こんにちは、ガクセイ基地のノドカです🌞
皆さん、いかがお過ごしでしょうか。
さすがに朝晩は寒さが沁みる季節になってきましたね。
私は冬好きで夏嫌いの人間なので、この肌寒さに胸をときめかせています。
今回の記事では「食欲の秋」「読書の秋」になぞらえて、エッセイを1冊ご紹介します。
大久保佳代子さんの「まるごとバナナが、食べきれない」
タイトルに【まるごとバナナ】と入っている通り、大久保さんの人生を「食」を通して描いたエッセイ集です。
さすがは芸人さん。くすっと笑えたり、ちょっとしんみりしてしまったり。
本の帯で「妙齢女子、必携!」と謳われていましたが、2004年生まれぎりぎり19歳の私にも刺さるポイントがたくさんありました。
それではさっそく、19歳の私に刺さったポイントを5つ語っていこうと思います。
まるごとバナナが、食べきれない/大久保佳代子 集英社公式ページ
ちなみに…「妙齢」って「若い」ことを意味するらしい!!
知らなかった!!!
この本の帯は「妙齢」を正しく使えているのかしら…?
いや。女は何歳でも若いし綺麗か!!
目次
①人を好きになるのって、めんどくさい
友達もいる、大学も楽しい、でも恋人はいない。
恋人がいたら楽しいんだろうなとは思うけど、出会いを求めて自分から動くほど恋人を求めてはいない。
これ、19歳の私の正直な気持ちです。
仲良くなった人を好きになれたら、それがいちばん。好きになるために仲良くなるのって、今の私にはめんどくさい。
そこまで好きではない不確定なレベルでデートをしてみるとか、でも嫌われたくないからそれなりの振る舞いをしてしまうこととか、結局、好きになれず断るにしても相手の気分を害さないようにするにはどうすればよいのか考えるのも億劫。逆に好きになったらなったで、気持ちを揺さぶられることが増えたりするだろうし。 (p3より)
【まるごとバナナが、食べられない】の冒頭、序盤の序盤に記された、この言葉たち。
これを読んだ瞬間に、
「いやいや。この本が刺さるの、妙齢女子だけじゃないやーん!!」
という叫びが心の中でこだましました。
現在、恋愛モードじゃない女子にも「恋したい」という気持ちはどこかにあって。
「何か起きないか」なんていう期待もちゃんとあるけど。
本音はこれですよね。
面倒くせぇ~!!
②理想の家族ではないかもしれないけれど
でも、確実に私は大久保家で育ち、作られてきた。両親からすると「こんなはずじゃなかった」娘かもしれない。でも、独身だから力になれることもあるだろうし、この仕事で稼いだお金はいつか何かの役に立つかもしれない。
いつも日か「心配ばかりかけられたけど、いい娘だよ」と両親に言ってもらいたいからこそ……。これからも私はエゴの赴くまま、親孝行をしたいと思っている。(p44より)
ほとんどの人が自分の家族を愛していると思うけど、CMに登場するような家族像が「そのまんま当てはまります!」という人はいないんじゃないだろうか。
でも、自分という人間は家族によってつくりあげられた面が大きくて、家族とは切っても切り離せない。
関係が密接すぎるからこそ嫌になることもあるし、反対にとても心強く感じることもある。
大学進学を機に地元を離れ、家族というものを少し俯瞰して見られるようになった私は、そのありがたさが身に染みてわかるようになってきました。
最後の一文にある「エゴ」という単語に、理想の家族像には当てはまらない、自分の家族への愛の深さが表れている気がします。
③素直になれたらな
でも若い頃はなかなかそこに気付けなかった。(p71より)
不満は顔に出やすいくせに、感謝や好意はなかなか素直に表現できない。
私のことです。
「嬉しい」「楽しい」「ありがとう」を表すこと、言葉にすることが大事なことだってわかっている。
でも、これが意外と難しい。
本当に感謝している人に、面と向かって「ありがとう」と言う。
照れくさかったり、「ありがとう」なんて言葉には収まらなかったり、このハードルは高いです。
どうでもいいと思っている人には案外さらりと言えたりするのに、人間って難しい生き物ですね。
④友達の彼氏に教えられる、少々入り組んだ女心
「彼氏のバンドがライブするから見に行こう」と誘われて、行った会場には観客が十五人。「あれ、リハーサルかな」と思うような寒々しい光景につい安堵。
友達の彼氏が素敵な男ではなく、少し残念な男であるほど安心する。それもまた、今も昔も変わらない女心でございます。
かといって、友達の彼氏が残念すぎる男だと、それはそれでまた気になるもの。(p88~89)
ごめんなさい、最後の二文に私の本音も集約されています。
この文章に共感したことで再認識します。私やっぱり女だなぁって。
友達の彼氏が完璧すぎると「なんかおもしろくないなぁ」と思っちゃうし、やばめな男だと「えー、最悪。別れちゃえば?」とか本来他人の付け入る隙のないはずのことにまで口を出しちゃうし。
ウワサ話が大好きな女の子の習性(もちろんそうではない人もいるはず)は、衰えることを知りません。
このエッセイを読んで思いました。
あぁ。このゴシップ好き、死ぬまで治んないだろうな。
でも、「あーだこーだ」と言っている時間がとびきり楽しいのもまた事実なのです。
⑤つらいときは汚物になろう
ズドンと落ちる時は「何のために生きてるんだろう」なんて急に自分の存在意義まで考え始めたりして。
そんな時はとことんダメ人間になるのが佳代子流の対処方法。ノーメイク、ノー風呂、ノーブラで、思い切り一日ダラダラ。食事は乾燥ワカメをぶっ込んだ素うどんのみ。作るのも面倒なら、もう咀嚼すらしたくないから。
思考も体の機能も全てシャットダウン。
小腹が空けば棚の奥からいつ買ったかすらわからない化石化寸前のお菓子を発掘して貪り食い、夕方から酒を飲みそのまま就寝。
朝から晩まで汚物と化し、底辺まで堕落すると、翌日は気分がスッキリ。不思議とまた前を向き歩き出せるっていうね。 (p117~118)
私の場合、自分の存在意義まで考えてしまうことは稀なのですが、何もかも面倒くさくなることはたくさんあります。まぁ、基本全部面倒くさいんですけど。
でも、「そういう日があったっていいじゃない」
この文章を読むだけで、そう思えてくる。
仕方ない、生きるためだもん。時々の堕落は悪いものではないはず。
「つらい……」
「泣きたい……」
「めんどくさい……」
そんな皆さん。明日の自分のために、今日は汚物になりましょ?
いかがでしたでしょうか。
今回ご紹介したもの以外にも、本書には笑えてちょっと泣けて「また頑張ろう!」「いや頑張らなくてもいいや!」と思えるエッセイがいっぱい。
妙齢女子にこだわらず、いろんな人に読んでほしい一冊です。
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