食品業界

ロッテの担当者に聞いた「ラミー・バッカス」の人気の秘密

寒くなると同時にコンビニやスーパーなどに並び始めるのが「冬季限定のチョコレート」。お酒を使っている冬限定の商品も多く、ちょっと贅沢な気分になるので大好きです。見かけるとつい買ってしまうという方も多いのではないでしょうか?
今回はそんな冬季限定の洋酒入りチョコレートの中でも大人気の「ラミー・バッカス」のブランディング・広報について、株式会社ロッテのブランド担当者の方にインタビューさせていただきました!

 

記事の前半は、ラミー・バッカスのこだわりや2020年度の商品・パッケージデザインのリニューアルについてなど、商品の話を。後半は、リーマンショックによる就活氷河期の直前に就活をしたブランド担当者の方に、就活についてお聞きした話をお届けします。就職の話は、今の社会とものすごく状況が似ていると感じたので、大学生のみなさんは必見です!

ラミー・バッカスについて

―ラミー・バッカスの商品コンセプトは?
発売当初から変わらないのは「大人のための洋酒チョコレート」です。バッカスは、もともとチューイングガムからはじまったロッテがチョコレートに進出した1964年に、ラミーは翌年の1965年に、個性派チョコレートとして発売されました。洋酒入りチョコレートは当時の一般流通菓子としてはめずらしく、後発チョコレートメーカーとして、他社にない商品コンセプトで、男性や甘いものが苦手な人にも支持されました。 

発売当時のバッカス

 

―商品のこだわりを教えてください。
ラミーの特徴はレーズンとチョコの両方からラム酒の風味が香ることです。レーズンだけでなく生チョコレートにもラム酒を使っているので、ラムレーズンから染み出るお酒の風味とそれを受け止める生チョコレートの両方で、みずみずしいラム酒の芳醇な香りを感じられます。


バッカスの特徴は中に液体のお酒ブランデーシロップが入っていることです。これは、実は技術的にすごく難しいことなんですよ。お酒が入っているチョコの代表として「ウイスキーボンボン」がありますが、商品によっては砂糖で殻を作ってその中にお酒を入れています。そのため、食べた時に砂糖のじゃりじゃりとした触感が残ってしまうんですね。バッカスは、チョコレートにダイレクトでお酒を入れて滑らかな口当たりを実現させることにこだわっています。余計なものを入れないことで、チョコレートとブランデーの風味のマリアージュをより楽しむことができるんです。また、使っているブランデーも1種類ではなく、複数の種類をブレンドして、チョコレートに合わせるのに最適な香りや味わいになるオリジナルのブランデーを作っています。

 

―通年で売っている方が売り上げにつながりそうですが、なぜ「冬季限定」の販売なのですか?
冬季限定にしている理由は2つあります。
 1つ目はおいしい商品をお客様に届けるためです。ラミーに使用しているラムレーズンはすごくたくさんお酒を含んでいるのですが、温度が高すぎるとそのお酒が気化して風味が落ちてしまいます。同じように、バッカスも熱に弱い商品なので、一番おいしい状態でお客様に商品をお届けできる冬季限定で販売しています。
 2つ目の理由は、冬だからこそのチョコレートのおいしさがあるからです。生チョコを食べるとしたら夏と冬のどちらのイメージがありますか?季節に合う・合わないでいうと、冬のイメージが強いと言われています。また、ラミー・バッカスは夜ご飯の後に一人で食べるという人が多いです。「自分だけのリラックスタイムのためのちょっと贅沢なスイーツとして、ふんわりとお酒が香るチョコレート」には外が寒いからこそのおいしさとがあります。

 

―1964年、65年の発売当初から、変わらないこと・変わったことは何ですか?
バッカスは、ブランデーの配合などの細かい部分は変わっているのですが、形状や特徴などは発売当初からほとんど変わっていません。逆に、ラミーは「ラムレーズンを使用したチョコレート」という部分は変わらないのですが、チョコの形状などは大きく変化しています。

発売当時のラミー

 

―確かに、ラミーは2019年まではアルミ箔に包まれた長いチョコでしたが、今年は個包装になっているというように、形状が大きく変わっていますね。
そうなんです。アルミ箔だと、開ける時にチョコがパラパラとこぼれてしまうというデメリットがありました。また、お客様にリサーチを行った結果、1本のラミーを一度に全部食べるのではなく、複数回に分けて食べている人が多いということが分かりました。食べかけのチョコをアルミで包みなおして戻すのは、衛生的に不安があります。それに何より、開けたままだとお酒が気化してしまい、チョコレートの風味が落ちてしまうんです。利便性を高めるためと、お客様に安全で美味しいチョコレートを食べてもらいたいという理由で形状を変更しました。

 

―変わった点で言うと、バッカスのトレーが紙からプラスチックになりましたよね。社会の流れは「脱プラスチック」の方向性ですが、なぜこのタイミングでデザインを変更したのでしょうか?
バッカスは中に液体のブランデーが入っているので、製造の段階で高い技術力を必要とする繊細な商品です。従来の紙のトレーだと、製造・配送の段階で崩れてしまい、廃棄になる商品が一定数出てしまっていました。今回、新たに導入した製造ラインにて紙トレーとプラスチックトレーの両方を検証しましたが、紙トレーでは品質保持に課題があったため、プラスチックトレーを採用しました。
もちろん可能であれば、環境のために紙のトレーを使用したいと思っているのですが、現状の技術力では、環境への配慮とクオリティの高い製品をお届けすることの両立ができません。苦渋の選択でしたが、お客様に安心安全で美味しい製品を届けることが第一だと考えたので、紙のトレーからプラスチックのトレーに変更しました。

―今年は14年ぶりにTVCMを制作されたとお聞きしたのですが、なぜ今年はCMを制作しようと思ったのですか?
ラミー・バッカスは、一定のファンの方がいて製品を支えてくださっているのですが、新規のお客様に届きにくいという課題がありました。今年は、その課題を克服するためにラミーの形状やパッケージデザインを変更するなど様々な施策を行いました。しかし、企業側がいくら施策を行っても、お客様が「この商品変わったんだ」「こんな商品あるんだ」という風に気がついてくれなれば、意味がありません。それを知ってもらうためにCMを製作しました。

 

―商品の広報を行う際に、意識していることはありますか?
商品にはそれぞれが持っている「世界観」というものがあります。「コアラのマーチ」など、ロッテで出しているお菓子は「楽しい、ワクワクする、元気」といったイメージですが、ラミー・バッカスはターゲット層が異なることもあり、その世界観には当てはまりません。そのため、広報活動を行う際にはラミー・バッカスの世界観を崩さないように意識しました。

 

―具体的にラミー・バッカスの世界観とはどのようなものなのでしょうか?
ラミー・バッカスは自分だけのリラックスの時間を彩り、少しリッチな気持ちになってもらうためのチョコレートです。ものすごく高級品というわけではなく、半径1m以内にあるプチ贅沢といった世界観です。広報活動などは全てこのイメージに沿って情報発信を行っています。例えば、CMに登場するタレントさんも、大人の落ち着いた女性、でも、ものすごくセレブで手の届かない人というイメージではなく、どこか自然体で親近感を持ってもらえる方を起用しました。

 

就活について

―ここからは、担当者さんのお仕事についてお聞きします。お仕事をしていてやりがいを感じるのはどんな時ですか?
何かの製品を形にしたり、難しい案件を達成したりしたときですね。日々悩みながら仕事をする毎日ですが、難しければ難しいほど達成感を覚えるというか。すんなり仕事が終わった時は、苦労がないので達成感も少ないかもしれません。

 

―日々悩みながら仕事をされているとのことですが、スランプを乗り越えるために何か意識して行っていることはありますか?
色々な案件を同時に抱えているので、やるべきことの締め切りを可視化しています。忘れるために締め切りを書いているというか。「この時までに終わらせる」というのが明確になっていたら、逆にそれまでは忘れていても大丈夫だと思うんです。スケジュール管理をしっかりすることで、個々の案件に集中するための環境を作るようにしています。

 

―これから再び就活氷河期が訪れると言われていますが、ご自身はどのような就活を行っていましたか?
僕が就活をしていた時期は、ちょうど氷河期の直前で内定切りが問題になり始めた時期なんですね。そういう点では、今と少し状況が似ているかもしれません。どんな企業もつぶれるときはつぶれるので、世の中に安定は無いと思っていました。なので、会社や世間に自分を合わせるというよりは 、自分自身の価値を高めることを意識していました。

 

―大手企業の株式会社ロッテにお勤めされていますが、最初から大手狙いで就活を行っていたのですか?
大きな企業で歯車の一部として働きたくないなと考えていたので、最初はベンチャー企業ばかり受けていました。でもある時、大人数を抱える大きな会社の中で活躍して貢献することの方が、より挑戦的で面白そうだなと考えました。

 

―実際に働き始めて、就活に関して何か考えたことや思ったことはありますか?
「経理をやりたい」「マーケティングをやりたい」という風に職種で就職する企業を選ぶのは良くないと思いました。企業で働いている以上は絶対に職種は変わります。職種で仕事を選ぶと、異動したときに働くことへのモチベーションがゼロになってしまいます。
なので、どんな仕事ができるかではなく「ここの会社で働きたいか」を意識して、就職する企業を選ぶことをお勧めします。

 

―大学生に何かアドバイスをお願いします。
今の大学生はものすごく厳しい状況にいるので大変だと思いますが、一方 すごく優秀だなと感じています。コロナで社会が大きく変わり「ニューノーマル」が生まれていますが、若い皆さんは、中年の社員よりもずっと適応力がある。実際、コロナ禍で若い人達に自由にやらせた結果、業績が伸びたという企業もあるみたいです。皆さんが当たり前だと思っていることも、企業に勤めている人からすると新しい発想だということもたくさんあります。なので、自分に自信を持って就活に臨んでください。

 

―最後に、当メディアで共通して聴いている質問をお聞きします。格好いい大人とは?
周りに良い影響を与えられる人だと思います。例えば、バリバリ出世している人がいたとして、その人と関わることで部下が成長したり、周りの人の仕事へのモチベーションが上がったりと、その人自身だけでなく、周りの人にも良い影響を与えられる人が格好いいと思います。

 

ーありがとうございました。

>株式会社ロッテ公式ホームページ

 

編集後記
 私がラミー・バッカスに出会ったのは確か高校2年生の冬。甘いチョコレートとお酒の風味の虜になったのはもちろんですが、「お酒」が入ったチョコレートは、少し背伸びをして大人の仲間入りをしているような気持ちにしてくれました。今も大好きで、課題を頑張ったご褒美で選ぶお菓子はもっぱらこれです。そんな大好きなラミー・バッカスについて取材をすることができて本当に嬉しかったです。
 お話の中で特に印象的だったのは「お客様に安全で美味しいチョコレートを食べてもらいたい」という気持ちの強さ。56年の歴史の中で色々と変化している部分はありますが、この意識が核にあるからこそラミー・バッカスは、たくさんの人に長い間愛されているんだなと感じました。
冬の風物詩として進化を続けているラミー・バッカス。裏側を知ることで益々好きになりました。きっとこの記事を最後まで読んだあなたは、今、ラミー・バッカスが猛烈に食べたくなっているはず…!さぁ、コンビニやスーパーにGO!🏃💨
 
 
ガクセイ基地で他にお菓子に関するインタビューを行った記事はこちら!
>【ねるねるねるね】日本を代表するお菓子に!/クラシエフーズ

About the author

gakuseikichi

Add Comment

Click here to post a comment

新NASA留学2024

ワーキングホリデーin Canada

医療機器業界特集

グッドデザイン特集‼

アルバイトサイト一覧

就職サイト一覧

就職サイト一覧

Contact Us