皆さん、こんにちは!徐々に気温も上がり暑くなって来て夏本番の今日この頃、少しでも涼みたいと思いませんか?夏で涼しくなるために必要なものと言ったら、なんといっても怖い話ですよね!お化けや未知の何かに関するお話は夏にぴったりです!
今回の記事では私が所属する大学の英文学科で扱ったイギリス文学から夏にぴったりな怖いお話、現代のホラー小説にも通じる「ゴシック小説」とは何か解説・紹介していきます!
目次
「ゴシック小説」って何?
ゴシック小説とは18世紀から19世紀初頭にかけて流行した神秘的なものを扱った小説です。具体的には幽霊や怪物、怪奇現象が登場し、ゴシック建築である古い屋敷や城、教会のような建物で、鍵のかかった部屋や地下室、礼拝堂、塔の上部など閉鎖空間が舞台になります。
ゴシック小説は現代のホラーや推理小説、SFなどに大きな影響を与えており、これから紹介する作品に出てくる怪物や事柄が題材になっていることもあります。名前を知っていたり、なじみ深いものの元ネタだったり、今の私達が比較的認知していたりします。
おすすめゴシック小説
◇フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス/メアリー・シェリー
「フランケンシュタインって聞いたことある!」「名前を知っている!」という方も多いのではないでしょうか?原作のタイトルにもなっているこの「フランケンシュタイン」のことを恐ろしい怪物そのものの名前だと思っている方もいるかもしれません。しかし実は「フランケンシュタイン」は怪物の名前ではなく、怪物を創り出してしまった人物の名前なのです。(ちなみに怪物は最後まで名無しです。)
スイス人の科学者、ヴィクター・フランケンシュタインが怪物を創り出してしまうというところからお話は始まっていきます。実際のフランケンシュタインは私達とそれほど年の変わらない大学生で、髭がもじゃもじゃで、しわしわの白衣の博士のイメージとは全く異なる人物です。生命の謎を解き明かし「理想の人間」を作ってやろうという彼の野望によって世にも恐ろしい怪物が生まれてしまいます。怪物は強い力と大きな体、優れた知性、そして心も持っていました。たった数ヶ月で複数の言語を独学で習得してしまうくらいに賢かったのです。とても優秀な存在だったのです。しかしながら見た目だけはどうにもなりませんでした。言葉に出来ないほど容姿が醜かったのです。フランケンシュタインは怪物のあまりのおぞましさに、怪物を置きざりにして故郷へと逃げ帰ってしまいます。怪物は自分の創造主であるフランケンシュタインを追いかけていきますが…。
フランケンシュタインと怪物がこの先どうなるのかは残念ながらネタバレになってしまいますので、ぜひ皆さん自身で原作を読んでチェックしてみてください!
【フランケンシュタイン あるいは現代のプロメテウス:文庫サイト】
◇ドラキュラ/ブラム・ストーカー
この作品も名前を知っている人やイメージがある人が多いのではないかと思います。そう、牙を持ち人の血を吸って生きるあの怪物です。「ドラキュラ」はこの小説の吸血鬼、伯爵の名前です。日本では怪物自体を「ドラキュラ」と呼ぶこともありますが、正確には怪物そのものは「バンパイア」と呼ばれます。
主人公の新人弁理士(現在の事務弁護士のような役職)であるジョナサンはドラキュラ伯爵との交渉のためにトンラシルヴァニアへ向かいます。彼の目指す先は山中の古城。奇妙かつ薄気味悪いものに出会いながら城に到着すると、痩せた長身の全身黒ずくめの老人に迎えられます。この老人こそ、ドラキュラ伯爵です。このドラキュラ伯爵は鏡に姿が映らなかったり、寝ていると思ったら口元に血がついていたりとどうにも奇妙です。ジョナサンはこの後なんとか伯爵の元を逃げ出すことに成功しますが、この後もドラキュラ伯爵はジョナサンとその婚約者のミナに執着し、様々な人を巻き込んでトラブルを起こしていきます。
私達の吸血鬼へのイメージも原作の中に。例えば、退治・対策に使える物。にんにくや十字架、聖水などが登場します。また、伯爵は日中に動くことが出来なかったり、不死の性質を持っていたり、伯爵が蝙蝠に返信して現れたりするシーンもあります。なかなかの長編ですが、その分量に値する濃密なストーリーと背筋の凍るシーンがたくさんあります。時間のある夏休みだからこそ、普段読むことが出来ないような長編小説にも挑戦してみてはいかがでしょうか。
◇ジキル博士とハイド氏/ロバート・ルイス・スティーヴンソン
「ジキルとハイド」という言葉を知っている方も多いのではないでしょうか?二重人格の事例によく使われるこの言葉はこの小説が元ネタです。穏やかな性格で心優しい高名な医者、ジキル博士。そして彼と同居している乱暴で冷たく、性格の悪いハイド氏。二つの人格が一人の人間の中にいる、その葛藤を描いた物語ですが、このお話はただの二重人格の物語ではありません。
ある日、裏町で少女を踏みつけにした男が捕まります。その男は「ハイド」。彼は慰謝料として300ポンドを求められます。周りの人々は普通の青年に払えるはずもない値段であると言いますが、ハイドは了承し家からきちんと300ポンドの小切手を持ってきます。そして、そこには「ヘンリー・ジキル」のサインがありました。ジキル博士の顧問弁護士であるアタスンはこの話をひと伝えで聞きました。彼はジキル博士からの遺言状を既にもらっていましたが、そこにも「ハイド」の名がありました。少女を踏みつけにするような残酷な彼にジキル博士は自分が死んだ後の財産を全て譲ると言っているのです。この事にアタスンはジキルがハイドに脅されているのではないかと疑念を抱きます。
…とこの先、特に最後に明かされる結末はぜひ自分でたどり着いてみて下さい。この小説ではジキルとハイドの二人は性格ももちろん、外見も全く違うそれぞれ異なる人物として登場します。本来のオチである二人が二重人格であることが有名なエピソードとして知られていますが、どうしてジキル博士にはハイド氏という二重人格の存在がいたのか、どうして別の人間として生きる事が出来たのか、彼らはいったいその後どうなったのか、自分の目で確かめてみて下さい。
まとめ
今回紹介した三つの作品は様々な形でミュージカル、ドラマなどに改編されたり、現代の小説の題材として扱われたりしていることもある作品です。ゴシック小説が今の推理小説やSF、ホラーへと影響しているように、作品そのものが文化を形成してきています。せっかくの夏休みをおうち時間で涼みながらゴシック小説に触れてみてはいかがでしょう。どれも名作なので、ぜひ読んでみてください!
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