皆さん、こんにちは。もう年末ですね!また新たな年がやってきます。新たな年はどんな年になるか、今から楽しみな方もおられるのではないでしょうか。ライター自身もまたこれから新たな一年、何が出来るのか、何を知っていくのか本当に楽しみです。
さて、冬休み、どうせならいつもは読まない本を読んでみるのはいかがでしょう。比較的簡単に読むことが出来る短編小説は気軽に読書するには実におあつらえ向きと言っても過言ではありません。そんなわけで、今回は英文学科の専攻である私がアメリカ文学、その中でもエドガーアランポーの短編小説を三本紹介・解説していきたいと思います。
目次
エドガーアランポーってどんな人?
まずは彼の生涯について。彼は幼い時に役者である両親を失くし、アラン家に引き取られて過ごすことになりました。そして大学に進学しますが、在学中生活困難を理由に賭博を行って借金を背負い、退学になりました。その後、彼は物を書きながら雑誌の編集者として働きます。一方でプライベートでは従妹であった13歳のヴァージニアと恋に落ち、結婚します。しかし、彼女が24歳になった時、彼女を結核の病で無くし、二年後にまた新たな女性と婚約をします。ただし、彼は結婚する前にボルティモアという場所の酒場で亡くなってしまいました。元々、彼自身はアルコール依存症との気質もあった、と言われています。…意外とろくでもない人ですね💦
さて、彼の作家・作風について紹介します。エドガーアランポーは探偵小説を創始した人物として言われ、推理小説の先駆者であるともいわれます。怪奇と幻想の分野でたくさんの作品を残された方です。また、彼が評価されたのは彼が滞在していたアメリカではなく、ヨーロッパの方からでした。退廃的な雰囲気があるため、アメリカでは好かれなかったのではないかと考えられます。また短編小説が彼の作品には多く、傑作を残されている傾向があります。
今回はそんな彼の短編から三作品を紹介します。
具体的な作品紹介
黒猫
エドガーアランポーと言ったら、やっぱりこれが一番有名ではないでしょうか。モルグ街の殺人とセットで収録されている短編小説「黒猫」。かつて動物好きであった主人公、しかしながら彼はすっかり動物嫌いになり、動物たちを憎むようになってしまいました。彼が妻と共に一番愛していたのは猫。その中でも「黒猫」でした。しかし、彼は動物達を憎んだと同時にその黒猫もひどく憎みます。しかしながら、彼は憎んでいる黒猫によって人生を狂わされてしまいます…。
詳しくは原作をご覧ください。短編であるにも関わらず、気持ちを揺さぶられる感覚はさすが後世に残る名作家と言えるもの。黒猫に対して「魔女の手下」や「縁起の悪い動物」というイメージがある方もきっといらっしゃると思います。この作品の黒猫もまたある種そのようなイメージに当てはまります。しかしながら、そこにはたくさんの意味が複雑に絡み合っていて、解釈は様々。短編で簡単に読めるのにも関わらず、深みがあり、何度も読み返したくなる魅力がそこにはあります。名作なので図書館にも絶対置いてあります。大学図書館などを使って無料で読めるのもおすすめのポイント。ぜひ読んでみて下さい。
跳ね蛙
お笑い、冗談の大好きな王様とその臣下である大臣たち。彼らはひどくわがままで宴会をひどく好んでいました。そんな彼らは小人二人を宴会のために雇っています。トリペッタという美少女と、ホップフロッグ【これが題名の「跳ね蛙」】という道化師です。しかしながら、二人の扱いはほとんど奴隷と言って差し支えないものでした。国の祝祭が近づくある日、王様と大臣たちは宴会で何をすれば盛り上がるのかを話しあっていましたが、いい案がなかなか出てきません。そこで王様たちはホップフロッグに相談します。しかし王様は相談と言いながら、お酒の飲めないホップフロッグにお酒を飲むように強要します。トリペッタは慌てて止めに入りますが、王様は彼女も蹴とばし、ホップフロッグに頭からお酒をかけ、嘲笑いました。ホップフロッグは仲間へのひどい仕打ちに、ついに激怒。しかし、それを決して表に出さず、宴会の余興について自信満々に王様たちに提案します。
この先はぜひ作品の中でご覧ください。ホップフロッグがどんな余興を考えているのか、王様たちにどう復讐を試みるのか。善悪の問題が問われ、たくさんのモチーフが登場し、それらの意味合いを来るのもこの作品のおすすめポイントです。ところどころにあるモチーフを理解することできっともっと深く、もっと考えて、作品に触れる事が出来ます。考察厨の方はぜひ考察してみてください。
黄金虫
エドガーアランポーの作品には怖いイメージがある、また殺人事件やホラーは苦手…という方にはぜひこちらを。「黄金虫」という作品です。こちらはエドガーアランポーの書いた作品の中でも珍しい冒険小説です。名前を語られない語り手、その友人のルグラン、ルグランの召使であるジュピターが登場し、物語が進行していきます。三人は『暗号』を解くことでお宝を見つける方へと進みます。島を出て、暗号の指す先へ。
ちなみに、この物語に登場する暗号は激やばです。滅茶苦茶難しい事この上ないです。本当に数字の羅列にしか見えないんですよ。
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これだけじゃなんのこっちゃって感じですよね。今はネット上で暗号の解き方・攻略法が出回っているほどの難題です。エドガーアランポーと共に時代を生きていた人々がどのようにこの暗号に触れていたのかも、またロマンのある想像ではないでしょうか。調べてみるのもまた一興、自分で解いてみるのもまた一興です。皆さんのしたいやりかたでぜひ楽しんでみてくださいね。
まとめ
今回の記事ではエドガーアランポーの作品から三作品を紹介させて頂きました。どの作品もとても面白いものです。ぜひこの冬休み読んでみてはいかがでしょうか。皆様にとって有益な時間をもたらしてくれること、間違いなしです。この記事から海外文学について気になった方は他にも文学の記事がありますので、ぜひ関連記事からご覧になってみてください。
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