メディア/デザイン

コピーライター 坂本和加さん/ 合同会社 コトリ社

 

坂本和加
合同会社 コトリ社代表。コピーライティングをはじめ、キャンペーンスローガンや企業スローガン、ネーミングなどを手がける。毎日広告デザイン賞最高賞、朝日広告賞最高賞、カンヌ国際広告祭ゴールドなどを受賞。企業・学校団体向けのコピーライティング技術を用いたワークショップなども行っている。(コトリ社HP参照)

 

「貿易商社OLからコピーライターへ」!?異色のキャリア

大学を卒業し、就職氷河期のなか新卒入社したのは「貿易商社」だったという坂本さん。

その後、「コピーライター」として全く異なるキャリアを歩むことになったきっかけについて、詳しくお聞きしました。

 ____本日は、よろしくお願いします。

早速ですが、貿易商社から、コピーライターという全く別の職種に転職されるきっかけは何だったんでしょうか?

 

私が就職活動をしていた時は、本当に氷河期でした。なんとなく出版や編集の仕事がしたくて、その業界も受けたんですが全く受からずの状態で、新卒ではご縁があって内定をいただけた貿易商社に入社したんです。

 

でも、オフィスでのルーティンワークが本当に向いていなくて。時代もあったのでしょうが、社内には女性に多くを求めていない風潮があったりして、『これ、ずっとやる仕事じゃないな』っていう、違和感を常に感じていました。

 

___なるほど。きっかけは、違和感だったんですね。

 

会社を辞めるにしても理由が必要。そこで、自分って本当は何がしたかったんだっけ?何が好きだったっけ?と考えるようになりました。そうしたら、あ、そういえば私は『書く』のが好きだった、と思い返して。多分、10歳とか11歳くらいの時から、なんとなくその自覚はあったんです。

 

___そこで、なぜ坂本さんはコピーライターという職業を選ばれたんでしょうか?

 

書くことを仕事にしようって考えたときに、いくつか選択肢が思い浮かびました。小説家、エッセイストとか。でも、どれもピンとこなくて、ん?コピーライターがあるじゃん!と思い浮かんだんです。これなら私もできるって。恐ろしい思い込み。笑

 

学生時代(1980年代後半)は、バブルの時代だったこともあって、1本のコピーが1千万という噂のあった時代でした。テレビで活躍されている有名コピーライターさんもいたので、職業名くらいは知っていた。一見ものすごく華やかそうですが、鉛筆と紙があればできる仕事。だったら将来自分が子育てをすることになっても、片手間で続けられるんじゃないか?とも考えていました。生意気・・・。笑

 

____一本何千万…!すごい時代ですね。

 

それでコピーライターになると決めて、意気揚々と母に電話したら『向いてるんじゃない?』と背中を押してもらえて。決めてから2ヶ月後には、もう転職していました(笑)

 

____決心されてから転職までがそんなに早かったんですね!驚きです。(笑)

 

たまたまご縁のあった、本当に小さな制作プロダクションで、初日に未経験で『コピーライター』の名刺をもらえた。もう嬉しくて、やったー!って喜んでいました。

でも、広告業界のことは何も知らなくて、右も左もわからない状態。当然ですけど何もできないし、コピーを書いてみても『君、本読んでないでしょ』ってバレたり。

そんなだからクライアントさんとの打ち合わせに行っても、デザイナーに勘違いされる。多分、コピーライターの顔をしてなかったんでしょうね。(笑)

 

____念願の転職をされてからも、そんなご苦労があったんですね。

 

コピーライターという肩書きに見合うように必死に努力していました。がむしゃらに、与えられた仕事にひたすら取り組んでいるような感じで。若い時はコピーが書けなくて徹夜もたくさんしていました。(笑)ブラックとかではないんですが、できないから帰れない。 

____そうなんですね…!コピーライターの「花形」的なイメージが、かなり覆されました。

 

長期休みはバックパックを背負い中米へ!「いま」につながる意外なものとは

 

___坂本さんの大学時代のご経験で、「いまに繋がっている」と思うことはありますか?

 

大学時代は、長期休みを使って5.6回はバックパック旅をしました。20万とか30万くらいの貯金を作って、毎回予算ぎりぎりで行っていましたね。専攻がスペイン語学科だったんですが、なぜかメキシコや中米にたくさん行っていました。

 

___5.6回も行かれたんですか!?安全面とか心配そうですが…?

 

女子で一人旅って、本当に危険がいっぱいなんですよ。常にアンテナを張っているので、直感というか、野生の勘がめちゃくちゃ研ぎ澄まされるんです。この場所、危なさそうだなとか。この人、本当に信用して大丈夫かな?とか。バックパッカーで鍛えられた野生の勘みたいなものは、サバティカル能力を上げます。

 

___野生の勘ですか…冒険心がとてつもなくて、尊敬します(笑)

 

一人旅、オススメですよ!世の中が落ち着いたら、ぜひ。当時は、今のようにネットで飛行機のチケットが取れるような時代ではなかったので、旅行代理店に足を運んでいました。

ある時、旅行代理店の方に声をかけられて、旅のPR誌?書きます!的な。もちろん、ボランティアです。

そこでは自分と同じような、旅好きの学生が集まっていて、みんなそれぞれのやり方で旅行記を書いていましたね。もちろんわたしも書く。ウケるとまた書く。雑誌作りごっこ、ですね。(笑)

 

___すごく楽しそうですね…!

 

言葉を「練っている」時間が、一番楽しい

____コピーライターとしてのやりがい、ご苦労はなんでしょうか?

 

苦労は、、、もうあまりないですね。すごく楽しい、しかないです。赤字が来てもそう思う。どうかしてますね。笑

コピーを1本作って見せるというよりは、わりとたくさん書いて、たくさん見せるというやり方をとっています。思考過程も見せます。

クライアントや代理店、様々な立場の方と対話の中で進めていって、いざコピーを納品したら「あー終わっちゃった、かなしい」という気持ちになります。言葉との時間が、本当に楽しいので。おすすめコピーが、クライアントとも、世の中ともマッチして決まっていくときの喜びはひとしおです。

自分が考えたネーミングやスローガンが、ありがたいことに十数年もの間、クライアントさんにそのまま使っていただけている。これって、軽く奇跡だなあと。過去にネーミングで携わらせていただいたクライアントさんから、スローガンのご依頼をいただけることもあったりして、そういったご縁には本当に感謝しています。

 

___そんなこともあるんですね!時代を超えて、同じコピーが使われ続けるって素敵です。

 

未来予想図をどこまで描くか?

__コピーライターとして制作会社に就職されてからは、どのようにスキルを磨いていかれたのでしょうか?

仕事をしていく中で、どんな言葉が好きなのか?なぜそれが好きなのか?自分はどうなりたいのか?どういう人のコピーがかっこいいと思うのか?っていうのは常に細かく考えていて、

30歳までにTCC新人賞(東京コピーライターズクラブの新人賞)を目標にしていました。取れないはずはない、と思い込んでましたね。でも、コピーは笑えるくらい書けないんですよ(笑)うまく書けないなら学校に行こう、と。


ひとつひとつ紐解けば、向かうべき方向がだんだんわかってきます。新人賞を取れたのは32歳だったので、2年遅れたな…と生意気に思いましたけど。うれしかった。

 

______すごい、ほぼ有言実行ですね。かっこいいです!

 

仕事軸のほかに、女性としての軸もありますよね。恋愛とか結婚とか、それに付随して、物欲とか色々あると思うんですけど、野望を持つって大事ですよ。前進する力になるし、じゃあそれを我慢しないためにはどうすればいいか?と考えるようになるので。

____野望ですか……たくさんあります(笑)確かに、原動力になりそうです。

 

誰かの役に立つための手段としての「ことば」

____コピーライターをめざす人に、メッセージをお願いします。

「好き」って人間の本能的な部分じゃないかな。今って、食べられて平和で、昔人間が持っていた野生の勘みたいなのってどんどん鈍ってると思うんですけど、どうしてそれが好きか?っていうのを棚卸ししていけば、自分が役に立てる、輝ける場所は見つけやすいと思います。

広告業界で言えば、話すのが好きな人は営業に向いてたり、お世話が好きって人はプロデューサーに向いていたり、色々あると思います。

「誰かの役に立ちたい、それを言葉という手段を使ってやりたい」という人は、コピーライターに向いているんじゃないかな。コピーライティングって、言葉で寄り添う仕事なので。それにクリエイティブは、コツを掴めば誰でもできるものなので。

失敗しても、大丈夫。リカバーできますよ。

違ったなと思ったら、シフトチェンジすればいいだけです。楽しくないっていうのが一番良くない。

未来は妄想して、作っていくとよいですよ。楽しんで。

_____なるほど。自分にひたすら矢印を向けて考え続けることが、一番大事なのですね。本日はありがとうございました!

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