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ジャーナリストを志す学生必見!不正と真実を暴く「探査報道」とは〜Tansa〜

ジャーナリストとしての使命に忠実に、世の中の不正や真実を暴く「探査報道」記者として働く、特定非営利活動法人Tansaのリポーターの方々を、取材しました。

【特定非営利活動法人Tansa】
 
隠された事実を、取材で掘り起こし報じる、探査報道に特化したジャーナリズム組織。ニュースを消費するものではなく、犠牲者が置かれている状況の改善を図るものとし、事実と証拠を入手する。「探査報道ジャーナリズム世界ネットワーク(GIJN)」に、国内唯一の報道機関として加盟している。
 
ウェブサイト:https://tansajp.org/

 

 探査報道とは、社会的インパクトのある、プロの仕事

ー探査報道ジャーナリストになられたきっかけは、何ですか。

辻さん:世の中にとって大切なテーマを、じっくり時間をかけて、インパクトのある形で報道するということを、専門的な仕事にしたく、選びました。

【辻 麻梨子さん】
 
辻 麻梨子
 
早稲田大学卒業。人々が不条理に虐げられることのないよう、社会を少しでも変えたいという思いから、Tansaのリポーター、東洋経済の記者(児童虐待・医療福祉・労働問題を執筆)として働く。

中川さん:私は大学時代に、社会起業家という概念に出会い、社会を良くしたいという思いがありました。卒業後、NGOに就職し、世界を舞台に働いていましたが、事あるごとに、世界と日本では、報道にギャップがあると感じていました。ジャーナリズム専攻の留学を控えていた時に、Tansaに出会い、事実を報じる姿勢に共鳴し、探査報道を始めました。

【中川 七海さん】
 
中川 七海
2020年に、Tansaのリポーターに。「双葉病院 置き去り事件」や「公害『PFOA』」などを手がける。大学卒業後は、世界最大の社会起業家ネットワークASHOKAで働いた。

渡辺さん:私は、元々朝日新聞で働いていましたが、報道のやり方に疑問を持っていました。具体的に、日本のマスコミは、記者クラブ(政府機関など、組織から継続して情報を得ることを目的に構成される組織)に所属していて、役所や警察の情報を、右から左に流すというような報道スタイルをとっています。それに対して、探査報道は、自分で犯人を見つけに行きます。

新聞社の中でも、探査報道をやる部署がありますが、あまり活動していません。理由は、時間がかかる上に、コマーシャル・広告を出してもらっている企業を責めることができないからです。また、「Tansaによると」のように、自分達を主語にして記事を書くので、責任を追わなくてはなりません。

これまで記者しかやってこなかったような仕事が、一般の人もできるようになった、インターネットの時代に、プロしかできない仕事は、探査報道です。Tansaでは、ジャーナリストが必要とされる分野に、取り組んでいます。

【渡辺 周さん】
 
渡辺 周
 
Tansa編集長。未解決事件や製薬会社と医師の癒着、政治の腐敗というように幅広いテーマを手がける。2000年に日本テレビから朝日新聞に移籍し、社会部や特別報道部で探査報道を担う。

ー探査報道の過程を教えてください。

中川さん:まず、普段の生活の中で気になったことをピックアップして、それをもとに取材を始めます。取材の中で、過去に似たような報道があるのかを調べたり、本を読んだりする中で、こういう犠牲者がいるな、ここが原因だなと考えます。

辻さん:きっかけには、情報提供もあります。あとは、普段目にしている記事とかニュースを見たときに、そこに書かれていないことは何だろうと考えます。特に、新聞などにある小さな記事は、取材が十分にできていないまま掲載されていることが多いため、意識して読むようにしています。

渡辺さん:きっかけをもとに、提示するための事実・証拠を手に入れるためには、ネットワークが大切です。探査報道は、相手が隠すものを暴露しなくてはなりません。相手の組織に深く入り込んで行かないと情報は取れません。不正や、犠牲者を生むような酷いことが起きた時に、これはおかしいと思える人と、普段から関係を築いて、ネットワークを持っておきます。

 探査報道の証拠は、大きな武器

ー探査報道について、どのようなときに一番やりがいを感じますか。

辻さん:私たちの調査をもとに政府が動いた瞬間には、目に見える形で、やりがいを感じます。例えば、製薬会社から医者に払っているお金を透明化するという、製薬マネーデータベースプロジェクトがあります。国会の審議で、そのデータベースを使って調査が行われました。国が動くと、良かったなと感じます。

中川さん:報道が、たくさんの人に届いた時です。不正の被害者や加害者、また、社会全体に発信することができます。社会を良くする活動の中で、受け手が地域や相手に縛られない取り組みは、案外少ないと思います。

渡辺さん:不正の犠牲者の方に、感謝されることは嬉しいです。また、Tansaのように小さな組織でも、大きなものに勝てることにやりがいを感じています。探査報道の場合、例え相手が大きくても、発掘してきた事実というのは、すごい武器になります。例えば、「買われた記事」では、何兆円も売上のあるような広告代理店が、Tansaの報道で株主総会で謝罪をしたり、業務改善をしたりしました。大きな敵に挑めるという仕事は、探査報道以外ないのではないかという醍醐味はあります。

 国境を跨ぐ不正に、信頼関係を築いて挑む

ー世界規模で活動されていますが、海外のリポーターや団体と、具体的にどのような連携をとっていますか

渡辺さん:どのような不正も国境を跨ぐので、不正をする企業に打ち勝ちするために、連携しています。各国のネットワークは、その国のメディアが強いので、お互いに、ないものを補完し合うという形で、コラボレーションをします。

他国のメディアとは、世界の探査報道ジャーナリズム団体が集う世界大会で出会います。実際に、対面で会って、話をして、相手の考え方が信頼できるかどうかというのを見定めながら、このテーマで協力しましょうという、マッチングをしています。

韓国のメディアとの会議

例えば、石炭火力の取材で、インドネシアのメディアとコラボレーションをしました。インドネシアの副大統領がどういうことを考えているのか、インドネシアの警察が何をするのかなどの情報は、やはりインドネシアを拠点に活動するメディアが、ネットワークを持っています。反対に、石炭火力に参加している日本の企業については、日本のネットワークが必要になるので、インドネシアのコラボ相手に紹介します。

ー他国の報道機関と比べて、日本のジャーナリズムの課題は何ですか。

渡辺さん:日本の記者が、ジャーナリストというよりは、会社のサラリーマンのような存在であることです。本来、ジャーナリズムでは、「知る権利への奉仕」という、ジャーナリストとしての職業倫理を一番大切にします。しかし、日本の記者は、新聞社やテレビ局といった、会社に逆らわないことの方を優先している傾向があります。

辻さん:日本のジャーナリズムの内輪感に違和感を覚えています。例えば、一度Tansaとして、財務省の記者会見に行った時に、新聞社の人たちに「今日は誰の許可で来たんですか」と、怒られたことがあります。記者クラブにいるうちに、政府の側と一体になってしまっているように見えました。しっかり、記者としての仕事ができてないのではないのかと思うことがあります。

 マスメディアが衰退している中、チャレンジ精神と正義感で探査報道をする

ージャーナリズムを志望する学生は多くいます。どのような学生が、探査リポーターに向いていますか。

渡辺さん:「むしろ就活はしない」というような、自分で人生を切り開ける人です。なぜかというと、インターネットの普及により、新聞社は、あまり将来性がなくなってきているからです。個人的見解ですが、おそらくほとんどの新聞社が10年以内には立ち行かなくなってしまうと思います。そのため、とりあえず現場を経験してみたい、お給料をもらいながら実際の仕事を経験するという意味では良いですが、その先を考えておかないと、すごく厳しいです。時代の変わり時でありながらもチャレンジできるのかどうか、というのがジャーナリストには問われています。

中川さん:探査報道をやる人は、理不尽なことが許せなかったり、社会を良くするために貢献したいと思っている人だと思います。そこに本当に喜びを覚えるか、問いかけて、自分が、嘘なくそうだと思える人が向いていると思います。

ー最後に、大学生に向けて、メッセージをお願いします。

渡辺さん:今は、人気企業に入るために躍起になって就活をしていた時代とは違います。特にメディアは、本当に自由に、真っ白な画用紙に絵を描けるみたいな時です。思い切って挑戦してみてください。

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探査報道ジャーナリストを養成する、Tansa Schoolの受講生募集が始まりました。
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