こんにちは!ガクセイ基地のノドカです🌞
今回の記事では、令和の大学生のバイブル本として薦めたい、綿矢りささんの「オーラの発表会」をご紹介します。
現役大学生に読んでほしい理由を3つに分けて考えてみたので、最後まで読んでくれると嬉しいです。
目次
①とにかく癖の強い主人公、海松子
今作の魅力は何と言っても、主人公・海松子(みるこ)のキャラクター!!
あらすじからも垣間見えるように、この海松子、とにかく癖が強いんです。
出会う人々に失礼すぎるあだ名をつけてしまうのはまだまだ序の口。
口臭から相手の食べたものを当てようとしているし、さらに悲惨なことに、予想した食べ物が合っているかどうか相手に確認までしてしまいます…。
自分がこんなことされたら絶対に嫌だ…!!
物語の序盤を読んでいるときは、「うわ、この主人公やばすぎて全然共感できない…」「読むのちょっとつらいかも…」とまで思ってしまいましたね(笑)
しかし!
不思議なのは、読み進めるうちに海松子を応援したくなる気持ちがむくむくと湧き上がってくること。
それはなぜか、海松子自身が「みんなと仲良くなりたい」という気持ちのもと行動しているから。
アプローチの方法は圧倒的に間違いまくっているのですが、「口臭からの食べ物予想から会話が広がるはず!」と海松子は本気で思っているんです。
もう一度言います、方法はめちゃくちゃ間違えていますが(笑)
(p43~44)
この文章から察せられるように、海松子はとても真面目でまっすぐなんですよね。
そして、不器用。
「あー!なんでそっちに行っちゃうかな!!」とやきもきしながら、いつの間にか誰よりも海松子を応援している。
読み進めるうちにそんな構図ができあがっているはず。
②大学生に突き刺さる、「一人暮らし」?
主人公の海松子は、大学入学を機に一人暮らしを開始します。
自ら望んで一人暮らしを選択したわけでも、地元から離れた大学へ進学するために一人暮らしを選択せざるを得なかったわけでもありません。
(p11)
この海松子の一人暮らし、両親によって既に決められていたことだったんです。
物語は、まっすぐでズレまくっているために大学生活をうまくやれない海松子の淡々とした一人暮らしの様子を描いていきます。
(p25)
部屋が自分色に染まるまでの一人暮らしって単調だよなぁ、と激しく共感します。
ある程度の家事はこなせて、自分ひとりで生活を送ることもできている。でも、やるべきことを「こなしている」状態、それは本当の自立と言えるのでしょうか。生活は回っているけれど、心は動いていない状態。
海松子の一人暮らしを通して、「本当の自立って何だろう」と考えさせられます。
③日常使いしたい、ポップで可愛い言葉たち
この「オーラの発表会」、主人公である海松子が笑っていても泣いていても悩んでいても、どんなときも紡がれている言葉がとっても軽やか。
ポップで可愛くて、真似したくなる言葉がたくさんあります。
(p181)
(p197)
(p252)
わかりますか!この言葉たちの切れの良さ。海松子の悩みまくっている心情を表した言葉たちなのですが、ワードセンスの良さが神がかっていると思います。
・「トンネル内のラジオ状態」
・「たまねぎの皮剥き切って残るは無」
・「足りちゃいけないところまで足りている」
私も日常使いしたいと思います。
【私的】物語の注目ポイント
最後に、「オーラの発表会」の注目ポイントを列挙してこの記事を締めくくりたいと思います。記事で紹介しきれなかったポイントも含んでいるので、ぜひ最後まで読んでみてください!
🌟海松子のキャラクター…癖強すぎ!だけど、不器用でまっすぐで魅力的!いつの間にか海松子の大応援団長になっているはず…!!
🌟海松子の恋模様…「恋愛とは?」状態だった海松子が「恋って何だろう」「自分の気持ちって何だろう」と思い悩む過程にむずむず。あらすじの通り、「恋愛未満小説」です!ちなみに…。海松子を悩ませる2人の男、どっちも魅力的です💓
🌟海松子の特技、「あだ名」…失礼すぎるあだ名たち。失礼なんだけど、一度聞いたら忘れられない、面白いものばかり…。とにかく読んでみて!!!
🌟海松子の両親…この親にして海松子あり。癖強いです、でもいい人。両親が海松子に一人暮らしをさせた理由にも注目です。
📍「オーラの発表会」の詳しいあらすじや瀧井朝世による書評を読みたい人🔜オーラの発表会|集英社の月間文芸誌「すばる」
📍綿矢りささんのインタビューを読みたい人🔜一人で足りすぎている女子大生の友情と恋。綿矢りさ『オーラの発表会』刊行記念インタビュー
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