こんなにたくさんの食料が捨てられてしまうのか。もったいないな。
飲食店でアルバイトをしている人は一度は思ったことがあるのではないでしょうか?
そんなフードロスに対して、美味しくその問題を解決しようと期間限定で大分県別府市にレストランがオープンします!
今回はプロジェクトメンバーの1人である石田桜さんにお話を伺いました!
日本のフードロス事情
『捨てられる予定だった食料がまだ食べられることを証明し、社会にフードロス削減の意識を広めると共にその食料を生かして人々を笑顔にする』というミッションのもと経営している飲食店。大分県別府市に4か月限定でお店を営業している。
場所:ルアナカフェ(大分県別府市北浜1-14-15)別府駅から徒歩10分程度
―本日はよろしくお願いします。まず始めにこの企画のきっかけを教えてください。
私がアルバイトしている飲食店で毎日のようにフードロスが出ています。それを見ているのが辛かった。この話を尊敬するインターン先の先輩に話したところ、この企画が生まれました。先輩はシェアリングエコノミーの会社を運営していて、本来、使えるのに捨てられてしまうものをシェアすることによって生活を豊かにするサービスを提供しています。
―身近な出来事がきっかけで始まったのですね。続いて、レストランについてお伺いします。このレストランの特徴をお聞かせください。
Trash Kitchenは2つのコンセプトがあります。
1つ目は、フードロス削減を目標とした飲食店です。まだ食べられるのに捨てられる予定の食料を集め、調理・提供します。フードロスの問題が深刻になっている現代、多くの人にこの問題に対する意識を広めていきたいです。
2つ目は、コミュニティの場であるという点です。料理を楽しむだけでなく、人との出会いも大切にしたいと考えています。フードロスに関心のある人はもちろん、エシカルやシェアリングエコノミーなどに興味のある人も運営に携わっています。
また、レストランは週5日の営業ですが、就活イベントやスポーツのパブリックビューイングなど、様々なイベントを開催し、人と人とが出会える場をつくる予定です。
※エシカル(ethical)とは?
倫理的、道徳上のという意味。最近では倫理的=環境保全や社会貢献という意味合いが強くなっている
※シェアリングエコノミーとは?
インターネットを介して、個人と個人の間で使っていないもの・場所・技能などを貸し借りするサービス。
―この企画を実現するにあたって新たに発見したことは何ですか?
フードロスは生産者側も処理にかなり困っているということを知りました。フードロスというと、消費者が廃棄したものと考えがちですが、生産者も例えば規格外のものがある場合、自分たちだけでは消費しきれず、廃棄してしまうこともあるそうです。見た目が悪くても味は他の商品と変わらない食材もあるため、そういったものを上手く活用する必要があると感じました。そのためにどうやって私たちが消費するか、その仕組みづくりが大事だと思いました。
―この企画を実現するにあたり、苦労したことは何ですか?
一番大変だったのは、場所探しです。Trash Kitchenは4か月の期間限定のため、その期間で提供してくれる場所を探すのは一苦労でした。結局大分の別府市に決まりました。「別府は遠い」と思う人もいるかもしれませんが、温泉で有名ですし、観光のついでに気軽に寄っていただけるレストランなので、ぜひ足を運んでほしいです。
また、プロジェクトが始動したのは7月です。そこから短い期間でTrash Kitchenをオープンさせるために、「フードロスを削減するためにはどうするべきか」「どうしたら行きたくなるレストランになるのか」など議論しました。
―短期間でレストランオープンまでたどり着いたのはすごいですね!
このレストランをオープンさせることへの思いをお聞かせください。
私たちが行動に移さなければ、周りの人の意識も変わりません。本来なら捨てられてしまう食材をまだ食べられるということを皆さんに見せたいですね。ゴミが減れば、生産者が喜ぶだけでなく、環境への負担も減り、豊かな世界を創ることができるのではないでしょうか。
日本のフードロス事情
―フードロスという話題が出てきましたが、日本のフードロスはどのくらい深刻なのでしょうか。
日本では年間2759万トンが廃棄されていますが、このうち643万トンがまだ食べられるのに捨てられる『フードロス』と言われています。これは国民一人当たり毎日お茶碗1杯分が廃棄されているという計算です。さらに、飢餓に苦しむ人々への世界の食料援助量は年間380万トンですので、これをはるかに超える量が廃棄されているということがわかります。
―ちなみに世界のフードロス事情はどうなのでしょうか。
世界の食料廃棄量は年間約13億トンと言われており、これは、人の消費のために生産された食料のおよそ3分の1を廃棄しているという計算になります。世界の人口が増加している中、このように食料廃棄が続くと、飢えや栄養失調で苦しむ人々に対する問題も一向に解決できない状況となってしまいます。
―これほど深刻なのですね。
日本のフードロスが多い理由の一つに3分の1ルールが考えられます。他国と比べてもかなり短いと思うのですが、さくらさんはこの件に関してどう考えていますか。
大事なのは賞味期限ではなく、消費期限の方ではないでしょうか。賞味期限を過ぎたからといって、すぐに食べられなくなるわけではありません。食べるか食べないかは自分の判断になってしまいますが、安く販売したり、期限間近のものに手を加えたり廃棄をなくすよう工夫する必要があるのではないでしょうか。
※3分の1ルール
商品の製造日から賞味期限までを3分割し、納入期限は製造日の3分の1の時点まで、販売期限は賞味期限の3分の2の時点までを限度とするもの。それを越えた商品いついては廃棄されることがほとんど
―フードロスを減らすために学生ができることは何だと思いますか。
大学生になり、一人暮らしをする人も多いと思います。一人暮らしで難しいのは、食品を上手く消費することですよね。買ったものを消費しきれず捨ててしまう人も多いと思うので買う前に自分で消費しきれるか考えることも必要でしょう。
また、サルベージパーティという、家庭で使いきれない食品を持ち寄ってシェフが美味しい料理に変化させるというパーティも少しずつ浸透しています。
こういった小さな工夫によって自分自身の生活が豊かになるだけでなく、社会問題解決につながるのではないでしょうか。
―最後に、この記事を読んでいる学生に一言お願いします。
ぜひこのTrash Kitchenに足を運んで欲しいです。ただ美味しい料理を食べに来るのもいいですし、様々な経験や考えを持った人に会いたいという目的でも構いません!どなたでも気軽に来て欲しいと思います。
―今日はありがとうございました。
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