メディア/デザイン

児童書のヒット作を生み出し続ける秘訣とは?/ポプラ社

『ズッコケ三人組』や『かいけつゾロリ』、『ねずみくんのチョッキ』『めがねうさぎ』など読んだことや見たことがある絵本の大ヒット作。ポプラ社はこれらの作品すべてを手がけました。
そこでポプラ社にお邪魔し、ポプラ社で働く5名の方にインタビューをしてきました!

盛りだくさんのインタビュー内容を二回にわたり更新したいと思います。
今週は絵本製作の裏側について、制作過程や絵本にかける思いを、来週は40周年を迎える『ズッコケ三人組』の企画「あつまれ!ズッコケ三人組40周年同窓会」についてご紹介したいと思います。

取材に応じてくださったのはこちらの5名の方です。

<文芸部編集部 門田さん>
書籍の編集を行う。児童書も一般書も両方担当している。

<図書館事業局 浦野さん>
学校図書館を中心に、子供たちが主に学習に使うための本の編集を行っている。

<広報CSR部 部長 松田さん><広報CSR部 杉本さん>
ポプラ社の企業理念や自社書籍について、世の中に広く知ってもらうための情報発信をしている。そのほか、読書推進活動や子育て支援活動という社会貢献活動も行う。

<宣伝プロモーション部 佐野さん>
本が出版された際に、書評や著者インタビューを新聞、雑誌、テレビに露出させてもらえるように、マスメディアに働きかけたり、広告を作成して、多くの人に新歓を知ってもらえるようにしている。

以下、敬称を省略させていただきます。

書籍はどうやって制作されているの?

―よろしくお願いいたします。さっそくですが、門田さん、本はどのような制作過程を踏んでいるのでしょうか。
門田:書籍の制作の大まかな流れは、企画をして、それをもとに作家さんに依頼、そして書いていただいた原稿を編集するというものです。
文芸の場合、企画にはおおまかに2つのパターンが考えられます。一つ目は、執筆をしてもらいたい作家さんを先に決定するパターン。二つ目は、本のターゲットやテーマなど大枠を決定してから、作家さんを決定するパターンです。企画を練ったら、会議で話し合いをして、承認されたら作家さんに依頼をします。

その後作家さんから原稿をいただいたら、編集作業に取り掛かります。編集では、原稿をより良くするために作家さんとやり取りをしたり、本の形式、表紙、タイトル、帯などパッケージを考え、デザイナー、イラストレーターに依頼をします。
そして宣伝部や営業部と相談しながら売り出し方を考えるのも私たち編集の仕事なんです。

―本の制作に最初から最後まで携わっているんですね。門田さんが本の制作で大切にしていることはなんでしょうか。
門田:編集者にとって大切なことは、「本と読者をうまく結びつける」ことです。どうやって面白く見せるか、どうやってターゲットにきちんと届けることができるか、それは一番難しい問題ですが、最も重要なことです。

―それでは企画のターゲットと作家さんが書いた原稿とに、ずれが見られるときはどうしているのでしょうか。
門田:書き直しをお願いすることもありますが、逆に、予定していたターゲットやレーベルの方を変更することもあります。

浦野:ポプラ社には児童書と一般書の両方のレーベルがきちんとあるので、そのような変更にスムーズに対応することができます。また会社が大きすぎないことで、部署間の情報交換がしやすいのも特徴です。

ポプラ社は他の出版社とどこが違う?

―てっきりポプラ社は大きな会社だと思っていました。
浦野:他の業界と比べると、出版業界は比較的会社の規模は小さいと思いますよ。ポプラ社も決して社員数は多くないので、みんなが顔見知りでコミュニケーションもよく取れています。

―数多くある出版社の中でポプラ社を選んだのはどうしてだったのでしょうか。
佐野:私は児童書に携わる仕事がしたいと思いま、就職活動をしていました。新卒採用を行っていた数少ない児童書の出版社の中でポプラ社が拾ってくれました。

門田:私も児童書の仕事がしたいと思い、中途で入社をしました。

杉本:ポプラ社は意外と中途採用で入社される方が多いですね。出版業界は、業界内での転職がしやすい傾向にあると思います。
あとはやはり、「児童書に携わりたい」と考えて入社される方が多いです。部署の人数で比較しても、児童書と一般書とでは7:3ほどの割合です。

取材中の様子

ヒット作を生み出す秘訣は?

―『ズッコケ三人組』や『かいけつゾロリ』などのヒット作を次々と世に生み出す秘訣は何でしょうか。

門田:「大人が子供に読ませたい」というよりも子供が自分から進んで「この本を読みたい!」と思える本を作ろうという社風がポプラ社にはあります。
教育的に与えられる本よりも、子供たち自身が読書に熱中すること、読書は楽しいものだと思ってもらいたい人がポプラ社には多くいます。

浦野:『ズッコケ三人組』も『かいけつゾロリ』もはじめは大人の方から「漫画みたい」という批判が多く寄せられました。でもその一方で子供たちは喜んでくれたんです。

―「子供が読みたくなる本」とは具体的にどのような本なのでしょうか。
杉本:子供たちって「おしり」とか「おなら」というワードが大好きなんです(笑)
それをよく示しているのが、『おしりたんてい』という本です。子供たちはそのタイトルとおしりをかたどったキャラクターのフォルムに大変興味を示してくれました。
そのような本は、はじめは大人の方から「子供に読ませたくない」と思われてしまうこともありますが、子供が夢中になっているうちにだんだんと大人の誤解が溶けていきます。単に「おしり」というワードを使っているだけではなく、ストーリー性があるので、子供たちは夢中になるのです。

大学生へのメッセージ

―近年の調査で「1日の読書時間0分」という大学生が増えてきていることが分かりました。そんな本を読まない大学生にむけてメッセージをいただけますか。
佐野: 私は大学生のときにあえて児童書を読んでみたんです。大人になって読み返してみると、子供のころとは違った感じ方をして、児童書の良さを再認識することができました。だから時間があるときでもいいので、昔読んだことがある本を読み返してみると新たな発見ができるかもしれませんよ。

浦野:インターネットで調べることは、とても簡単で便利です。でもインターネットの検索では、現時点で知っていることや興味のあることにしかたどりつくことができません。書店に行くと、目的のもの以外にも触れることができます。その中でタイトルでも表紙でも自分が引っかかるものがあれば、これまで興味のなかったジャンルでもぜひそれを機会に触れてみてほしいと思います。本というツールを古いと思わずに、改めて利用していただきたいと思います。

―ありがとうございました!

第2弾は7月20日更新予定です。第2弾では、ロングセラーの『ズッコケ三人組』の40周年企画「あつまれ!ズッコケ三人組40周年同窓会」についてご紹介いたします。

 

 

 

 

 

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