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第9回木暮人国際映画祭2021 Online 木暮人倶楽部理事長 吉田就彦様インタビュー【後編】

今回のインタビューは11月23日にオンラインにて行われる第9回木暮人国際映画祭2021を主催されている(一社)木暮人倶楽部 理事長の吉田就彦さんに行いました。「木とともに生きるゆたかさ」をテーマに行われる木暮人国際映画祭のお話、またそれに伴い、自然と共に生きる事、アナログについてなどのお話を聞かせて頂いています。

こちらの記事はインタビュー後半となります。前半は以下のリンクからご覧ください。

【第9回木暮人国際映画祭2021 Online 木暮人倶楽部理事長 吉田就彦様インタビュー【前編】】

木暮人国際映画祭について
「木暮人国際映画祭2021」では、本年8月31日に応募締め切りされたエントリー作品の中から9月頭に行われた実行委員会を経て選ばれた下記9作品のノミネート作品の上映を行うこととなります。しかしながら、本年も新型コロナウイルスの猛威が世界中に波及していることにより、上映イベント自体にも感染蔓延のリスクが指摘されることから、従来の上映イベントとはせず、Onlineでの映画祭を関係者のティーチインを中心に行うこととなりました。
作品の上映については、映画祭前の11月13日(土)から「映画祭2021」後の11月28日(日)までの間でYouTube等の動画サイトにて視聴可能となります。映画祭当日のティーチインと合わせてお楽しみください。映画祭のチケットはこちらからアクセスして頂ければと思います。映画祭はzoomで行われ、無料でご覧になることが出来ます。
【木暮人国際映画祭チケットサイト】

 映画祭について

ー木暮人国際映画祭は「国際」映画祭とされているのはなぜなのでしょうか。

まず一つは、木暮人倶楽部は日本の木の文化を次の世代に広げようと活動しているので、そういう文化をいいと思ってくれる世界中の人に伝わればいいなということがあります。
次に、木というのは世界中どこにでもあるわけで、それぞれの国に木があって、木の使い方があるので、それを知る事は大事なんじゃないかなということも感じました。世界と自分達の生きる日本を比べて、考えていくという意味合いもあります。
このような背景として、私がデジタルハリウッド大学院で教授をしているということがあります。私の研究室の中には森林・林業研究部会というのがあるのですが、そのラボに入って来てくれる子は本当に外国人が多くて、これまでにも映画祭を行う中で様々な国から人が来てくれていたり、協力してくれているのです。木暮人国際映画祭は私の大学院の授業の一環としても行っていて、プロデュースということを教えているんです。アシスタントプロデューサーという形で学生たちが関わってくれているので、そこから映画を集めたりという形にしています。そういう中でたくさんの国際映画が集まったという感じですね。

【実際に今回上映される作品「大鹿村から吹くパラム」のお写真:明日から監督の金明允さんのインタビューが掲載予定です。】

 デジタルとアナログについて

―私の感覚としてはデジタルとアナログ、林業というようなものであったり、田舎で生きる事は正反対に位置するものだと思うのですが、その事についてどのように思われますか?そもそも吉田さんご自身はデジタルとアナログ、どちらを学ばれ、実践されてきたのでしょうか。

私は元々ポニーキャニオンというレコード会社にいて、音楽や映画の仕事をしていました。時代的に、もちろん最初はアナログです。私にとって、ポニーキャニオンでの一番最後の仕事は「だんご3兄弟」だったりします。そのあと、デジタルガレージというインターネットベンチャー企業の副社長になって、会社を上場させたという流れです。言ってしまえば究極のアナログから究極のデジタルに移行したわけです。

さきほど言われたデジタルとアナログは交わらないと思う人は多いのではないかと思います。私は歴史観として考えているのですが、アナログの次にデジタルが来る、さらにその先のデジタルの次に、またアナログが来るという流れになっていくのではないかと思うのです。人間が人間性の復興というものを考えたのがルネッサンスです。14世紀にイタリアで起こりました。この時に人間の復興が起こって、神の呪縛から解放されました。その後、産業革命が起きて、機械が人間を支配するようになります。機械というものが人間をしばるようになった。その後には1960年代に学生運動(LOVE&PEACEのフラワームーブメント)というものが起こりました。私はこれを第二のルネッサンスだと思っています。機械から解放されて、愛と平和を叫ぶ、ということです。そして、次に第二の産業革命としてデジタル革命が起こりました。そうなるとその先に、今度は…アナログの人間復興が来る!となるわけです。
今、グレタさんたちが考えていることって何ですか。地球環境の問題でしょ。地球環境って全部アナログじゃないですか。デジタルな部分は一つもない。地球も人間も今大きく病んでいて、大変な時代にある。ウィルスというアナログの究極みたいな存在に人類は翻弄されています。

人間が作り出したものがデジタルであり、自然やアナログとは相対するものです。でも、デジタルの先に人間はいないからデジタルをいくら突き詰めていっても、その先はあくまでデジタルです。なぜならその先に人間はいないですから。僕がデジタルを教える時にいつも言うのですが、デジタルの先にはアナログがあることを意識しなければならないということなのです。デジタルがあることで人間社会は便利にはなりました。でもそれは、同時にアナログという人間復興を促すことに繋がっていくのが自然の道理だと思うのです。便利であるということは非常に重要だけれども、それを持ってアナログを考えていくことが大切で、そのアナログの究極が自然なのです。
自然とデジタルを融合させていくことで可能性のある未来も見せてくれるのだろうという印象です。デジタルは人間のためにあるのだから、人間がそれをうまく使えばいいのです。

―では、逆にアナログは何のためにあるとお考えですか?

人間がアナログの中の一部です。ただ、アナログの中に人間がいるだけです。アナログが宇宙です。アナログの社会の中に人間がいて、生命として存在している。生命ってアナログそのものでしょう。バーチャルのアバターはデジタルかもしれないけど、中身の人はいるし、それを作り上げる人もいる。何より、それを見ているのは人間なわけです。発信する人間と受け取る人間を繋げるツールであるだけ。ツールとしては便利な方がいいから、デジタルがどんどん便利になる。
でも、結局根本的にはアナログの中にあるから、デジタルが中心にはならないんです。

ーそれは社会の中でどのように現れるものなのだと考えますか?

私はマーケティングの専門で、そこにも現れるような気がしますね。ヒットを生むには二種類しかない。それは「楽しい」「便利」かのどっちか、もしくは両方です。「楽しい」というのは感情が動くという意味で、悲しいとか嬉しいも入ります。いわゆる人間の感情が動くものか、便利なものということにしかヒットは起こらないのです。
今はどんどん技術が発展していったから、それによって作られた便利な物が大体同じものになってきちゃう。商品が差別化できなくて、便利なんだけどつまらなくなってしまうんです。結果、売れなくなる。皆同じようなものになると、マーケティングでいう「価格競争」ってものが起こります。そうすると衰退が起こって、デフレも引き起こします。最近のマーケティングの主流はだんだん「便利」から離れて「楽しい」の方になってきているんです。これは、アナログの極致である人間指向なわけです。便利だけじゃなく、面白い、楽しいという要素があって、モノを売るだけではなくコトを消費する。そういう時代に突入し始めているなと感じます。これがきっと先ほど話した、次に来る第三のルネッサンスなのではないかと思います。木暮人国際映画祭は小さいけれど、その一端を担っていければと思います。

 大学生へのメッセージ

―大学生へのメッセージをお願いします。

大学生の皆さんは大変な時代を今、過ごされていると思います。これは我々の世代がいけなかったのです。我々がなまけていた結果なのです。グレタさんも怒っているし、皆さんにも大変なつけが日本の社会の中で回ってきます。我々先人がダメだったのだと深く深く反省しています。ただし、皆さんは今を生きていて、これからを生きなければなりません。ではこれからどうやって生きていってほしいかということを私も考えます。私は大学院で教授もしているので、その時にいつも言っていることをお伝えします。それは「自分であれ」ということです。これはアナログの極致です。自分が唯一コントロールできるアナログなものは自分しかないのです。どれだけのことを自分事化できるかということがとても大事なんです。それにより、その人の未来は素晴らしいものになると思います。逆に言えば、我々の世代はそれをしてこなかったから失敗したのかもしれません。会社のため、とか、先輩のため、上司のため、国のため、自分のためではなく、とりあえずよく分からない大きなもののために生きてしまって来て、今まで来て、もっと自分のために生きていたら、もっとこの国は良くなるし、社会も、世界も、良くなったのにと思います。だから、自分であること。自分として生きること。自分を生きる。これをぜひ自分のために行っていってほしいなあと思います。

 編集後記

今回の記事は木暮人国際映画祭、またそれを主催される木暮人倶楽部の理事長でいらっしゃる吉田就彦さんのインタビューでした。私自身はどちらかというとアナログな人間であり、ライター仕事をしているのですが機械はあまり得意な方ではありません。今回のお話にもある通り、私の中ではかなりアナログとデジタルは繋がらない、相対的なものである印象がありました。吉田さんのお話を聞く事でその印象が変わり、今までアナログと違ってあまり「人」とのつながりが印象になかったデジタルについてまた考え直す機会になりました。記事を読まれた皆さんも記事を読んでデジタル、アナログの印象が変わった印象もあるのではないでしょうか。

「木とともに生きるゆたかさ」をコンセプトに木暮人国際映画祭は行われます。普段は森林や自然に親しみのない方も、映画を通してぜひ知ってみてはいかがでしょうか。ドラマ映画、ドキュメンタリー映画、アニメ映画など、様々な作品がありますので、自分のお好きな作品を見つけてご覧になってみてください。

木暮人国際映画祭関連SNS・サイト

 

ガクセイ基地では他にもインタビュー記事がたくさんあります。インタビュー記事は以下のリンクからご覧ください。また、明日から今回のインタビューした木暮人国際映画祭により上映される映画で「大鹿村から吹くパラム」の製作をされた金明允さんのインタビュー記事を公開されます。そちらでも映画について素敵なお話をお聞きしていますので、ぜひご覧になって頂ければと思います。どうぞお楽しみに。

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