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ニッポン放送「三四郎のオールナイトニッポン」放送作家・福田卓也にラジオ業界の裏側を聴く!

「オールナイトニッポン」特集!!

 

ラジオを聞いているとよく耳にする単語「放送作家」。

しかし、どんな仕事をしているのか、「作家」が生放送中に何をしているのか、など謎のベールに包まれています…。今回は、ニッポン放送「三四郎のオールナイトニッポン」で放送作家を務めている福田卓也さんのインタビューをお届けします!

 

 

 ー放送作家の仕事内容を教えてください。

(福田)放送作家は番組の企画を考えるのと、台本を書くのが主な仕事です。
台本の内容は番組によって様々で、掛け合いが書いてある台本からざっくりとした流れだけが書いてある番組もあります。

 

―放送作家さんはラジオの本番中は何をしているのですか?

(福田)番組によって様々です。台本を書きあげてパーソナリティに渡して終わりの所もあります。そういう時はブースの中で笑って話を聞いているだけ。でも、基本的には本番中に届いたメールを選んでパーソナリティに渡したり、カンペを出したり。

 

―放送作家になった経緯を教えてください。

(福田)学生時代に鈴木おさむさんのニッポン放送の番組で「弟子を募集する」という企画があって。その企画で選ばれたことがきっかけです。とりあえずたくさんハガキを送れば、それだけ読んでもらえる数も比例して多くなると思ったので1週間に50通とか送っていました。
それで、運よく面接してもらえることになったので、はきはき喋ることを意識して面接に臨みました。弟子募集企画に応募してくるくらいラジオ漬けの生活を送っている人は、だいたい暗くて元気のない人なんです。自分もまさにそうだったから(笑)。だから、とりあえず目を見てはきはき話しておけば他の人より抜き出ると思って。

 

―合格してからは何を?

(福田)鈴木おさむさんの担当していた2つの番組に、ノーギャラで放送作家としてつけてもらったんです。最初は、コピーとか買い出しとかをしていたので、放送作家というより雑用ですね。他のスタッフの手伝いをしながら仕事を見て学んでいました。番組ごとにスタッフが違うので、ノウハウを色んな人から吸収していた感じです。
しばらくそんな感じでやっていたら、メインの作家さんに気に入ってもらって、別の番組にサブ作家としてつけてもらったんです。そこで出会ったディレクターに別の仕事を貰って…という風に少しずつ仕事が増えていきました。

 

―なぜ放送作家になろうと思ったのですか?

(福田)ずっとラジオが好きで「ナインティナインのオールナイトニッポン」とかを聞いてたんですけど、ラジオって後ろから笑い声 聞こえてくるじゃないですか。あれは誰の笑い声なんだろうなと思って調べたら「放送作家」っていう人がブースの中にいるんだっていうことが分かったので、放送作家になって自分もその輪に加わりたいと思って。
でも、放送作家になる方法が分からなかったので、とりあえず大学に行きました。大学生をやっている間に放送作家になる方法が見つからなかったら、普通にTV局かラジオ局に就職しようと思っていました。

 

―ちなみに放送作家になるためにはどうすればいいのですか?

(福田)これは人によって本当に様々です。ハガキ職人をやっている人がスカウトされてなることもあるし、専門学校に行く人もいれば、ラジオ局でバイトしていて作家になる人もいます。

 

―放送作家になる上で必要な能力は何ですか?

(福田)コミュニケーション能力です。
どんなに面白い企画を考えても、それを人に伝えられなかったら何にもならない。それに、放送作家になるための試験とか資格は何もないから、結局人に気に入れられて作家になるしかない。作家になってからも、知り合いから仕事を貰うことが多いんでやっぱり人付き合いが大事になります。

 

ーコミュニケーションを取る上で意識していることはありますか?

(福田)新人の頃は、いかに自分に興味を持ってもらえるかを重視していましたね。
話題の場所・食べ物などは常にチェックしていました。「自分あの場所行ってみたんですよ」って言ったら、「どうだった?」っていう会話につながるじゃないですか。そういう感じで、人から「こいつの話聞いてみたいな」っていう体験を積極的にすることを意識していました。

 

―面白い企画はどのように考えているのですか?

(福田)映画とか漫画を見て、いいなと思った空気感とか言い回し、説明の仕方などを自分のアイデアに取り込んでいます。

 

―台本を書く際に意識していることは?

(福田)書いた台本は僕が読むわけではないので、誰がしゃべるのかを考えます。この人が言うのはOKだけど、別の人だったらNGなこともある。だから、いかにその人が話しそうなことを話しそうな言葉で書くかを意識しています。打ち合わせの時に演者の人と話をした時の印象や、世間のイメージとかを参考にしながら書いています。

 

―台本を書くときにリスナーの存在は意識されていますか?

(福田)初めて聴いた人でも理解できるように、説明は丁寧に書くようにしています。
企画を考える時はあんまりリスナーのことは考えてないかもしれません。もちろん企画を考える上で、これはリスナー嫌いかなぁ。これは喜ぶかなぁっていうのは考えるけど、僕が大事だと思っているのは「この番組でやったら面白いか」だと思っているので。

 

―福田さんはラジオのどんなところが好きですか?

(福田)狭い空間の中でこそこそやってる感じ。色んな事を気にしないで好きなことをやれる。パーソナリティ・スタッフ含めて多くて5・6人っていう少人数なのもいいし、リスナーも一緒に参加しているような気分になれるところ。あとは、誰でも聞ける公共の「放送」なのにものすごくクローズな空間の感じとか。

 

―放送作家という仕事の魅力は何ですか?

(福田)放送作家の魅力…ってなんでしょうね。いつ終わるか分かんない仕事だし…。

 

―詳しくお聞きしてもいいですか?

(福田)契約を結んでいるわけじゃないから、いつ切られるか分からないんですよ。もし「来週から来なくていい」って言われたらその場で首だから、いつもハラハラドキドキしてます(笑)。

 

―その不安があるのに放送作家を続けるのはなぜですか?

(福田)やっぱりラジオが好きだからじゃないですかね。楽しいし。それが全てじゃないですかね。
パーソナリティが笑って、ブースの外のスタッフにも伝染して、本番中にお腹を抱えてみんなでゲラゲラ笑っているときとかは最高に楽しいです。リスナーの顔は見えないけれど、その番組を好きで聞いている人たちだから、僕たちが笑っているときはリスナーの人たちも同じように笑っていると思うんです。

 

―ラジオ業界は今後どうなっていくと思いますか?

(福田)ラジオはこれからもなくならないと思うなぁ。根拠とかは全くないんだけど、なくなるはずがない!っていう願望かな。

 

―ラジオの果たす役割は何だと思いますか?

(福田)…やっぱり娯楽?楽しいものであることが大事。
少人数で閉鎖的な空間だけど、それゆえにみんなリスナーも仲間みたいになるところ。僕がそれを感じていたので、「その場にいる感じ」が楽しい。

 

―その空気感は意識して作っているものですか?

(福田)完全にブースの中だけで話すのではなくて、リスナーも聞いているってことは意識していますね。

 

―学生の頃にイメージしていた放送作家の仕事と、実際の仕事は一致していますか?

(福田)仕事的には一致しています。でも、能力さえあれば仕事ができるっていうイメージは全然違いましたね。結局能力+コミュニケーション能力だったので。
放送作家になるっていう人は大体「自分は面白い」と思っている人が多いんだけど、面白さがあっても仕事がもらえるとは限らない世界です。それができるのは本当の天才だけ。
僕はずっと深夜ラジオを聞いていた人間だったので、コミュニケーション能力が本当になかったんですよ。ずーっともじもじぼそぼそ喋ってて。でも、このままだと仕事増えないなって気がついたので、意識して変えようとしました。

 

―放送作家になるために大学生のうちにやっておくべきことはありますか?

(福田)自分の得意なことを見つけた方がいい。これを語らせたら誰にも負けません!って自分でも言えるくらい。他の人から「この話ならこいつに振ればいいよ」ってお墨付きをもらえるものだったら、それは自分の武器になるから。武器一つ持っていれば十分っていう物じゃないから、学生のうちにたくさん武器を作っておくといいよ。

 

―ちなみに福田さんの武器は何ですか?

(福田)僕は何も取り柄がないんです。それですごく苦労したから、武器は持ってた方がいいよっていうアドバイス(笑)。武器を持っていない丸腰の状態で、いきなり現場に参加することになったから、もう大変で大変で。
弟子になってから鈴木おさむさんに最初に出された課題が「毎日1本映画を観る事」。映画は人との会話のきっかけになるし、何本も見ていたら好きなジャンルとかストーリーとかが固まってくるから、自分の“好き“を見つけるきっかけにもなると思います。

 

―“好き”を見つけるために意識されていることはありますか?

(福田)色々やってみることかなあ。
自分で何もしないで“好き”が見つかることはものすごくラッキーだと思うんです。待っているだけでも見つかる可能性はあるけど、確率はものすごく低いし待っている時間がもったいない。

 

―放送作家を目指す大学生に何かメッセージをお願いします。

(福田)“好き”を見つける話とも被るけど、頑張って自分の武器を見つけてください。で、見つけるためにはいろんなことに挑戦してみる。
失敗の経験談ってネタになるんですよ。人の自慢話よりも失敗談の方が聞いてみたくないですか?失敗はしないのが一番だと思うけど、失敗談は話のネタとして自分の武器の一つになるから、失敗することを恐れないで。とりあえず色々なことに挑戦してみてください。

 

―福田さんにとってかっこいい大人とは?

(福田)程よく働いて、程よく遊んでいる人かなぁ。余裕のある人っていうのかな。
レギュラー1本しか持っていない人とか、ちょくちょく旅行に行っている人ってかっこいいと思います。仕事をたくさんしなくてもいいから、会社にいてくれと言われるのってものすごく優秀な証拠じゃないですか。優秀だから、あんまり仕事をしなくても会社にいてほしいっていう。

 

―ありがとうございました。

 

今回「オールナイトニッポン特集」でお話を聞いたお三方。
左からAD・荒木さん。ディレクター・石井さん。放送作家・福田さん。

 

編集後記
スタッフの中で唯一ブースの中に入っている放送作家になって、自分の好きな「ラジオ」を一番近い所で楽しみたいという夢をかなえた福田さん。ラジオについてお話されるときの笑顔がとっても素敵で、ラジオが好きという気持ちがものすごく伝わってきました。
台本も見せてもらったのですが、生放送のどこまでが台本なのかを想像しながら番組を聞いてみるのも楽しいかもしれません。

 

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