二週にわたり、ポプラ社に行ったインタビュー内容をご紹介しています。
第1弾では、本の制作過程や、ヒット作を生み出し続ける秘訣についてお伺いをしました。
そして第2弾では、ロングセラーの『ズッコケ三人組』の40周年企画「あつまれ!ズッコケ三人組40周年同窓会」についてご紹介いたします。
目次
「あつまれ!ズッコケ三人組40周年同窓会」は何をするの?
・広島での展示会/那須先生の講演会<終了>
「ズッコケ三人組」は作者・那須正幹先生が生まれ育った町、広島市己斐町をモデルにした花山町を舞台にストーリーが展開されます。展示会では、シリーズ内でも人気の単行本の複製原画の展示や、昭和53年に刊行した第1巻目『それいけズッコケ三人組』から、50巻目となる平成16年刊行の『ズッコケ三人組の卒業式』まで、昭和から平成を駆け抜けた26年間を、当時のニュースや流行とともに見られる年表が展示されました。
また、作者の那須先生による講演会が開催されました。
https://www.poplar.co.jp/topics/44181.html
・東京での「あつまれ!ズッコケ三人組40周年同窓会」
8月4日、5日の2日間にわたり、子供から大人まで『ズッコケ三人組』のファンが、東京に大集合します。〇×クイズや、那須先生と辻村深月先生のトークイベントなど様々企画が準備されています。
内容詳細は、取材記事後半にて記載しております!
https://www.poplar.co.jp/topics/44626.html
・「ぼくらが仲間になった時」オマージュ本の刊行
今の小学生が読んで面白いと感じられる新しい3人組のお話を現代の作家さんが描きます。5つの短編がつまったオマージュ本「ぼくらが仲間になった時」を通して、ズッコケ三人組のスピリットが新しく、そしてこれからもつながっていくことでしょう。
話題となった広島でのイベントと東京でのイベント詳細
―すでに開催された広島での展示会と那須先生の講演会の反響はいかがでしたか。
門田:ズッコケ三人組の舞台は広島がモデルになっています。広島のみなさんも自分の町の物語だと思ってくださっていて、熱く迎えていただきました。
那須先生の講演会も満席で、会場内に入りきらずにモニターを準備することになったほどですよ!
講演会の様子
―那須先生はどんな方なのでしょうか。
門田:とても気さくな先生でスランプになったことがないとおっしゃっています。
大人になってお年産から誘われて同人誌に参加し、そこで児童書を読んでみて「自分ならもっとおもしろいものが書ける」と感じて、書くことを始めたそうです。だからこそ面白いことに忠実なんです。
また「若い層から新しく、楽しい物語の書き手が出てきてくれるように」、という思いから公募の新人賞の開催をポプラ社に提案してくださり、審査員も自ら務めてくださっています。
―それでは夏に企画されている東京での同窓会はどのようなイベントなのですか。
杉本:『ズッコケ三人組』に関するクイズ大会や、『ズッコケ三人組』シリーズ中でおススメ巻に潰え熱く紹介しあうビブリオバトル、50巻中で人気投票をした総選挙の結果発表、また那須正幹先生のトークショーにゲストとしてと辻村深月先生においでいただくなど、盛りだくさんの内容を予定しています。
https://www.poplar.co.jp/topics/44626.html
―「同窓会」というワードにはどのような思いが込められているのでしょうか。
佐野:世代が違っても「懐かしい」という共通の感情をいだけたら、みんな3人組と同じ6年1組の同級生、という思いが込められています。
子供のころ夢中になっていた本も、大人になると案外忘れてしまうものです。イベントを通して昔のわくわくした気持ちを思い出してほしいと思います。そしてその「懐かしい」という感情を「こんな本読んでたんだよ」「この本好きだったよ」とコミュニケーションをとることで子供と共有していただきたいです。
―皆さんの『ズッコケ三人組』のシリーズの中で一番好きな物語はどれですか?
門田:私は、「ズッコケ財宝調査隊」が好きですね。舞台はダムの底に沈んだ村です。初めの一章は丸々北京原人の骨について詳しく書かれているんですが、三人組が出てこないのでとてももどかしい気持ちになってしまいます(笑)
でものちのち、その説明がストーリーに大きくかかわってくるので、「読みごたえがある。なんて大人っぽい本なんだろう。」と感じた記憶がありますね。
佐野:私は、「ズッコケ三人組のミステリーツアー」です。子供の本とは思えないくらいシビアではらはらする作品です。児童書にはふつうそんなに悪い大人は登場しないんですが、容赦なく怖い人が出てくるので、子供だましではないところに新鮮さを感じます。
お気に入りの作品について熱く語っていただきました!
―皆さんがそれぞれ思う『ズッコケ三人組』の魅力とは何でしょうか。
佐野:私にとって『ズッコケ三人組』は大作の入門書のようなものでした。探検ものがあったり、推理ものがあったり、お金儲けをしたり、恋愛、SFなど、一冊一冊まるで新しい世界を見せてくれるので、他のとても分厚い本を読んでいても「これ、『ズッコケ三人組』で読んだことあるようなお話だな」と感じながら読み進めることができた経験があります。
難しい本の物語世界のエッセンスが『ズッコケ三人組』には集約されているんです。
浦野:私はハチベエ・ハカセ・モーちゃんの三人のバランスがいいところが魅力だと思います。けんかしているところもわりと好きなんですよ(笑)
それぞれ違った個性を持っていて、何かをやろうという時にも意見の食い違いがある。でもけんかしても変わらず仲がいいところがかわいいですよね。
門田:個性といえば、3人組がみんなどこかズッコケてるんです(笑) ハカセはあんなに物知りなのになんでテストの点数が悪いの!?といつも思ってしまいます。
そのキャラクターが完璧じゃないところが、ある意味身近さにつながっているんです。今思えば「完璧じゃなくてもいいんだよ」という那須先生からの優しいメッセージのように感じます。
杉本:気が付くと一冊をどんどん読めてしまう展開の仕方も魅力の一つだと思います。子供にとって一冊読み終わる経験は、「もっと次を読んでみよう」という自信につながります。
『ズッコケ三人組』のような本から読むことを楽しいと感じてほしいですね。
―どのような思いでヒット作に携わっているのですか。
門田:私は、『ズッコケ三人組』が一番盛り上がっていたときに小学生でした。『ズッコケ三人組』を読んで成長してきたので、担当をすることになって「まさか」という思いです。だからこそ、自分の「こういうことやったら楽しそうだな」という思いを大切にしています。
浦野;私は『ズッコケ三人組』を読んできた世代ではなく、三人組と同い年なんです。ある意味で『ズッコケ三人組』を読んで育ってきた他の人とは違う視点で振り返ることができると感じています。物語も「こんな時代もあったな」と懐かしく思いながら読んでいます。
佐野:私は『かいけつゾロリ』の30周年プロジェクトにもかかわっていました。その時に、親世代だけではなくその子供も親子で読まれ始めている作品であると強く感じました。
「自分の親が同じ本を読んでた!」「お母さんも子供だったんだ!」と思うととても感慨深いですよね。親子で同じ本について対等に語り合えるという貴重な経験にしてほしいと感じています。
杉本:私自身も一児の母親ですが、ロングセラーのように親子でつないでいく本は、素敵だと思いますね。面白いという感情には年齢差は関係なくて、「楽しい」という感情によって心が溶けあい、コミュニケーションがとりやすい関係に変わっていくと信じています。
本を通して、親子が「楽しい」という感情を伝えあい、それがまた別のコミュニケーションを生む、そのような循環のきっかけになればいいと思っています。
―ありがとうございました!
「あつまれ!ズッコケ三人組40周年同窓会」の詳細は、こちらからご確認いただけます。
https://www.poplar.co.jp/topics/44626.html
ぜひ家族や友達と参加して、「懐かしい」「楽しい」という気持ちを共有してみませんか?
同窓会で実施されるビブリオ対決では、シリーズの中の一押しを熱く語り合います!
ズッコケ三人組の世代の方はもちろん、学生のみなさん、子供たちも、誰でも挑戦することができるので、気になった方はぜひHPよりご確認をお願いいたします。
また、第1弾の記事では、本の制作過程や絵本にかける思いについて伺ったインタビュー内容がまとめられています。ぜひそちらもチェックしてみてくださいね!https://gakusei-kichi.com/?p=38629
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