本日は、お日柄もよく
スキルアップ

【王道スピーチ小説】原田マハ「本日は、お日柄もよく」から学ぶ、スピーチの極意!授業でも役立つかも!

スピーチが苦手…

人前で話すのって緊張するし、恥ずかしいし、全然好きじゃない…

 

そんなあなたに、ぜひ読んでほしい1冊があります。

 

その1冊とは、原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」です。

笑いあり、涙あり、読み手の心に火をつける力もある、この1冊。

 

タイトルに【王道スピーチ小説】と書きましたが、スピーチに限らず「言葉」というものに興味がある方には、刺さる要素たっぷりの物語だと思います。

 

〈あらすじ〉

OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!目頭が熱くなるお仕事小説。

原田マハ「本日は、お日柄もよく」徳間文庫 裏表紙より

 

この記事では、スピーチの極意を「本日は、お日柄もよく」から学んでいこうと思います。

 

*ネタバレは含んでおりませんので、小説を読んでいない方でもお楽しみ頂けます!

 すっごくすっごく素敵な小説なので、「まだ読んでいない!」という方はぜひ!!!

 

この1冊についてもっと知りたい方はこちら(徳間書店「本日は、お日柄もよく」公式ページ)

 

その1、「静」

「静?どういうことだろう?」

 

そう思った方、多いのではないでしょうか。

初めて「本日は、お日柄もよく」を読んだとき、私も「どゆこと?」と思いました。

 

でも、この「」という一文字にはスピーチにおいて大切な意味が含まれています。

 

それは、心を平静にするということ。

 

①スピーチの原稿を書くとき

 

②スピーチの舞台に向かうとき

 

③スピーチを始めるとき。

 

いずれの場面においても「静」がスピーチの基本になっていきます。

 

①スピーチの原稿を書くとき

心を平静にして、スピーチの目的は何なのか、考えます。

 

スピーチの目的を改めて明確にすることで、

 

・聞き手に何を伝えたいのか。

・それを伝えるためには何を話すべきか。

・どの順番で話すべきか。

・どんな口調で話すべきか。

 

などなど、自分のやるべきことを具体的に把握できるようになります。

 

②スピーチの舞台に向かうとき

ここがいちばん緊張する場面ですが…。

ここでも、心に「」の文字を思い浮かべます。

 

『必要以上に力を入れたり、威勢を張ったりする必要はない。人前に出るのだから、無理に目立つ必要はない。力を抜き、心静かに平常心で臨む。』

(p80より)

 

等身大の自分で大丈夫、だから落ち着いてスピーチの場に向かいましょう。

 

*あがり症の方にぜひ読んでほしい、ガクセイ基地おすすめ記事

【あがり症で辛い…】現あがり症の筆者が落ち着いて人前でも堂々と話せる秘訣を教えます!

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③スピーチを始めるとき

壇上に上がったら、まず会場が静かになるのを待ちます。ここでも「」です。

 

会場が静かになるのを待ち、壇上の自分に注意を引き付けます。

この「静」を形作ることで、スピーチの一言目がより魅力的なものになるはずです。

 

『そして、壇上に上がって、まず五秒待つ。会場が静かになるのを。五秒で無理なら、十秒。それでもだめなら十五秒。十五秒というのは、けっこう長い。たいてい、聴衆は十五秒以内に静まる。だから、壇上に上がってすぐに始めずに、五秒間隔で静かになるのを待つ。』

(p80より)

 

そして、大事なスピーチの導入部分。ここでもあくまで「静か」にスピーチをスタートさせます。

 

ここで大事なのが、無駄な言葉を省くこと。

「ただいまご紹介に預かりました、〇〇と申します」

「暑い中お集まり頂き、誠にありがとうございます」

「祝辞を述べさせて頂きます」

「発表を始めます」

などなど、ありきたりな言葉を言ってしまうと、せっかくつくった会場の「静」が台無しになってしまいます。

 

スピーチの冒頭に必要なのは、印象的で、聞き手の心を打つ言葉です。

 

『いきなりエピソードから始めてもいい。結論を先に言ってしまってもいい。とにかく、最初のフレーズがどんなふうに聴衆の耳に届くか。それでそのスピーチの印象が決まる。聴衆を煽る激しい言葉や、あまりにも力強いフレーズは避ける。あくまでも、静かに、けれど心を打つ入口を作る。』

(p81より)

 

その2、「読まない」

そう、実はスピーチって「読むもの」ではありません

 

私も「本日は、お日柄もよく」を読むまでは

「スピーチって読むもんでしょ!」と思っていたのですが…。

この本を読んで腑に落ちました。

 

スピーチは読むものではなく、話すもの語りかけるもの

自分の心にあるまっすぐな思いを話してこそ、聞き手に届くスピーチをすることができるのです。

 

「読まない」=「原稿ばかりを追って棒読みしない」

 

伝えるスピーチをするときには、全文暗記が鉄則です。でも正直、全て暗記するのはきつい。だからこそ、一文は短く簡潔に覚えやすいエピソードを入れるのがおすすめです。

 

 

『原稿はきっちり仕上げる。けれど、決して読まない。どんなにすぐれた原稿であっても、棒読みになったとたん、聴衆の関心が薄れるから。必ず、全文暗記すること。
 とはいえ、あまりに複雑で長い文章は覚えられないから、ごく短くまとめること、その中で、自分でも覚えやすいエピソードを交えるといい。
 言葉を贈る自分も、贈られる側も、一生忘れないようなエピソードを。』

(p91より)

 

その3、「繰り返しは効果的に」

 

スピーチの核となる内容って繰り返してしまいたくなってしまいますよね。

 

結婚式のスピーチなら「おめでとう」という言葉。

お礼のスピーチなら「ありがとう」という言葉。

どちらも素敵で、「伝えたい」という思いがあるからこそ多用してしまう訳ですが、同じ言葉の繰り返しは厳選をして、効果的に使用するべきです。

 

「本日は、お日柄もよく」内で、政権交代を叫ぶ野党が効果的に繰り返しているのは、「いますぐに、まっすぐに」というフレーズ。

わかりやすく、覚えやすく、そのスピーチを象徴する一言。そんな一言を効果的に使用すると、人に伝わるスピーチをすることができるはずです。

 

 

『「それから、お祝いを繰り返しすぎ。『このたびは、ご結婚おめでとうございます。また、ご両家のご親族の皆さまがた、このたびはまことにおめでとうございます。心より、お祝いを申し上げます。……中略……わたくしといたしましては、このよき日を、ご臨席の皆さまがたとともに祝したいと思う次第でございます』って、出だしの一分でお祝いを四回も言ってる。で、また聴衆の耳が離れる。なんだこいつ、おんなじことばっか言ってるよ、ってね」
(略)
「同じフレーズを繰り返すのは、スピーチの中で、使い方によってはすごく効果的なことなのよね。ただし、それがすごく魅力的なセリフで、心の中にすうっと入ってくる言葉だったら、だけど」』

(p13より)

 

おわりに

 

いかがでしたか?

苦手なスピーチというものが、少し身近で魅力的なものに思えてきませんか?

 

最後に、「本日は、お日柄もよく」の冒頭に掲げられている「スピーチの極意 十箇条」をご紹介して今回の記事を締めくくろうと思います。

 

 
スピーチの極意 十箇条
一、スピーチの目指すところを明確にすること。
二、エピソード、具体例を盛り込んだ原稿を作り、全文暗記すること。
三、力を抜き、心静かに平常心で臨むこと。
四、タイムキーパーを立てること。
五、トップバッターとして登場するのは極力避けること。
六、聴衆が静かになるのを待って始めること。
七、しっかりと前を向き、右左を向いて、会場全体を見渡しながら語りかけること、
八、言葉はゆっくり、声は腹から出すこと。
九、導入部は静かに、徐々に盛り上げ、感動的にしめくくること。
十、最後まで、決して泣かないこと。  

           (p3より)

 

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About the author

nodoka

法政大学社会学部メディア学科

趣味:食べること、寝ること、読むこと

いい意味でも、悪い意味でも能天気です😘

今年の目標は、素直に自己表現することです。

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