メディア/デザイン

革製品の魅力が存分に詰まったアップサイクルのペンケース【未来のPLOTTER応援プロジェクト#2】

「PLOTTER」とは、未来を計画する人や 変化を生み出す人を表す言葉。

そんな未来のPLOTTERを発掘、応援したい!という想いから、文房具を中心としたクリエイティブツールブランドのPLOTTERとガクセイ基地がコラボをして行っている「未来のPLOTTER応援プロジェクト」。ガクセイ基地メンバーの大貴が、このプロジェクトの中でPLOTTER斎藤さんから革について熱い話を聞いていく中で、以前から知っていた本革ソファを作っている心石さんと斎藤さんを繋げたところ、思わぬ化学反応が起こりました!!

なんと…

ソファを作る過程で捨てられてしまう革をアップサイクルして
「副産物の副産物」としてペンケースを作ることになったのです!

 

KOKOROISHI
セミオーダーでお客様に合った座り心地の良いソファを作っている会社。15分以上かけてソファを試してもらうなど、お客様に座り心地の良いソファかを提供するため様々なことにこだわっている。革張りのソファは厳選された高品質本革を使用している。
>KOKOROISHI公式HP
>20年先も使い続けられる良質な本革のソファを届けるKOKOROISHI(心石工芸)

 

今回の記事では、そのペンケースの詳細を伝えるとともに革製品の魅力、そして副産物としての革製品についてのレポートをお届けします!お話を伺ったのはKOKOROISHIの心石拓男さんと、PLOTTERのブランドプロデューサー斎藤崇之さん。

 

―今回、KOKOROISHI×PLOTTERで「副産物の副産物」というテーマでペンケース(年内発売予定)を開発されたということですが、このペンケースが生まれたきっかけを教えてください。

(心石)ソファのデザインにもよるのですが、3人掛けのソファだと丸々3頭から4頭分の牛の革を使用しています。革の中で大きい傷のある部分をソファに使ってしまうと、破れの原因となるのでその部分を避けて革をカットしていく必要があります。ですが、革の形や傷の位置などは革によって一枚一枚異なるので、ソファという大きい家具を作っているとどうしても面積の小さい皮は捨てざるを得ないんです。

(斎藤)PLOTTERでは丁度ペンケースを作ろうと思っていて、素材を探しているところでした。KOKOROISHIで捨てられてしまっている革の多くは、サイズが合わないからソファには使えないだけで、品質には全く問題ないんです。むしろ、革にこだわりを持っているKOKOROISHIが厳選した革は非常に質がいい。それが捨てられてしまうのはもったいないと思い、ぜひうちで活用したいと提案しました。

 

―このペンケースはどんな人におすすめですか?

(斎藤)一般に販売されている製品は、たとえば「ブラウンのペンケース」というと、販売上のトラブルをできるだけ回避するために、できるだけ同じような色味のもので取り揃えますが、それはそれでまた無駄が出てしまいますよね。それではこのプロジェクトの本末転倒です。ナチュラルな風合いを求めて本革らしく作られた真の皮革はそもそも個性があるのが自然であって、一つとして同じ顔、同じ色味ではありません。今回販売するものは、そのように革らしさを追求したソファを作る過程で出た端材を使用しているので一個一個色味が異なって当然なんです。そのため、ある意味全てが1点ものとなるわけで、まさに自分だけのペンケースを探している方におすすめです。また、本製品は「アップサイクル」の考え方で作られているので環境問題に興味のある人にもぜひ手に取っていただきたいです。

 

アップサイクル
本来であれば捨てられるはずの廃棄物にデザインやアイデアといった新たな付加価値を持たせることで、別の新しい製品にアップグレードして生まれ変わらせること

 

―このペンケースは普通にお店などで買うことができるのでしょうか?

(斎藤)一般のお店にも出すかもしれませんが、一般的な製品の様にペンケースコーナーにただ並んでいる製品にはしたくないなと考えています。革製品の魅力や、革が作られる背景などが実は日本であまり伝わっていないという現状や、何よりこの本革ペンケースは丸ごとアップサイクルだということなど、お伝えしたいことが多いので、ストーリー性をしっかりお伝えしたうえで本質的に「良いな」と共感を抱いていただいた方にお届けできるような販売方法を考えています。

 

―KOKOROISHIで使用している革のこだわりを教えてください。

(心石)シンプルですが「革らしさがある」という所です。牛が育つ環境や食べているもので革の特徴が変わるので、その工場ではどんな風に革を作っているのかということを確認するために、海外の工場を訪れて作り手と直接話しています。合成皮革(合皮)は品質が均一なので作りやすいというメリットがあるのですが、どこの模様も同じというのは革らしさがなくなってしまうので、弊社では本革を使用しています。

 

―本革と合皮は具体的にどんな部分が異なるのでしょうか?

(心石)合成皮革は、天然の革に比べて耐用年数が短いですね。しかも、革らしい経年変化(エイジング)をしていかないので、個人的には「素材感」としてもあまり魅力がないと感じています。

(斎藤)ただ、最近は合皮の技術の進歩は目まぐるしいんです。圧倒的に軽くて、本革に比べて安価に手に入れることができるので、ランドセルなどには合皮が使われることが多いのが現状です。ただ、心石さんもおっしゃっていた通り、まだどうしても本革の自然な素材感という一線を越えることができない印象はありますね。

―良い革というとイタリアのイメージあるのですがそれはなぜなのでしょうか?

(斎藤)大きく言うと文化の違いですかね。日本では伝統的に昔から着物などを作るために良質な絹を作っていたため、世界的なシルクの産地として有名であるように、代々ものとその背景にあるストーリー性を大切にするイタリアではエイジングを楽しめる革を作って使うということが生活の一部に染み込んでいるように感じます。

(心石)イタリアではアパレルやインテリア産業が盛んで昔から革製品が一般的に使われているという背景もあります。車のシート部分にも使われるのでドイツでも革産業は盛んです。国によって革の性格が全然違うのも面白いところです。

 

―最近では、世界的に有名なファッションブランドがファーや本革製品を使用しないという方針を打ち立てていることから、 本革を利用することに反対の声も上がっていますが、そのことに関してはいかがでしょうか?

(斎藤)現在、牛や豚など、革製品として広く流通している動物に関して、皮革作るために殺すことは禁止されています。つまり、私たち人間が今使っている革製品というのは、牛や豚が食肉になった後の列記とした副産物なんです。逆に、最近では革製品に反対する声が上がったことで、精肉後に余って使われない革が増えてきて、その多くが捨てられてしまっているという現状があります。

(心石)食肉加工時に必ず発生する副産物としての生モノの皮は、製品としての皮革に加工されない場合、燃料を使って焼却処分せざるを得ないのです。革を使うことが動物や環境に良くないというイメージがあるかもしれませんが、本質的なところを客観的に捉えていただき、無駄を発生させないという意味で実は本革製造はエコ活動の一端を担っており、一方で製品にならずに残念ながら廃棄の道を辿った皮こそが環境に負荷をかけているというのも事実なのでそれは知っていただきたいです。

 

皮革製品の加工に至らなかった生モノの皮が焼却されているというのは知りませんでした……!ただ、捨てられてしまうのなら革製品を使ったほうが良いのかもしれませんね……。

(心石)ソファを作る際には少なからず薬品を使っているので本革を使うことが100%環境にいいとは言い切れませんが、KOKOROISHIでは天然の植物タンニンなめしによるレザーも使って、できるだけ長く使ってもらえる、環境負荷の削減を心がけています。
また、ソファを運送する際にはCO²が排出されているので、安いソファを何回も買い替えて使うよりも、高価でも良質で耐久性がある革製品のソファを長く使うことは、結果的に環境に良いのではないかと考えています。

 

 ーありがとうございました。

 

SDGsアクションの実現に向けて活動している企業や団体が増えてきていて、環境問題に興味のあるという大学生も多くなっていると思います。今回のお話を聞いて「本当に環境に良いこととは何なのだろうか?」ということを考えさせられました。答えはたくさんあるのだと思いますが、私の中で出た答えの一つが「今ある物を無駄にしないように使い切ること」です。今の生活をすぐに大きく変えるのが難しいからこそ、まずは今ある物、まだ使えるものを無駄に捨てるのではなく使い切ることが大事だと思うのです。

アップサイクルを用いて作られた世界に1つだけのペンケースをこの機会にぜひ手に入れてみませんか?

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gakuseikichi

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