように実際にかわいさを体感してもらえるような機会を作りたいと思っています。(今はオンラインでの販売のみ)

SNSを開くとかわいい子で溢れているし、その子たちと自分とのギャップに悩んでいる人は日本にたくさんいると思います。みんながお互いの個性を認め合って、「これもいいね、でもあれもいいね」といったようにプロダクトを通してカワイイの多様性を広げ、日本の閉鎖的な「カワイイ」の概念を変えられたら最高ですね。

URI:お守りみたいなコスメになってほしいですね。

「みんなが言う」カワイイよりも「自分が思う」カワイイを

ーー自分では今の私を気に入っています。そのため、みんながしているからしなきゃいけないと思っていたダイエットをやめました。しかし、世間は「痩せている子が可愛い」という考えが根強くて。「カワイイ」と言ってもらいたいけど、周りの人に「カワイイ」といってもらうためには世間でいいとされている「細身」じゃなくてはいけない…。自分が思うカワイイと世間の思うカワイイにギャップがあると感じ、悩むことがあります。そう悩むのはきっと私だけではないと思うのですが、そういう人たちにアドバイスがあればお聞きしたいです。

URI:私自身もそのような経験がたくさんありました。思春期の頃は絶対すっぴんは見せられなくて、中学生の頃から22歳まで誰にもすっぴんを見せたことがありませんでした。私は最初、自分の気になるパーツをちょっとずつちょっとずつ整形していました。ですが、ある日失敗して自分の期待していた仕上がりと違ったんです。でも、「再手術はリスクがあるからできない。」と言われました。その時に、流行りの顔を追い求めていたら終わりがないって思って、私って何になりたいんだろうって考えるようになりました。その時の私は、みんなの思う「カワイイ」になりたかっただけで、自分の思う「カワイイ」になりたい訳ではなかったということに気づきました。なりたいイメージを持つことはすごく大事なんですけど、その動機が、「みんなが良いって言うから良い」っていうのは良くないと思います。整形をして、良くなっているはずなのに、自分は全然そう感じない。「私の」なりたい、「私が」なりたい、が大事なんです。私がどんな姿であれ、みんなのお気に入りじゃなくて、自分のお気に入りにならないと、心は満たされないことをすごく実感しました。

島貫私も大学生の時に言われた心無い言葉が原因で自分に自信が持てませんでした。「カワイイね」って言われることはあっても、自分ではそう思えないから、トゲのある返しをしてしまい、それでまた悩んだこともあります。社会人になってからの友人に「自分のことを卑下したり、否定する必要はないんじゃない?」って言われて、確かに、そうなのかな、と思うようになりました。自分のことを好きになるのは難しくても、まず自分を否定しないことはできるのではないのかなって思って。人生で出会った、たった数人の心無い言葉の呪いに囚われるのはやめて、ポジティブなことはしっかり受け止めるのがいいのかなって。まずは、必要以上に自分を誰かと比べたり、卑下するのをやめてみることから始めてみて、自分がなりたいと思うKAWAIIを見つけていって欲しいなと思います。

 

URIかわいくなりたいっていう気持ちはすごく素敵なことだからこそ、その「かわいくなりたい」ってことで落ち込んじゃう子もたくさんいる気がします。でもそれはやっぱりみんなを基準にしているからで、その基準は疑った方がいいと思います。自分のことをずっと好きでいるのって難しいことだけど、それでも自分を好きになる努力をしてほしいと思います。「みんなが」じゃなくて「自分が」を大事にしてほしいし、誰かのお気に入りじゃなくて、「自分のお気に入り」になってほしいです。

ーーありがとうございました。

編集後記

私は「ありのままの自分が一番美しい」と最近になって思うようになりました。でも私の周りに、太った?とか外見のことを平気で指摘する子や、必死にダイエットをしている子もたくさんいます。目が大きく見えるメイクや二重テープを使う子もたくさんいるし、女の子はこうあるべき!と発信するSNSもよく見かけます。私も最近までダイエットもしていましたが、自分はそのままでいいんじゃないのかと思うようになりました。そう考えていても、周り(社会)はそうじゃない人が多いし、また、私を評価するのも周り(社会)ということも事実です。
実際、万人ウケするものを選択することが誰にとっても、周りと関わって行く中で一番楽な方法かもしれません。しかし、それで自分がいつも満足できるとは限りません。私は自分らしくありたいけど、それが「世間一般的な可愛さ」に当てはまっていないことから、傷ついたことがあり、自分らしくあることが怖くなってしまったこともありました。しかし、今回の記事でお二人がお話してくださったように、結局自分のなりたい像の動機が「他人がイイって言うから」っていうのは、自分の中でその妥協とか我慢とかが積もっていつか壊れてしまうのかなって改めて思いました。

先ほど傷ついた経験があると書きましたが、その私にとって自分らしい自分を表現したときに、「カワイイ」とか、「綺麗」って言ってくれる子もいたことは事実です。でも一言の酷い言葉が一番強く刺さるし、きっとそう感じてしまうのは私だけではありません。
100回のカワイイっていう言葉は1回のブスっていう言葉には敵わないことが多いです。しかし、私は私を大事にしてくれる人を大事にすればいいし、私のことを大事にしてくれる人たちは私がどんな姿であっても愛してくれているし、大事にしてくれます。
結局何が言いたいって、「カワイイ」は人の感性からくるもので、決まった基準なんて本当はありません。様々なメディアが様々なシーンで私たちに「こうあるべき」というイメージが洗脳的に植えつけられているから、「私はこうならなきゃいけない」、「私は◯◯だからダメなんだ」って思ってしまうことがあるのだと思います。しかし、「カワイイ」の定義なんて時代や地域によって全く異なるもので、長い目で見ればそれは一時的なものでしかありません。そのため、これ以上世間一般が決めた可愛いという枠に私たちは縛られなくていいんじゃないのかなと私は思っています。

 

 

 

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gakuseikichi

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