「旅行」といえば「温泉」、「レジャー施設」などの観光スポットに行くという流れが一般的ですよね。つまり、旅行のメインとなっているのは食べ物や、施設など。しかし、その食べ物を育ててくれた農家、おいしく調理してくれた料理人、施設をきれいに保ってくれる人など、観光は「人」に支えられています。
これからの観光は、そんな「人」にスポットを当てて、地域観光をもっと盛り上げたい。そんな思いで作られた観光ガイドブック「COMMUNITY TRAVEL GUIDE」をご紹介します。
目次
コミュニティ・トラベル・ガイド「三陸人」
このガイドブックが発売されたのは2014年。
東日本大震災から数年が経過し、人々の東北への興味や関心が徐々に薄れているのではないかという危惧がありました。しかし、完全な復興を目指す三陸に必要なのは、たくさんの人に三陸を訪れてもらうこと。そのために、三陸を訪れる新しい理由が必要でした。
そこで、復興についての取材をする中で出会った魅力的な人たちの様々な思いを、一冊の本にまとめて発信することで、三陸の魅力に気づいてほしい。たくさんの人に三陸に訪れてほしいという思いで制作されました。
三陸人の良さは、ただ魅力を伝えるだけの本ではない所です!本を出版するために、住民参加型のワークショップを開催し、地域の隠れた魅力や素敵な人々を発掘するところから行っています。その結果、今までつながりのなかった地域や人々をつなぐ新しいコミュニティを作り出しました。また、本の制作代金をクラウドファンディングで集めることで、支援した人にとってこの本の出版が「自分事」になるようにしました。
今まで食べ物や施設が主役だった観光を、その土地に住む人々をガイドブックの中に取り上げることで、「その人たちに会いに行く」という新しい目的を生み出しました。
その画期的なアイデアが評価され、グッドデザイン賞を受賞しました。
受賞ページはこちら http://www.g-mark.org/award/describe/41743?token=hpeQlLTHgS
実際に読んだ人の感想
・これを手に、久慈〜宮古〜釜石〜気仙沼〜石巻を旅しました。
紹介されているお店の状況や店主の理念などがよく分かって
とても面白く思います。大船渡で通りかかった旅人が「私と同じ本だ」
と微笑んでくれ、結構人気があるのだなと思いました。
・公共事業だけでは、本当の震災復興やまちづくりはできません。人と人が出会い、活動し、そこに経済活動が伴うこと。そして、心の通う場所に育てて行くこと。
この本は、そんな場所にたどり着けるマニュアルです。
・どの方もいきいきとした笑顔でいいですね。
三陸地方に行ってみたい、そしてぜひ会ってみたいと思わせるガイドブックでした。
(Amazonカスタマーレビューより)
そこから復興の輪は広がっていくのではないでしょうか。
(画像提供:公益財団法人 日本デザイン振興会)
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