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「大鹿村から吹くパラム」制作 映画監督金明允さんインタビュー【第三弾】

10月に開催された東京学生映画祭(ガクセイ基地でも取材させて頂きました!記事はこちらから)でグランプリを受賞された「大鹿村から吹くパラム」。今回はその作品を監督された金明允さんにインタビューさせて頂きました。先日公開しました吉田就彦さんのインタビュー記事、木暮人国際映画祭でも上映される作品です。(木暮人国際映画祭 吉田就彦さんの記事はこちらから。)
作品自体のお話にも触れましたので、ぜひ作品を見て、インタビューと合わせて楽しんで頂ければと思います。

今回のインタビューは第三弾になります。第一弾、第二弾のインタビューは以下のリンクからご覧ください。

【第一弾インタビュー】【第二弾インタビュー】

 

【大鹿村から吹くパラム トレーラー:木暮人国際映画祭公式youtubeより】

映画について

―映画そのものの魅力は何ですか?

本当にたくさんの魅力があると思うんですけど…。僕は韓国に3年程帰っていなくて。でも、韓国の映画祭でも上映する機械を頂きまして、映画を通して地元の友達や家族とあいさつをすることが出来て、そういうことが出来る事って良いと感じました。映画って一つの生き物だと思っていて、自分の周りの人たちや大鹿村の人々、他にも…そう、今回のインタビューもですね。そういった新しい出会いを結ぶような絆にもなってくれているなと感じますね。僕は上映先に行くことが出来なくても、映画があちこち旅をしてくれるおかげで自分も一緒に旅をして、新しいものに出会えるなと思いますね。

 

―この映画を見てほしい方はどんな方でしょうか。

リニアの問題を考えている人、逆に全く知らない人、大鹿村の人々はもちろんですし、韓国人という僕が撮ったものを見たいと思う日本人の人も見てほしいし…。
でも、これは自分のための映画なので。やっぱり作り手である自分が観たいと思えることが大事だなと思います。自分が撮る前も、撮影中も、一番この映画を見たかったから。自分の魂を救ってくれた物語、映画として、自分を満足させられたことが実は大切だったりもしています。

―それこそ、大鹿村の方々から映画の感想は頂きましたか?

はい。ほめてくれる方もたくさんいて「よく頑張ったね」とか、それこそサイモンさんは「Good job!」って。でも、僕が撮ったところだけが大鹿村の全てじゃないですし、一部に過ぎなくて。まだ全然大鹿村の魅力は描いていないと思います。これは僕にとって大鹿村との出会いを描いた物語なんです。だから、第二作、第三作も出来たらいいですね。

―映画製作の苦労はなんですか?

これは本当にたくさんあります。種類の違う苦労がたくさんある。精神的な物もあるし、肉体的なものもずっとあります。一人だったからなおさら大変で、つらいところもありましたしね。でも、ある程度の苦労がないと映画は生まれないと思うし、作り終わったら、ぱぁっと消えてしまった感じがして、今は具体的に出てこないですね。

―反対に楽しみは何ですか。

お酒かな。一緒に夜にお酒を飲んだのは楽しかったですね。あと、大鹿村はヒッピーの文化があるんですよ。日本の聖地で。
面白い人たちがたくさんいて、宗教的な要素もたくさんある。僕もそういう山を愛する人と一緒に暮らせたことは幸せだったと思います。

【「ヒッピー」について知りたい方はこちらから。】

 

―今回の映画では宗教的なシーンがところどころにあったと思います。宗教的な事は日本ではあまり重要視されないと思うのですが、どのようにお考えでしょうか。

サイモンさんがお祈りをして、大払いという儀式もあって、踊っている人もいて、最後には皆が歌っている。それは人間の宗教的な営みですよね。自然と共に生きている人はそういうものを大事にしている人達であり、大鹿村の一つの魅力だと思います。祈りっていうことがそこにある。

―祈るとはどういうことだと思いますか。

僕がまさに大鹿村で教えてもらったことは「祈る」ということだと思います。
大鹿村に関わって、僕の中でずっとなぜ人間って自然に入って祈るのかということを考えさせられました。特定の宗教ではなくて「祈る」こと、そのものに重みがある。祈る事は千年前も昔からあったし、今もあるし、これから百年もある。人間って祈るものだと思うから。歌う事や物語を書く事も祈りになるし、僕ならドキュメンタリー映画を撮る事が祈りになる。大鹿村の祈り、信実的な気持ちも含めてあの暮らしは成り立っているのかなと思います。

ー今後の予定や目標はなんですか?

映画って皆主演もしたいし、監督もしたいと思うんです。映画を嫌いな人っていないと思うし、少なくとも僕自身は会ったことがない。自分が映画を作らなくても世界にはたくさんの映画があふれている。だけど、それでも自分が観たい映画を作りたいと思いますし、自分を満足させる映画を撮りたいですね。大鹿村から吹くパラムはそういう映画であったから、自信にもなっています。自分の息子みたいな感覚なので、そういう映画を作り続けたいです。もちろん、偽物ではなく、オリジナルで。次の愛を、次の作品との出会いを楽しみにしています。

大学生へのメッセージ

―最後に大学生へのメッセージをお願いします。
大学生というより…20代前半の人に向けて話しますね。20代前半は一番センシティブで、傷つけられることも多いし、人間関係も大変な時だと思うけど、そこをどう乗り越えるかで人生が変わると思います。もし映画が好きなら、20代前半に映画をたくさん見てほしいです。脳ではなく、心にそれが残ると思うので、そういうものを大事にしてほしい、そういうものを通して、厳しい時期を乗り切ってほしいなと思います。僕は映画の神様のおかげで救われたので、映画がそういう風に救いになったらいいなと思いますね。

編集後記

今回は映画監督である金さんにお話を聞きました。このインタビューは私の対面での初めてのインタビューでもあり、私が突撃依頼をしたものでもあります(笑)
私は東京学生映画祭のインタビューを以前させて頂き、そのご縁で映画祭にお邪魔しました。その日、上映されていたのが、正にインタビューを受けて下さった金さんの「大鹿村から吹くパラム」という映画です。
私自身が以前暮らしていたところもとても自然の豊かな美しいところです。映画の中に出てくる大鹿村に、私は自分の「ふるさと」を見ました。そして、インタビューの中でもお話している「ブナの木を見上げる」シーンが本当に好きで、頭にはっきりと残りました。そんな気持ちのまま、これは話を聞くしかない!と思い立ち、上映後に金さんに「ガクセイ基地の植松です!映画が素敵で声をかけました!インタビューさせて頂けませんか!」という申し出を突然させて頂きました。もう、何やっているんだ案件です。怪しい人間と思われていても不思議ではありません(笑)快く金さんがインタビューを受けて下さり、本当に感謝しています。インタビューで素敵なお話をお聞きできて、もっともっと映画が好きになりました。

さて。皆さんにとっての「ふるさと」はありますか。自然はお好きですか。自然や技術と共にどう生きていきたいと思いますか。
貴方の心に、この映画が『パラム』(風)となり、吹き付けていきますように。貴方の日々の時間の中に、大鹿村の人々の姿、そこにある愛が届きますように。
そんな祈りがこの記事から伝われば幸いです。

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ガクセイ基地では他にも様々な方にインタビューさせて頂いています。またコラムなどもありますので、お好きな記事を見つけて、ぜひチェックしてみてください。

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