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文章のお手本『天声人語』担当者に聞いた!文章上達のコツと学生へのアドバイス

レポート課題や就活のエントリーシートなど、文章を書く機会の多い大学生活。
大きなテーマしか指定されておらず、ネタ探しや構成を考えることも、課題の一部です。

「大学生になったのだから、伝わる文章が書けるようになりたい」
「就活のエントリーシートで、うまい文章を提出したい」

文章上達への志に応えるべく、「文章のお手本」といわれる朝日新聞掲載コラム『天声人語』の担当者の一人、谷津憲郎(やつのりお)さんに、文章のコツをうかがいました。

今回は、谷津さんに教えていただいた、①伝わる文章執筆のコツ、②エントリーシートの書き方、③大学生にオススメの文章トレーニング方法を紹介します!

谷津憲郎さん
朝日新聞朝刊の連載コラム『天声人語』担当者の一人。
大学時代は、文学部社会心理学科を専攻し、唯一の文章経験は自転車部の部誌を書くこと。新卒で朝日新聞社へ入社後、水戸、仙台を経て東京社会部へ。沖縄などを担当し、2022年10月から現職。 

 

『天声人語』は「付箋術」を用いて書かれる

▲ 日々の工夫を詳細に教えていただきました

『天声人語』を書くとき何に一番苦労するかうかがうと、「全部」と即答された谷津さん。
文章を書くことが得意という認識は、全くないと言います。

特に、毎日連載のコラムなので、書いた文章を時間を経て見直せないことが大変だと感じるそうです。

時間に限りがある中、「書いたからには一人でも多くの人に読んでもらう」文章にするため、谷津さんは「付箋術」を活用されています。

以下、谷津さんの『天声人語』執筆過程になぞらえて、「付箋術」を紹介します。

 

担当前日の夜:テーマと主張を考え、素材を集めはじめる

『天声人語』は、①テーマ、②主張、③素材の3つの要素からなります。

谷津さんは、この段階で起承転結などの構成は考えないそうです。

「結局、何を書きたいんだっけ」という迷走パターンに陥らないためにも、①テーマ、②主張、③素材の3要素をしっかりかためます。

 

当日7:30:出社し、付箋を出す

担当日には、朝7:30に出社するという谷津さん。
コラムに盛り込みたいことを、付箋に書き出していきます。

午前中は、要点を書いた付箋をノートに並べて、順番を入れ替えながら、コラムを暫定的な形にします。
起承転結は、入れ替えを繰り返す中で考えるそうです。

なんとなく形になると、コラムが白紙になることはないので、安心するそうです。
お昼以降は、文章をブラッシュアップします。

 

17:00:補佐の人に読んでもらう

『天声人語』担当者には、原稿を確認してもらうデスクがなく、代わりに若手の補佐がついています。
「この部分はわからないです」などと指摘をもらい、原稿を修正します。

『天声人語』は3人で担当していらっしゃるようなので、「お互いの文章は読まないんですか」とお尋ねしたところ、「そんなおっかないことできません(笑)」と。
自分が書く文章に裁量がある一方で、書いたものがそのまま商品になってしまいます。

 

21:00:朝刊締め切り

締め切り時間になると、「そうか、今日もこれくらいしか書けないか」という気持ちになるそうです。

たくさん悩んで過ごした担当日は、しんどいと思うこともあると言います。
しんどさを和らげるためにしていることを聞くと、「終わった日を想像する」と笑っていました。

ただ、締め切りは絶対です。
いい文章も、締め切りまでに出せないと読まれないからです。

 

おまけその1:ネタ探し

谷津さんが文章を考えるときに使う付箋は、ネタの引き出しを増やすため、読書のときにも使います。
印象に残ったところには付箋をつけることを心がけているそうです。

本を2冊読むと、ロールタイプの付箋(70枚入り)を使い切ってしまうと言います。
読んでいるときは「気に入ったフレーズやエピソード、共感したところ、逆に『それは違うのでは』というところ」全てに貼り、あとで剪定して減らします。

「ただ、現状は印をつけるだけに留まっていて、コラムを書く際などにうまくアウトプットできないことに困っています」と笑っていました。

 

おまけその2:高度な文章テクニック

「いわゆる文章の書き方本、文章読本は嫌いではないですよ」と谷津さん。
特定の誰かの文章をまねするのではなく、ちょっとずつ知恵として拾っているそうです。

今回の取材の中で、普段意識していることとして谷津さんは3つほどあげていました。

  • 一文は短くする
  • 主語と述語は近くに置く
  • 修飾語は直接かかる語の前に置く

本多勝一さんの『日本語の作文技術』(朝日文庫)もおすすめです。

 

ESには「人間らしさ」を書くといい

大学生の文章執筆の実践について、朝日新聞社で面接官の経験もある谷津さんに、エントリーシートのアドバイスをお尋ねしました。

新聞記者は、常に「文字に書かれたものの裏を読むこと」をしています
どのような文章を読むときにも、「こう書いてあるということは何かここに意図があるんだろうな」「書いていないことは何だろう」と考えるそうです。

エントリーシートも同じで、美辞麗句を連ねても「役所の広報文みたいだな」と思われるとか。
人物取材をするときのように、「何で苦労して、どのように乗り越えようとしたのか」を考えて、「人間らしい」と思える文章を心がけるといいとアドバイスしていただきました。

 

学生の頃から日記を書く

▲ 「『学生生活は勉強で手一杯だった』で何が悪い」と谷津さん

新聞記者は、書きながら文章力をつけていく「オン・ザ・ジョブ・トレーニング です。
実践を通して、業務知識を学ぶこと

谷津さんも多くの新聞記者と同じように、入社後、地方版の事件・事故を報道する「型」を覚えるところからはじめています。

また、地域のお祭りなどを取り上げるときは、前年の先輩の⽂章を参考にしつつ、それよりもうまく書き たいと⼯夫を重ねたと⾔います。 
デスクからの指摘からも学ぶことがたくさんあったようです。

高校生の頃から「何かを調べてものを書く人」になりたかった谷津さん。
しかし、大学卒業までにした文章の訓練といえば、自転車部の部誌を書くことくらいだったと振り返ります。

学生の頃からトレーニングできることをうかがうと、「自分がもし学生の私にアドバイスするならば、お前日記は書いておいた方がいいぞ」と。

自分のわかっている言葉だけで満足するのではなくて、もしかしたら誰かが読むかもしれない日記として、出来事をまとめる練習をするといいとアドバイスをいただきました。

世界を届ける仕事/朝日新聞GLOBE+

文章のお手本『天声人語』担当者の知恵

▲ 今回の記事執筆に使った「付箋術」

文章に「自信があるかといったらまったくない」と即答された谷津さん。
しかし、教えていただいた「付箋術」を今回の記事執筆に試してみたところ、文章の構成が組みやすく、記事を綺麗に書きまとめることができたような気がします。

何度も書き直したり、並べ替えたりするにはデジタル版がいい!という方には、Miro(https://miro.com/index/)などをおすすめします。

あとは「継続は力なり」。上達には、練習あるのみです。

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chisaki

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