【ロングセラー商品】
身近なロングセラー商品の現担当者にお話を伺い
「どのような仕事か?」「どんな能力が必要か?」を伺うガクセイ基地インタビュー企画。
第2回は、冷凍うどんで有名なテーブルマークの「さぬきうどん」の現担当者である高橋良輔さんにお話を伺いました!
※社名、インタビュー内容等は、2018年3月時点の取材に基づきます。
麺カテゴリマネージャー
趣味やマイブーム
・家族との旅行 ・美味しいものを食べること
学生時代に打ち込んだこと
・専攻の研究 ・部活のトライアスロン
【目次】
1.看板商品を担う仕事
2.40年以上の歴史を持つ、テーブルマークのさぬきうどん
3.テーブルマークで働くこととは?
4.学生へのメッセージ
目次
看板商品を担う仕事
―本日はよろしくお願いいたします!
それでは、高橋さんが現在担当されているお仕事から教えてください。
当社の主力商品である、麺商品カテゴリーの事業戦略の策定と、マーケティング戦略の推進という仕事を行っています。
―具体的にはどんなことを行なっているのでしょうか?
マーケティング戦略の推進のために、他部門の方との調整が必要になるので、週の半分は打ち合わせや会議を行っています。どのエリアで、どの時期に売り出していくかなど戦略を立てるために市場の分析を行ったり、商品を売るにあたってどういう販売促進策を打ち出すか決めたりします。
あとは自分で市場の分析を行う事や、企画資料を作成するときもありますね。
―今まではどんな仕事を経験されましたか?
様々な業務を経験しましたね。製造のスタッフや商品開発、研究開発、品質保証、商品企画のあと、現在の仕事を担当しています。
―現在、担当されている「マーケティング」は文系中心のイメージですが、大学の専攻は理系だったのでしょうか?
もともと大学時代から将来は食品メーカーに入りたいな、と思っていたので農学部で食品の研究をしていました。
40年以上の歴史を持つ、テーブルマークのさぬきうどん
―それでは商品についてお伺いしたいのですが、以前の商品と比べてどのような改良点があるのでしょうか?
この商品が冷凍うどんの中で一番の主力なのですが、 少しずつ中も外も変わっています。例えば原料の配合はもちろん、パッケージについてもより美味しそうに感じてもらうために盛り付けのシズル感を意識したイメージを載せ、ぱっと見た瞬間にお客様が食べたいなと思ってくれるような工夫をしています。
ほかにも電子レンジのアイコンを入れて、レンジ調理を訴求しています。やはりパッケージはお客様が最初に目を触れる部分なのでどこまで訴求できるか一番力を入れている部分ですね。
―商品の変更はどのタイミングで行うのでしょうか?
調査からお客様の嗜好が変わって、こういうものが求められているという外部的な要因や、見た目をもっとつややかなものに変えられないかという社内からの要望もありました。
あるいは、原料の品質や価格は日々変動するので、原料配合や包装はそういった要因でも変わります。
―テーブルマークにおける販売を増加させるための工夫や方法について教えてください。
スープのついていない素材麺のうどんなので、お客様にいかに使ってもらえるかという部分が重要です。社会変化では、女性の社会進出によって共働き世帯が増加して、時短調理や簡単な調理の商品が求められている傾向があります。
普通、生のうどんだと茹でるのに15分程度かかりますが、この冷凍うどんなら電子レンジ調理だと約3分半で出来ます。そういったメリットを推して販売しています。
またうどんには、春夏になると販売が落ちてしまうという課題があります。
同じ麺類のラーメンに比べても落ち込みが大きく、夏の販売量を上げるためにどういう施策をすればよいのか、今はそういった部分をずっと考えています。調査によって夏の暑い時に湯を沸かすという作業が非常に負担であるということがわかりました。この冷凍うどんでは火を使わずレンジで調理ができるので、キッチンが暑くならずに調理できるという部分を押し出しています。
―他の会社の競合商品とはどのように差別化をしていくのですか。
うどんの品質はもちろんのこと、競合商品は従来のラップ包装をしている商品が多く、そういった面でも私たちが業界をリードしていきたいと考えています。
しかし、現在の市場シェアを半分以上獲得しているので、競合との差別化というよりも「市場全体をどのように広げていくか」という視点で考えています。【冷凍うどんの市場縮小】=【テーブルマークさぬきうどんの販売減少】なので、どのように冷凍うどん全体の市場を活性化させていくかが一番重要ですね。
―他に何か新しい試みなどはありますか?
去年の秋に減塩うどんという新商品を売り出しました。
やはり私たちの主力商品は冷凍うどんなので、「美味しいものしか出さない」というプライドを持って開発しています。健康志向へのアプローチはさまざまな方法があり、検討を重ねるなかで、この減塩うどんは合格点を出せる品位になったので発売しました。商品案は出るのですが、なかなかブランドを背負えるような商品にならないのが大変なところですね。
―そのような新商品が販売されるまで、どのようなプロセスを経ているのですか?
スタートは大きく2つで、市場のトレンド調査からアイデアを出すパターンと、製造技術の革新から生まれるパターンがあります。そこから、その商品に売れる見込みはあるのか、工場で製造・量産することはできるのか、設備の導入は可能なのか、などの検討を重ねていきます。
―それでは、高橋さんが考える今の仕事に対するやりがいを教えてください。
やはり麺商品カテゴリーというテーブルマークの主力事業の一端を担っているのは、非常に重責ですが、やりがいは大きいですね。中期的な戦略を立てたり、提案したりする仕事には特にやりがいを感じます。
―今の仕事で苦労されていることはありますか?
発売から40年以上の歴史がある看板商品なのでプレッシャーが大きく、失敗できない点ですね。昔から売り込んできた先輩方など様々な方面からご意見が来て、真摯に受け止めながら改善しなければならないところも大変ですね。
―失敗から学んだことや今に活きていることはありますか?
若手時代、あるプロジェクトに携わっていたとき、提案のために毎日朝から晩まで資料を集めて、データの精度をあげようとしました。しかし、結局終わらずに上司から「期限に間に合わなかったら、どれだけデータが良くても0点。100%の精度よりも納期が大事だ。」と言われたことをよく覚えてます。その経験からなんとしても期限だけは守ろうという意識は持ち続けていますね。
テーブルマークで働くこととは?
―それでは、テーブルマークの職場の雰囲気を教えてください。
部署ごとに違いはあると思いますが、様々な会社が合併した経緯があるので現親会社のJT出身者、会社の前身である加ト吉出身者や旭化成の食品部門出身者など、いろいろな歴史を持った方がいると感じます。人によって考え方が違うので、意見をぶつけ合いながらも、コミュニケーションを通じて違いを受け入れる環境です。お互いの考え方をしっかり言い合えるうえに、様々な考え方が存在する面白い職場だと思います。
あとは、食品メーカー全体かもしれないですが、女性が多いなと感じますね。私の商品企画やマーケティングの部署でも4割近くが女性です。
―仕事に対して、入社前と後で考え方が変わったことはありますか?
いろいろな部署を経験して、例えばマーケティング、品質保証、物流など、全く考えなかったことを考えるようになりましたね。本当に多くの部門の方が携わって一つの商品を作りお届けしているのだなと気づきました。事業戦略の策定にも物流等が関わってくるので、自分だけではなく他部門のことも気にしなくてはならないのだなと感じました。
―他部門というと高橋さんは最初は開発担当に携わっていたとのことですが、販売担当のマーケティング部門にきて戸惑いなどはありましたか?
開発部門の品質保証から、商品企画部門に変わった時期があって「どんな仕事なんだろう」と葛藤はありましたね。技術系で入社したのに、商品企画には営業から来た人が多かったので、全くわからないという状態でした。そこでの一番の解決策は人に聞くことですね。先輩などにどういう観点を持てば良いのか聞きました。自分で販売現場を見に行ったり、業務用商品について直接レストランのシェフに意見を聞いたりすることも行いましたが、この時が一番きつかったですね。
特に総合職だと自分が思いもしなかった部署やキャリアに配属するということがどこかで出てくるのではないでしょうか。そのとき、仕事や会社に対してどう捉えるかということが会社人生の分かれ目です。悩みはすれども新しい勉強の機会だと捉えて今後に生かすべく努力するかどうかで社会人人生が大きく変わると思いますね。
―なるほど、そのような経験があったのですね。
それではテーブルマークの職場で活躍すると思う人物像を教えてください。
まずは食べることが好きな人です。程度の差はあっても、食について自分なりの考え・こだわりがあるひとがいいですね。食に対して興味があって、どうしてそれが好きなのか、自分なりに分析してこだわりを持っているとなお良いです。食品はある意味、完全な正解がない商品なので、探求心やこだわりがあるとお客様の好みに関して柔軟に対応できるのではないかと思います。
学生へのメッセージ
―食品メーカー志望の就活生へ、メッセージをお願いします!
志望動機に関して、「その業界、会社で自分が何をしたいのか」というビジョンを具体的に持っておくことですね。自分なりのやりたいことの仮説を持っておいて、わからないことは会社説明会で直接企業の人に聞けばいいと思います!
―最後に大学生全体へのメッセージをお願いします!
学生はやはり時間があると思います。いろいろな活動はあると思いますが、自分が何に一番興味を持っていて、何を生業にして生きていくのかなと少しずつでも考えておくといいと思います。
大学の研究室、サークルやアルバイトなど人とのかかわりの中で自分の興味を基にやりたいことを見つけるというステップから始めるのがいいのではないでしょうか。
高橋さん、ありがとうございました!
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