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【オーラの発表会/綿矢りさ】現役大学生のバイブル本⁉ハチャメチャ主人公なのにこの魅力は何だ?

こんにちは!ガクセイ基地のノドカです🌞

 

今回の記事では、令和の大学生のバイブル本として薦めたい、綿矢りささんの「オーラの発表会」をご紹介します。

 

現役大学生に読んでほしい理由を3つに分けて考えてみたので、最後まで読んでくれると嬉しいです。

あらすじ
大学一年生の海松子(みるこ)は、対人関係が苦手。お洒落や恋には興味なし。特技は脳内で他人に(失礼な)あだ名をつけることで、口臭から相手が食べたものを当てる能力を磨き中。友達は、人の髪型や服を真似する「まね師」の萌音だけ。人を好きになる気持ちもわからないのに、幼馴染とイケメン社会人から好意を寄せられていて⁉周りとうまくやりたいのにやれない主人公の、不器用で愛おしい恋愛未満小説。(集英社文庫裏表紙より)

 

 

①とにかく癖の強い主人公、海松子

今作の魅力は何と言っても、主人公・海松子(みるこ)のキャラクター!!

あらすじからも垣間見えるように、この海松子、とにかく癖が強いんです。

 

出会う人々に失礼すぎるあだ名をつけてしまうのはまだまだ序の口。

口臭から相手の食べたものを当てようとしているし、さらに悲惨なことに、予想した食べ物が合っているかどうか相手に確認までしてしまいます…。

 

自分がこんなことされたら絶対に嫌だ…!!

 

物語の序盤を読んでいるときは、「うわ、この主人公やばすぎて全然共感できない…」「読むのちょっとつらいかも…」とまで思ってしまいましたね(笑)

 

しかし!

不思議なのは、読み進めるうちに海松子を応援したくなる気持ちがむくむくと湧き上がってくること。

 

それはなぜか、海松子自身が「みんなと仲良くなりたい」という気持ちのもと行動しているから。

アプローチの方法は圧倒的に間違いまくっているのですが、「口臭からの食べ物予想から会話が広がるはず!」と海松子は本気で思っているんです。

もう一度言います、方法はめちゃくちゃ間違えていますが(笑)

 

大学の食堂は多くの学生が毎日利用し、昼はトレイを持った学生の列が長く続いている。私は一人で食べているので、他の学生がどのようなメニューを注文しているのか興味があった。私の推理が、あの定食は美味しいね、私もよく頼むよ、と会話の弾むきっかけになればと思っていたのだが。

 (p43~44)

 

この文章から察せられるように、海松子はとても真面目でまっすぐなんですよね。

 

そして、不器用。

「あー!なんでそっちに行っちゃうかな!!」とやきもきしながら、いつの間にか誰よりも海松子を応援している。

 

読み進めるうちにそんな構図ができあがっているはず。

 

②大学生に突き刺さる、「一人暮らし」?

主人公の海松子は、大学入学を機に一人暮らしを開始します。

 

自ら望んで一人暮らしを選択したわけでも、地元から離れた大学へ進学するために一人暮らしを選択せざるを得なかったわけでもありません。

 

「私たちも海松子ちゃんと離れるのはとても辛いけど、お父さんと相談した結果、あなたは大学入学と同時に一人暮らしを始めることになりました。期間ですが、少なくとも大学生の間は、鷲尾さんが大家さんをしてるアパートに住み続けてもらいます」

(p11)

 

この海松子の一人暮らし、両親によって既に決められていたことだったんです。

 

物語は、まっすぐでズレまくっているために大学生活をうまくやれない海松子の淡々とした一人暮らしの様子を描いていきます。

 

”借りてきた猫のようにおとなしい”と言うが(大体猫を貸す状況などあり得るのだろうか?と不思議に思い以前調べたら、昔はねずみを獲ってもらうために猫を貸し借りしたらしい)我が家は、借りてきた家のように静かだ。実際賃貸の部屋なのだから、その通りなのだが、なにかひっそりとこちらの出方を横目で窺いながら部屋がじっと黙っている、そんな静けさを感じる。

(p25)

 

部屋が自分色に染まるまでの一人暮らしって単調だよなぁ、と激しく共感します。

 

ある程度の家事はこなせて、自分ひとりで生活を送ることもできている。でも、やるべきことを「こなしている」状態、それは本当の自立と言えるのでしょうか。生活は回っているけれど、心は動いていない状態。

 

海松子の一人暮らしを通して、「本当の自立って何だろう」と考えさせられます。

 

③日常使いしたい、ポップで可愛い言葉たち

この「オーラの発表会」、主人公である海松子が笑っていても泣いていても悩んでいても、どんなときも紡がれている言葉がとっても軽やか

ポップで可愛くて、真似したくなる言葉がたくさんあります。

 

私は二軒目にしてすでに厖大な品物の情報量に疲弊していて、おなじみのトンネル内のラジオ状態に陥っていた。

(p181)

 

好きだの愛だのという言葉を聞くと、どうしてもかつての拒否反応が甦ってきて、自分の気持ちを問いただしてみても、たまねぎのどこまでが皮か分からなくて全て剥き切ってしまい、残るは無みたいな感覚に陥る。

(p197)

 

おそらく私は、一人で足りすぎているんだと思います。足りちゃいけないところまで、足りているんだと思います。

(p252)

 

わかりますか!この言葉たちの切れの良さ。海松子の悩みまくっている心情を表した言葉たちなのですが、ワードセンスの良さが神がかっていると思います。

 

・「トンネル内のラジオ状態

・「たまねぎの皮剥き切って残るは無

・「足りちゃいけないところまで足りている

私も日常使いしたいと思います。

 

【私的】物語の注目ポイント

最後に、「オーラの発表会」の注目ポイントを列挙してこの記事を締めくくりたいと思います。記事で紹介しきれなかったポイントも含んでいるので、ぜひ最後まで読んでみてください!

 

🌟海松子のキャラクター…癖強すぎ!だけど、不器用でまっすぐで魅力的!いつの間にか海松子の大応援団長になっているはず…!!

 

🌟海松子の恋模様…「恋愛とは?」状態だった海松子が「恋って何だろう」「自分の気持ちって何だろう」と思い悩む過程にむずむず。あらすじの通り、「恋愛未満小説」です!ちなみに…。海松子を悩ませる2人の男、どっちも魅力的です💓

 

🌟海松子の特技、「あだ名」…失礼すぎるあだ名たち。失礼なんだけど、一度聞いたら忘れられない、面白いものばかり…。とにかく読んでみて!!!

 

🌟海松子の両親…この親にして海松子あり。癖強いです、でもいい人。両親が海松子に一人暮らしをさせた理由にも注目です。

📍「オーラの発表会」の詳しいあらすじや瀧井朝世による書評を読みたい人🔜オーラの発表会|集英社の月間文芸誌「すばる」
📍綿矢りささんのインタビューを読みたい人🔜一人で足りすぎている女子大生の友情と恋。綿矢りさ『オーラの発表会』刊行記念インタビュー

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About the author

nodoka

法政大学社会学部メディア学科

趣味:食べること、寝ること、読むこと

いい意味でも、悪い意味でも能天気です😘

今年の目標は、素直に自己表現することです。

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