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『話す写真』 コロナ禍で初めての個展開催 北大生柿澤彩花さんインタビュー

インタビューを受けてくださったのは、9月17日から20日まで下北沢にて写真展『話す写真』を開催される柿澤彩花さんです。写真展に展示される写真は、柿澤さんが大学一年生の時に所属大学のある北海道で撮影されたものです。2020年からの新型コロナウイルス感染症が拡大している中での学生生活を送っているからこそ、考えて、出会ってきたエピソー ドを交えて写真を展示されます。
今回の写真展の開催にあたって、ガクセイ基地で取材させていただきました。

柿澤さん プロフィール
柿澤彩花
北海道大学 工学部 応用化学コース 2年在籍中
出身は東京、北海道に引越してもうすぐ2年になる今年、初個展開催

柿澤さん自身のお話

―普段はどんな写真を撮られていますか?
植物を撮る事が好きで、撮ろうと思った時には大学や公園、今はコロナ感染症の問題があるので控えていますが、イベントのある場所に行くこともあります。あとは家の中で撮ってみたりします。
人の写真はあまり撮らないのですが、友達に「撮ってほしい」と言ってもらったりすると撮ることもあります。

―写真を始められたきっかけは何ですか?
きっかけは中学校三年生の時にアメリカへの修学旅行のためのカメラを買ってもらったことからでした。今回の写真展に出している写真を撮っているのもそのカメラです。

―そのカメラは今も使われているのですか?
この間20歳になり、その時にまた新しく一眼レフのミラーレスカメラを両親がプレゼントしてくれて、今はそれを使って練習しています。

―写真を撮ることのやりがいは何ですか?
撮っている時はいい写真だと自分が思えていなくても、パソコンに取り込んで改めて見た時に「おおっ」ってなる写真があることです。自分が思ってなかったニュアンスや雰囲気で写真が出来上がっているのが特にやりがいと感じているところです。
もちろん、狙って撮ったものがうまく撮れているのは嬉しいのですが、失敗したかな…と思っていたものが案外取り込んでみるとよかったりすると嬉しいです。

―普段はパソコンで見て、印刷・現像はあまりされないんですか?
普段、私は自分の撮った写真をパソコンで見る事が多くて、基本的には印刷しません。今回、写真展のためにたくさん印刷をしたのですが、印刷した感覚がとてもよかったので、これからは印刷もしたいなと思っています。

―印刷してデータで見るのとは違いましたか?
全然違っていてびっくりしました。
手に取る事が出来ることで「私がこれを撮ったんだ…」という親近感、写真と自分の距離がより近づいた感覚がありました。データと比べて『写真』として綺麗に見えるということはないのですが、自分の気持ちとして印刷した方が好きだと感じました。

北海道・大学について

―北海道に行こうと思われたきっかけは何ですか?
今いる大学に中学生の時からずっと行きたいなと思っていました。大学の雰囲気、北海道の雰囲気が好きで選びました。「魅せられた」という感じです(笑)

―北海道の魅力ってなんだと思いますか?
THE北海道っていうと農地を想像する人が多いと思うんです。でも、実際それって観光のために作ったんじゃなくて、農業という人々の暮らしでできたものなんですよね。それを見て「綺麗だ」って思える景色があることが北海道の魅力だと思います。観光を目的としない建造物や場所があることにすごく私にとっては魅力でした。
実家の周辺は道路やビルが多いので、山などの自然に新鮮さも感じています。

―コロナ禍の大学生として考えていることはありますか?
想定とはかなり違った大学生活でした。私の通っている大学は新歓の時期に毎年ジンギスカンパーティーをするんですよ。でも、そんなイベントもなくなっていて。
私は地元から引っ越していったので、知り合いがいないのもきつかったです。誰かとたわいもないことを共有することがほとんどなくて、それが一番つらかったことかもしれません。

―周りの人から自分の世代がどう見られているのか考える時間ってありましたか?
ありました。実際、訪れた先で言われたように「かわいそう」なんですよね。友達もいないし、大学にも行けていない。親にも電話を掛けた時に「オンライン授業なのに、北海道に居続ける意味はあるのか」みたいに言われることもあったりとか。
私は工学部に所属していて、本来大学で出来るはずの実験ができていなくて、実験を出来ている大学の人と比べて、実践が出来なくなっていないかなという不安があります。実際に器具を使ったことがないので、動かし方がわからなくならないかな、と。

写真展のお話

―コンセプトは何ですか?
「話す」写真です。写真から私が現地で体験したことを感じてもらいたいなと思っています。写真って「見る」ものなのに「話す」って少し矛盾しているように感じると思うのですが、「見せる」より少し前のめりになってほしくて「話す」という言葉にしました。

―写真を通して話したいエピソードはどんなものですか?
私が写真撮影をしに行く中で、新型コロナ感染症の影響があって、どこに行ってもがらがらで、人がいなかったんです。行った先でタクシー運転手さんとかに「最近どうですか?」と訊くと「全然人が来ないんだよねー」と言われることもあって。写真を通して、そんな今の情勢の中で出会った人の話をしたいなと思っています。
また、バスや電車を使うことで出来た待ち時間の中の寂しさや発見もその時撮った写真を通して話したいなと思います。

―今回の写真展に踏み切ろうと思ったきっかけは何ですか?
元々、自分の写真を発表したいということは考えていなかったんです。
ただ、北海道にはたくさん撮りたくなるものがあって、写真自体はよく撮っていました。自分で写真を撮って、いい写真が撮れたら喜んでというあくまで自己完結でした。
そんな風に写真を撮る中で、訪れた先の人に「私は今年入学して北海道に来たんです」という話をした時に「かわいそうだね」というような言葉をかけられることが多くありました。
そういう人たちに私の撮った写真を見せてあげたいなという思いを、2年生に上がる時にすごく感じたんです。自分で自己完結するのではなくて、一人でも伝える事が大事かなと思って。せっかく写真を撮ったのだから、外にもっと出していくことをしたいなと思って決断しました。

―外に出すというのなら、SNSという手段もあると思うのですが、SNSではなく、写真展という形にしたのはなぜですか?
難しい質問ですね…(笑)
写真を発表しようと思った時、既にインスタはやっていて。自分の写真をウエブサイトを作ってあげるとかも考えました。でも、ある人のサイトで「写真展をするとそこに来てくれたお客さんがどんな風に自分の写真を見ているか知ることが出来るよ」みたいなことを書いていたんですね。
インスタとかでは私の写真を見てくれている人が自分の写真をどう見ているかってわからないじゃないですか。でも、展示会にすれば、私の撮った写真を見てくれる人がどう見ているのか分かるということを知ったんです。それがいいなと思って写真展という形式を選びました。
元々アナログな性格なのもあって、インスタをはじめとしたSNSでは満足できないなとも思いました。SNSみたいな「いいね」という機能はないけれど、その人の視線や行動で自分の写真を見てもらえていることを実感できるのかな、と思いました。

写真そのものについて

―写真の魅力はなんですか?
写真の一番の魅力はなんといっても「保存」だと思います。それこそ、綺麗な景色を見ても長くても1カ月から2か月経つと忘れてしまうと思うんです。写真を撮る事でそれを思い出すきっかけができるというのが魅力だと思います。

―では、柿澤さん自身の写真の魅力は何だと思いますか?
自分の写真の魅力としては「吸い込まれる」、自分がそこにいないのにいるように感じさせるような思い、被写体に引き込まれるような写真をずっと取りたいなと思っていて。「引き込まれる」っていうことが自分の写真の魅力だと思っています。

―今回の写真展の目標や希望はありますか?
私の写真を見て、北海道を好きだとかちょっといいなと思ってもらえること、こういう展示会などをやるような行動が他の大学生にとっても「こういうことやってみよう」という一つの原動力になれば嬉しいです。今、私たちと同じような新型コロナ感染症のタイミングで入学した人は人は物理的にも家にこもりがちになり、気持ちも内向きになってしまっていると思うので、この状況を深く捉えすぎないで自分のしたいことをしてほしいです。少しでもそういう思いを共有できたら嬉しいです。

これからのお話

―これから写真を続けていった先で、同じ年代の人としてみたいことはありますか?
写真好きな人と仲良くなってグループ展をしたり、行った先の写真を互いに見せ合ったり、ということがしてみたいです。

ー展示会はまたやりたいですか?
やりたいです。今回、写真を印刷してみて展示会をもっとやってみたいという欲がでました。コロナ禍で緊急事態宣言延長の影響で今回はなかなか多くの人には見てもらえないかなと思っています。やっぱりもっとたくさんの人に見てほしいので、ぜひまた展示会やりたいなと思います。

―これからの予定や目標はありますか?
今回写真展を開いてみて、自分の思っていることや置かれている状況を誰かに伝えていくというのがとても重要だなと感じました。自分の中で終わるというかは、言い淀んでしまうような、今までは「これ言わなくてもいいよな」ってなってしまっていたものをもっとオープンにしていけたらいいなと思います。

―最後に自分と同じ大学生に向けてメッセージをお願いします。
何か面白いことがあったら、教えてほしいです。大学生って大学生特有のノリみたいなものがあって「思いついたらすぐやる」ということが身近にあると思います。よかったらそういうものを共有していきたいし、してほしいなと思います。また、ぜひ今回の展覧会に来ていただけたら嬉しいです。

写真展の情報

写真展は下北沢space sproutで9月17日から20日まで開かれます。全日開場時間は11時から18時までです。【下北沢space sproutに関する情報はこちら

柿澤さんのインスタグラムもこちらに掲載しますので、興味のある方はぜひご覧ください!

 
 
 
 
 
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編集後記
今回の記事に使わせて頂いた写真は全て柿澤さんご自身が撮影された写真です。コロナ禍でたくさんの問題や出来ないことがありますが、その中でも自分のやりたいことにまっすぐな姿がとても素敵だと感じました。私自身、柿澤さんと同じ2020年度入学で入学してすぐのオンライン授業などで本当に戸惑いながら、大学生活を送っていました。今もそれは続いて居ます。けれど、コロナ感染症という困難の中でも、たくさんの人が形を変えながら、自分のやりたいこと、誰かに自分の伝えたいことを懸命に伝えようとする姿は変わらずあるのだと感じています。感染対策などに気をつけて、ぜひ柿澤さんの写真展に訪れてみてほしいです。

 

ガクセイ基地では他にもたくさんのインタビュー記事がありますので、よかったらそちらもチェックしてみてください!

【「着物だって、服でしょ?」着物でお出かけ!東京インカレサークル和蒼会インタビュー】 /  【「捨てる」という概念を捨てる!? 容器を使い回す新しい循環型ビジネス「Loop」代表にインタビュー】

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