今回は株式会社文通村の保科さんに取材させて頂きました。
文通村は文通を通じて「誰かとつながる場」と「つながる時間」を提供されています。個人情報を使わずに全国各地の「ふみびと」と手紙のやりとりを安心して行うことのできるコミュニティーです。
文通村は2009年からスタートし2019年で10周年という節目を迎えました。2020年には1年間の手紙のやりとり総数も約12万通を超え、手紙の交流がさらに盛んになっています。今回は文通村の活動のきっかけや手紙、文通の魅力についてお話を聞いています。
目次
保科さんプロフィール
中央大学法学部出身。大学卒業後に資格試験に挫折。一方、駅でたまたま知り合ったアメリカ人とルームシェアを始め今までと異なる価値観に触れる。その後、祖母と手紙のやりとりをしていた自身の体験から、住所氏名を使わずに安心して文通ができるコミュニティ「文通村」を2009年に設立。新聞やテレビなどでも取り上げられ少しずつ評判となり、現在では約2300人の村人が手紙の交流を楽しんでいる。
文通村そのものについて
―活動を始めたきっかけを教えてください。
大学を卒業後、資格試験を受けるため就職せずに勉強をしていました。でも、自分の思うようにはなかなかいかず挫折を経験しました。どこにも属さずにいることは結構大変で、自分は何者でもないという焦りがすごくありました。そこで、自分でも何かしたい、何かできることはないかと思った時に、つなげる仕事ができることに気づきました。コネもないし、資本力もない。自分で何かを作るノウハウがあるわけでもない。だから、何かと何かをつなげる仕事をしたいとひたすら考えた時に出てきたのが「手紙の仲介」でした。
ー「手紙の仲介」はどこから思いつかれたのでしょうか?
思いついたのは自分自身の体験に基づいたところからでした。昔、祖母と手紙のやりとりをしていたのですが、段々と疎遠になってしまって、そんな風になったころ、祖母が亡くなったんです。離れていても、もう少し手紙の交流ができていたらよかったなっていう思いから、全国の高齢者に安全に安心して手紙のやりとりができるようにできるように「手紙の仲介」というのを思いついた感じですね。
当時、個人情報保護法というのが施行されたタイミングで、個人情報に関しては皆かなり敏感に反応する時期でした。個人情報を保護しながら文通する方法、これがうまく形として作れれば、高齢者の方にとっても実際の住所を教える事なく安心して文通が出来るというメリットが出来るので、形にしていったという感じです。
―では、元々、高齢者向けのサービスとして考えていらっしゃったんですか?
そうですね。高齢者の方々でも安心して「文通」ができるように、個人の住所・氏名を絶対出さないようにというのが最初の出発点でした。
―実際運営されてみていかがでしたか?
実際運営してみたら、若い方がどんどん入ってきてくださって。もちろん、高齢者の方もたくさん来てくれたんですけど、インターネットっていうツールを通しているため、やはりインターネットを使う世代が多くて、半数近くを20~30代の方が占めていますね。
高齢者に対して安全性を確保するということを前提に作っていたため、個人情報に敏感なもっと下の世代にも受け入れられたのだと思います。
―文通村のコンセプトはなんですか。
コンセプトは「善意でつながるコミュニティを作りたい」でした。住む場所は遠くても、それぞれのペースで互いに相手の様子を気遣ったり応援し合ったりできる関係が自然にできたらいいな、と。
このコンセプトの対極に当たるのはいわゆるネットの悪意ある匿名掲示板のようなものです。例えば「匿名だから悪口や誹謗中傷を書いてもいい」っていう考えとか。すごい嫌ですよね。だから逆に、「匿名だけど相手の嬉しいと思えることをする」、そういうコミュニティが作れればと思っています。そして、それが手紙というツールとぴったりはまっているのかなと思います。
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今回のインタビューはここまでです。24日から26日までの連日公開となり、第三弾までのインタビューとなります。第二弾では文通村の具体的な内容やそれにまつわる裏話をお聞きしております。ぜひ読んでみてください。
【手紙でつながる。匿名で出来る文通:株式会社文通村運営保科様インタビュー【第二弾】】
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