こんにちは。突然ですが、皆さんは普段どんな漫画を読まれますか?
私はファンタジーものが好きです。『ファンタジー』といっても通常想像されるような幻想的な空間や現実離れしたキャラクターより、日常世界に潜むちょっとした非日常性を描いたような内容に惹かれます。漫画家さんだと少しマイナーですが『宮崎夏次系』さんと『panpanya』さんが好きです。(お二人の作品はヴィレバン等にあると思います。)
この記事では漫画好きの私が自らの体験や意見を交えつつジェンダーやセクシャリティに関する3つの作品を紹介します。タイトルには分かりやすくするためにLGBTQ+関連と書きましたが、要は性別とか恋愛とか誰にでも共通する内容の漫画です。すべてフィクションの作品になります。皆さんに読んでいただきたい作品を厳選しましたので、もしよければご覧ください。
目次
漫画に違和感を感じた話
作品紹介に移る前に、私と漫画の話をします。
私は小学生の時から漫画が大好きでした。母が買い物を終えるまでスーパーの漫画コーナーでちゃおやりぼんを立ち読みしたり、地域の廃品回収日に古本の山から何カ月も前のジャンプを見つけては隠れて読んだりしていました。いや買えよ、とツッコまれてしまうかもしれませんが、当時の私はキスシーンや下ネタの描写を含む漫画が親に見つかるのが嫌だったんです。それが羞恥心なのか、はたまた恐怖心なのかはよく分かりませんが。全く同じではなくても、似た感覚を抱いたことのある方もいるのではないでしょうか。
しかし高校生になって恋愛や性について深く考えるようになると、こうした漫画を含め、自分が今まで見て思い描いていたものが極端にパターン化していたことに気付きました。少女漫画では平凡な女の子がクラスの人気者のイケメンか御曹司に恋をするし、少年漫画ではいつも勇者の周りを露出度の高い女の子が取り囲んでいます。恋愛対象が異性でない場合は「BL」「GL」とジャンルが分けられており、なぜか極端に性描写が多くなります。勿論一概に言えないことは理解していますし、内容を批判しているわけではありません。しかしこうしてパターン化されたフィクションに対して、私はだんだんと違和感を抱くようになりました。そんな中出会ったのが本日紹介する作品になります。
作品紹介
お待たせいたしました~。ここからは作品紹介になります。
1. しまなみ誰そ彼
タイトルは「しまなみたそがれ」と読みます。全4巻です。
・購入:Amazon.co.jp: しまなみ誰そ彼 (1) (ビッグコミックススペシャル) : 鎌谷 悠希: Japanese Books
・試し読み:しまなみ誰そ彼 1巻(ビッグコミックスピリッツ/ビッグコミックススペシャル) | 鎌谷悠希 | 無料試し読みなら漫画(マンガ)・電子書籍のコミックシーモア (cmoa.jp)
この作品の魅力は、LGBTQ+当事者と第三者の心理描写が緻密に表現されていることです。*『Xジェンダー』であることを公言している作者の鎌谷悠希さんにしか描けないリアルさがあるのではないでしょうか。
* 性自認が男性にも女性にもあてはまらないセクシュアリティ
周囲の悪気のない言葉や態度に当事者が追い込まれていくシーンには、ハッとさせられる人も多いはず。3巻ではFtMの男性が同級生に*アウティングされるシーンがあります。
*アウティング:本人の了解を得ずに第三者がセクシャリティを暴露すること
出典:しまなみ誰そ彼 3巻
主張すべきなのか沈黙すべきなのか、自分の一方的な善意が他人を傷つけてはいないか、深く考えさせられました。結局理解し合うことが正解というわけでも、善が何かが決まっているわけでもないんですよね。セクシャリティという話題に限らず、普段の私たちの人間関係にも共通する気付きが多く得られるはずです。
『互いをわかり合えなくても、わかり合えないまま生きていける世の中がいい。』
出典:しまなみ誰そ彼 3巻
この漫画は一言一言に重みがあり、発見があり、感動があります。
私は絵に関しては無知に等しいので正直烏滸がましいのですが、作者さんの画力には圧倒されました。苦悩や戸惑い、幸福など、複雑な感情まで表情を繊細に描いており、思わず惹きこまれてしまいます。表情に加えて、舞台である広島の尾道の風景や「談話室」の暖かみのある雰囲気など、描写の一つ一つが美しいこともこの作品の魅力です。
出典:しまなみ誰そ彼 1巻
2.青のフラッグ
・購入:Amazon.co.jp: 青のフラッグ 1 (ジャンプコミックスDIGITAL) eBook : KAITO: Kindle Store
・試し読み:青のフラッグ 1巻(少年ジャンプ+/ジャンプコミックスDIGITAL) | KAITO | 無料試し読みなら漫画(マンガ)・電子書籍のコミックシーモア (cmoa.jp)
簡単に言いますと、この作品ではいろんな高校生がとにかく語り合うんですよね。セクシャルマイノリティ(本作では主に同性愛)、男女の友情や恋愛、当事者と第三者の衝突など性を取り巻く様々な課題に斬り込んでいます。『しまなみ誰そ彼』にはセクシャリティも価値観も世代も違う者同士が出会って、「分かり合うことが最適解ではない。どんな選択も間違いではない。」ということを包み込むように教えてくれる、そんな印象を受けました。その一方で『青のフラッグ』に登場する高校生の彼らは、それぞれが心に持つ揺るがない主義主張をありのままにぶつけ合います。
個人的に、7巻でクラスメイトたちがある生徒のカミングアウトを巡って大論争を展開するシーンが、今も時々見返すことがあるほど大好きです。
出典:青のフラッグ 7巻
(一部しかお見せできないのが苦しい)
受け入れたいのに、理解したいのに、それができない。でも繰り返し衝突して苦悩しながらも前進する若者の姿。そこが本作の一番の魅力かと思います。個人的にはセクシャルマイノリティの存在や権利の主張を重んじている方に是非読んでいただきたいです。
3.ヒメゴト〜十九歳の制服〜
・購入:Amazon.co.jp: ヒメゴト~十九歳の制服~(1) (モバMAN) eBook : 峰浪りょう: Kindle Store
・試し読み:ヒメゴト~十九歳の制服~ 1巻(モバMAN) | 峰浪りょう | 無料試し読みなら漫画(マンガ)・電子書籍のコミックシーモア (cmoa.jp)
WEB連載されていた、峰浪りょうの作品。全8巻です。作品のキャッチコピーは「”ヒメゴト”を持つ3人の19歳が繰り広げる”ヨクボウ”と”セイフク”の物語」。
未果子は由樹とは対照的で、身なりや立ち振る舞いはお嬢様そのもの。しかし夜になると名門女子高の制服を身にまとい、「15歳」と偽っては売春を繰り返していた。
中性的な美青年で周囲からも人気を集める佳人。彼は憧れの対象である未果子と一体化したいと考えており、彼女の服や小物を同じように身に着けて密かに女装することを生きがいとする。
彼らは自身の特殊な性的嗜好をそれぞれの『制服』により体現する。そして3人が心に秘めた秘密を共有したとき複雑な性をまとった彼らは恋を知り、その関係は歪に絡み合っていく。
出典: 『ヒメゴト~十九歳の制服~』1巻
19歳というとまさに私の年齢なのですが、この歳で自分のセクシャリティが確立している人って意外と少ないと思うんですよね。だからこそ、LGBTQ+などと登場人物のセクシャリティを一切カテゴライズしていないことはこの作品の大きな魅力であると感じました。またセックスやセクシャリティ、売春、幼少期のトラウマなど重いテーマも取り上げており、「18歳未満」でも「成人」でもない「19歳」という年齢が登場人物のこれらのテーマに対する苦悩や葛藤、そして変化の大きな鍵となっています。他の2作品がセクマイに関する学習漫画的な要素を含んでいるのに対して、この漫画は性描写が多く、登場人物の心の闇や欲望が繊細かつ忠実に描かれています。ダークな恋愛漫画として時々共感しながら読んでいただけるのではないでしょうか。
出典: 『ヒメゴト~十九歳の制服~』1巻
終わりに
以上で作品紹介を終わります。簡単に説明するつもりが、めちゃくちゃ語ってしまいました(笑)
人権の話には正解がないので、付き合い方が難しいですよね。今回紹介した漫画が皆さんにとって新しい考えをもたらすきっかけとなれば、本当に心から嬉しいです。
ここまで読んでいただきありがとうございました。ではまた~^^
ガクセイ基地 ジェンダー関連記事
Add Comment