航空・旅行/宇宙

JALはどうやって飛行機を飛ばしているの?

日本の大手航空会社の一つである、日本航空(JAL)。
今回はJALで主に路線計画を担当する阿部さんにお仕事の内容や航空会社で働く魅力をお伺いしました!

 

阿部さんの経歴から見るJALのお仕事 

「航空会社で働く」といっても、阿部さんのように本社や地区支社で働く人や、空港でお客さまの手続き業務等を行うグランドスタッフ、客室乗務員にパイロットなど、様々な業務があります。
はじめに阿部さんの経歴をもとにJALの会社ではどのようなお仕事があるのか見てみましょう!

 

① 大阪のコールセンター

一年目は、大阪のコールセンターに配属となりました。そこでは電話を介して、お客さまから国内線及び国際線のご予約やお問い合わせ等を承る業務でした。

業務企画職(いわゆる総合職)の多くはまず航空運送事業の基礎を学ぶために、お客さまと直接接する現場に配属となります。

航空運送事業の基礎を学ぶことはもちろん、お客さまのニーズやウォンツ、仲間とのチームワークが一便一便の運航を支えているといったことを肌で学ぶことがとても大切なのです。

コールセンター業務は一見すると地味に見えますが、求められる知識は運賃や手荷物規則はもちろん、空港での乗り継ぎ情報など幅広く、お客さまの旅のスタートにとって無くてはならない存在がコールセンター業務であることを学びました。

現場で働く機会を得たからこそ、そういうことに気づけたという意味でも現場での経験は今でも、JALをもっともっといい会社にしたいと思う原動力になっています。

 

② 成田空港

コールセンターで1年半働いた後、次に2か所目の現場として成田空港で働くことになりました。そこでは、チェックインや発券、ゲート業務などの空港業務全般を通して実際にお客さまが安全に気持ちよく旅立つ為の業務に携わっていました。

空港での勤務において以前の予約業務より実際に飛行機の間近で仕事をすることで予約から空港へ繋がるお客さまの動線が良く理解でき、社員一人一人の仕事がバトンを繋ぐようにお客さまへのサービスとなり、JALというブランドを創っているという実感が湧くようになりました。一方その頃、会社の状況は日を追うごとに悪くなっていたことを記憶しています。

 

③ 東京支店

そのような中、東京支店へ異動となり国内営業業務につきました。ここでは航空券を販売する、すなわちJALの生業である航空業においてどう収入を得ていくのかを学ぶ機会を得ました。

担当する旅行会社に足しげく通い、お客さまとの信頼関係を構築する中でWIN-WINの関係を志向し、相手がどうしたらWINになるか考え、そのうえでJALもしっかりと収益を出す、商売の基本を学ぶ日々でした。

その中で、自分の与えられた役割、すなわち担当旅行会社への具体的な提案力と目標達成のための実行力を身につけられたことは確実に今の自分の基礎になっていると感じます。

時期を同じくして、会社の経営はいよいよ厳しく、ついに2010年、JALは経営破たんしました。私自身も自分の将来について悩むことがありましたが、最終的に「経営破たんという危機的な状況下、同じ過ちを繰り返すまいと会社を去った仲間の分までJALで再生に向けて取り組むことが自分の人生にとって大きな意義がある」という思いに至り、自分はJALで努力をする、と決めたことを覚えています。

 

ベトナム・ハノイへ

話は変わりますが、私は新入社員のころからアジアからの訪日需要を喚起するためにアジア地域のどこかで営業をしたいと希望していました。そして日本で6年間の勤務をしたのち、念願かなってベトナムのハノイへ転勤するチャンスを得ました。
まずはベトナムからの航空需要についての情報を正確に把握し営業に活かすために、航空需要のデータ集めや独学ではありますがマーケティングについて学びました。

というのも、当時のJALのベトナムにおける営業は、やはり日系企業に勤める駐在員の日本への出張、里帰り需要の取り込みが主で、それはJALが今まで長い間現地に根差し、駐在日本人の皆さまとの関係を築く中で強みとして受け継がれてきた大切な業務ですが、新たなベトナム人の訪日需要を積極的に取りに行く攻めの営業体制が整っていなかったのです。

↑ベトナム発日本行のニーズ

 

上述の通り①②の需要に対しては、支店開設当初より積極的に取り組んでいました。現地での私のミッションはそれに加え、未開拓だった④の需要獲得です。
※③の需要はマーケティング調査の中で当時まだ大きな需要ではないことが分かりました。

振り返ってみるとベトナムでの営業経験はまだ開拓されていなかったベトナム人の訪日マーケットを一から開拓する経験ができた点で大変貴重でした。
日本における営業のように、お付き合いする旅行会社が予め決まっている=新しい仕事をするというよりは、今まで先輩社員が積み上げてきた旅行会社との信頼関係を維持向上する事に力点を置く営業スタイルと、ハノイにおいては、お付き合いする旅行会社も明確に定まっておらず、流通戦略を自ら描かなければならない点で同じ営業でも全く違う経験が出来ました。ハノイにおける旅行会社毎の情報を詳細に集め、数ある現地の有力旅行会社に一つ一つに足を運び担当者に直接会って話をする中で、会社の業績・日本マーケットへのコミット力・トップの考え方など様々な観点でJALのパートナーとなりうるかを考えながら、実際の取引実施についての判断をしていました。そうして付き合いの始まった旅行会社のキーパーソンを集めて、実際に北海道や沖縄へ足を運んでもらい、日本行の旅行商品を拡充させるきっかけを作るなど、一歩一歩ではありましたが着実に結果に結びつく営業活動が出来ました。

 

ヨーロッパ路線の企画・販売

ベトナムから帰国して担当したのは、ヨーロッパ路線の販売企画業務です。日本発券の収入計画を業務観光需要別に作成し、収入計画の達成を実現するために必要な施策を打つというのが主な業務です。

ヨーロッパ路線の場合、JALはワンワールドアライアンス*1に加盟をしており、そのうちの3社*2とヨーロッパ路線において共同事業を行っています。共同事業では、パートナー航空会社同士で定めた路線の収益が目標を超えた場合は、その分をシェア、またうまくいかなかった場合もマイナス分のシェアを行います。そうして収入面でのリスクを互いに最小化しながら、パートナー航空会社のネットワーク(相手国からの国内線国際線)を活用しお客さまにとってサービスの充実や乗り継ぎ利便性などを高めることを通して収入の最大化を目指します。3社のパートナーはそれぞれイギリスとフィンランド、スペインの航空会社ですので、互いの国と国、また企業文化も異なる環境で、彼らと一緒になってより良い販売環境を整えていくために、様々な課題解決に、時には衝突もしながら一歩ずつ取り組む経験ができたことが財産となっています。

*1「ワンワールドアライアンス」…15の航空会社が加盟する世界規模の航空連合
*2「3社」…British Airways(BA)、Finnair (AY)、Iberia(IB)

 

⑥ 路線計画部(現国際路線事業本部 国際路線事業部 路線計画グループ)

2017年の4月から路線計画部に異動になり、主に北米路線とハワイ路線、韓国路線の路線計画を行っています。路線計画では、新規路線の開拓など需要を見極めた上で、路線の計画を立てています。
新規路線を開設するまでには候補となる新路線でJALが新規に獲得できると見込まれる航空需要、それに伴い変化するマーケット環境についてできる限り再現性高くシミュレーションすることが大切です。特に担当する米州路線においては、共同事業のパートナー航空会社*3と戦略観点での合意を得たうえでJALとして新規路線を決定するプロセスを経ています。
ここまで私のJALでのキャリアパスについてご紹介しましたが、現場から事業計画へと仕事の内容が徐々に変わってきていることをご理解いただけたと思います。

 

 

 

JALの阿部さんが見る旅行業界とは

日本において旅行業界はどう変化していくとお考えですか。

ご存知の通り近年は訪日外国人による観光需要が劇的に増加しています。

JALの中期経営計画でも、海外からの訪日旅客を取り込むことを明確に謳っていますが、航空会社のみならず旅行会社各社も海外からの訪日観光需要の取り組みに本腰を入れ始めています。今後は日本発のお客さまだけでなく、海外発のお客さまを確実に取り組むこと、また訪れた外国人のお客さまへ東京や京都だけでない日本の地方の良さを効果的に発信し、世界から選ばれる旅行会社になることが日本の旅行会社として成長するキーポイントの一つであると考えます。

 

 

 

JALで働く魅力とは

航空業界は様々なことに影響を受けやすいということが分かりました。そのような業界におけるJALの強みとは何でしょうか。

JALは社員一人一人のおもてなしの心と快適な機内座席に代表される、ソフトとハード両面での高品質なサービスを強みとしています。

2016年はアジア太平洋地域では第1位、世界でも第2位という安定した定時性も強みであり、お客さまから「JALなら遅れない」という信頼を得られています。

 

 

阿部さんはなぜ就職先としてJALを選択されたのですか。

就活をしていた時に「日本と世界の懸け橋になれる可能性のある日本企業」というカテゴリーで探していたので、商社、メディア、航空会社、メーカーなど業界をまたいで就活をしていました。

その過程で、文字通り日本と世界を飛行機で繋ぐJALの仕事は自分自身の「日本と世界の架け橋になる」という志を体現できる会社だとの確信を得るようになり、当時の採用担当の方の魅力にも惹かれ就職を決めました。

 

JALにはどのような人が働いていますか。

12年間JALで働いてきて、現場間接部門問わず仲間の立場に立って物事を考え、人と協調しながら様々な調整を前に進める能力が高い人が多いように思います。

個人的には単純ですが、熱い情熱を持った人が多いな、というイメージをこの会社に持っています。
また、破たん前後の会社の経営が厳しい時代を一緒に乗り越えてきた仲間が多く残っており、時代を切り開くエネルギーに溢れている職場です。

 

それでは最後に航空会社を目指す学生にアドバイスをお願いします!

JALに関するアドバイスになってしまうんですけど(笑)
日本という名前の付く航空会社は日本航空「JAL」だけです。この会社名に込められた「日本」への思いっていうのが絶対にあります。だからこそ、その思いを世界中に届けていく使命があると感じています。
破たんを経験し、再生のチャンスに与えて頂けたことに感謝し、何事にも真剣に向き合い、新しいことに挑戦していく。そして日本の「おもてなし」や「日本らしさ」を武器に、フルサービスキャリアとして、「世界で一番お客さまに選ばれ、愛されるエアライン」を目指す、エキサイティングな仕事をするチャンスがあります!

 

阿部さん、ありがとうございました!

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gakuseikichi

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