航空・旅行/宇宙

機内食のこだわりとは?/ANA機内食総選挙2018 試食会

国際線を利用する時に出てくる機内食。皆さんはどのような感想をお持ちですか?

美味しくない、種類が少ない、量が多い、、、

このように、マイナスイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?

 

私は幸運なことに、今年開催されたANA機内食総選挙の試食会に参加することができました。実際に機内食を頂いた感想とケータリング工場見学をした感想を述べていきます。

 

 

ANA機内食総選挙とは?
「お客様とともに創る機内食」をテーマに2013年から始まった。SNSやホームページで数種類の中から好みの機内食を投票し、上位のメニューは日本発国際線プレミアムエコノミー・エコノミークラスの機内食として提供される。
また、投票した人の中から抽選で機内食工場(ANAケータリングサービス川崎工場)の見学、並びに選挙で上位に選ばれた機内食を頂くことができる。
詳しくはこちら
https://www.ana.co.jp/ja/in-meal-election/

 

 

 

 

機内食へのこだわり

 

メニューの紹介の前に、ケータリング工場の紹介をします。

※衛生管理のため、写真は撮れませんでした。

 

ANAのケータリング工場は、羽田と成田にあります。どちらの工場も1日約15,000食作っています。

製造過程

①着替え・消毒

食品を扱う上で一番大切なのは衛生管理です。私達も工場へ入る際は帽子(髪は全て帽子の中に入れる)、頭巾、白衣、靴カバー、マスクをしました。安全でおいしい機内食を提供するのに欠かせません。

着替えてからもいくつかの作業をしてから工場内に入れます。

1.コロコロを使って服についているホコリを取る

2.靴カバーを付ける(外靴と内履きのフロアが分かれています)

3.手洗い 石鹸を使って30秒かけて手の隅々までごしごしする→15秒かけて電解水で洗い流す(殺菌効果があります)→ハンドドライヤーで手を乾かす→アルコール消毒

4.エアシャワー室でホコリを除去する

5.工場入室

 

②下処理(プレパレーション)

ここでは、肉・魚・野菜と食材ごとに部屋を分けて下ごしらえをします。まな板などの調理器具も食材ごとに色分けしており、交差汚染を防ぎます。また、何曜日に仕込みが始まったのかが分かるよう、曜日ごとに異なるラベルを貼って管理しています。ちなみに、機内食の仕込みはフライトの2日前から始まります。もし、3日以上前に下ごしらえされたものが工場内にあったらそれは調理不可となります。

 

③調理製造キッチン

下ごしらえされたものは違う部屋へと送られ、調理されます。違う食材が運ばれないよう、工場内は一方通行です。1日15,000食も作りますが、調理は基本的に手作業です。一つ一つ丁寧に作られています。

また、調理してからお客様が口にするまでには時間があります。菌の繁殖を防ぐために出来立ての料理を5℃に保たれた冷蔵庫で一気に冷やします。

 

④盛り付け(ディッシュアップ)

ここでは盛り付けの写真を見ながら一皿ずつ手作業で盛り付けをしていきます。

 

⑤最終確認

盛り付けられた料理はX線で異物が混入していないかをチェックします。この検査を通った食事がカート(客室乗務員が機内で押しているもの)に積まれます。一つのカートに24食収納できます。

 

⑥輸送

いよいよ機内へ輸送します。機内食だけではなく、ファーストクラスやビジネスクラスで使う食器、機内販売、アメニティーも一緒にANACで搭載され、飛行機へと届けられます。食の品質を保つためにトラック内も5℃に設定されています。

 

 

今年の機内食総選挙は?

それでは、本題の総選挙メニューについてお伝えします。今年は「ご当地カレー」をテーマとした総選挙。四国・中国地方の食材を使ったカレー9種類!

  • 鳥取県 大山どりのカツカレー
  • 島根県 しじみご飯と野菜たっぷりカレー
  • 広島県 ミツワソース入りドライカレー
  • 岡山県 牡蠣醤油のシーフードカレー
  • 山口県 長州どりの和風カレー
  • 高知県 生姜入りキーマカレー
  • 愛媛県 みかんカレー
  • 香川県 小豆島オリーブ入りカレーピラフ
  • 徳島県 フィッシュカツとレンコンカレー

 

投票期間は10月19日~28日の10日間。投票数は約3万。日本だけではなく、中国など、海外の方も投票したそうですよ。

 

結果は・・・

第3位:岡山県 牡蠣醤油のシーフードカレー

第2位:鳥取県 大山どりのカツカレー

第1位:徳島県 フィッシュカツとレンコンカレー

会場には総選挙で出た9種類すべての機内食が展示されていました。

どれもおいしそうです。

 

試食会では、上位3つの中から1つ試食できます。私は2位の大山どりのカツカレーを頂きました。

カレールーは機内で再度温めること、ご飯が柔らかくなりすぎないようにすることの2点を考慮し、とろみがありました。今まで私が食べた機内食は、お肉が固かったり、ご飯がパサパサしているなど、あまり美味しいと感じたことはありませんでした。しかし、ANAの機内食はそれらの印象を覆す味でした。カレー自体もそこまで辛くないので、辛いのが苦手な人でも美味しく頂けると思います。

地上で食べたので味が濃く感じましたが、上空だと味覚が鈍るため、少し濃いめに味付けしているそうです。

 

 

 

 

見学を通じて発見した、ANAの機内食へのこだわり

・機内食の開発から提供までの期間

  約1年かけるそうです。材料は国産にこだわっています(全ての食材が国産ではありません)

・徹底した衛生管理、品質管理

・一つ一つ手作業で行う丁寧さ

・お客様の声を基にした商品開発

  機内食総選挙やフライトなどで寄せられたお客様の声を大切にしているからこそ美味しい料理が作れるのだと感じました。

・環境に優しい

  プラスチックごみやフードロスが問題となっている中、プラスチックに代わる製品の使用やごみを減らすための取り組みも進んでいるそうです。

 

今回のイベント担当の方が「限られた機内の中での楽しみの一つが食事だと思います。そのお客様に対して、味だけでなく、色や香りなど5感で食事を楽しんでほしい」とおっしゃっていました。長期休暇に海外へ行く学生も多いと思います。普段何気なく食べている機内食をどんな人がどんな思いで作ったのかと考えるとより美味しく、楽しく食事ができるのではないでしょうか?

 

 

 

 

編集後記
「航空業界で働く」というとパイロット、客室乗務員、総合職のいずれかを考えると思います。しかし、飛行機一機を飛ばすのにグランドハンドリングスタッフ、空港管制官など数えきれないほどの人が関わっています。今回はその一つであるケータリングサービスについて学びました。ここで働く方は直接お客様に思いを伝えることは出来ませんが、各工程の中で、「空の旅を楽しんでほしい」という思いが込められているように見えました。多くの人が見えないところで働いているからこそ、安全で快適なフライトができるのだと感じました。搭乗の際は感謝の気持ちを忘れずに、空の旅を楽しみたいです。

 

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gakuseikichi

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