食品業界

女性もバリバリ働ける!森永製菓が進める働き方改革とは!?

2013年に政府が女性活躍を推進しようと旗振りを始めて5年、女性が活躍できる環境づくりを目的の1つとして様々な企業で働き方改革が行われています。

とはいえ、女性と男性との間にはまだまだ仕事内容の差が存在し女性が働きやすくなったと実感を持つ女性は少数派と聞きます。その一方で、女性の社会進出が進んでいるということも聞きます。実際はどうなのでしょうか?

 

今回お話を伺ったのは、

働き方改革に率先して取り組んでいる、森永製菓株式会社です!!

 

森永製菓といえば誰でも知っていますよね?

有名な商品は「inゼリー」、「チョコボール」や「おっとっと」などです。

 

社員誰もが働きやすく、成果を出しやすくするために働き方改革を行った森永製菓。

いったいどのように環境を整えたのでしょうか?

働き方はそれによってどのように変わったのでしょうか?

 

今回お話を伺ったのは、

ダイバーシティ推進担当リーダーの藤本さんと

再雇用制度を利用して森永製菓に再入社した西田さん

のお二人です。

 

実際に制度を利用した方でないと分からないことも併せてお聞きしてきました!

 

目次
➀働きやすく成果を出しやすい制度とは、社員誰もが会社と共に成長する関係になること ―エンゼルリターン制度とテレワークの導入―
②仕事とプライベートとの両立は自分次第!
➂仕事に男女の差はない!?

 

➀働きやすく成果を出しやすい制度とは、社員誰もが会社と共に成長する関係になること —エンゼルリターン制度とテレワークの導入—

―本日はよろしくお願いします。さっそくですが、社員の方が働きやすく、成果を出しやすくするために取り組んでいることは何ですか?

藤本さん:様々ありますが、まず前提として、働く社員と会社がWin‐Winの関係であり、共に成長するということです。当社独自の制度としてはエンゼルリターン制度というものがあります。これは一度、出産・育児・介護や配偶者の転勤等で辞めざるを得なかった方が、会社と協議の上、もう一度会社に入社できるという制度です。配偶者は当社社員でも他社社員でもどちらでもかまいません。優秀な方が、何らかの事情で辞めざるを得なくなり、再度働く機会を得た時に、今までのスキルや能力を再度発揮していただくことは、本人自身のキャリアにもつながりますし、会社にとっても大変ありがたいことだと思っています。そして、この制度を利用しての再入社第一号がこちらの西田さんです。これまでも、エンゼルリターン制度を申請して辞める方はいたのですが、実際に戻ってきた方は初めてです。

西田さん:私の場合は2009年に新卒で入社した後、夫のミャンマーへの転勤により2013年に退社し、帰国後、妊娠・出産を経て2017年5月に再入社しました。

藤本さん:基本的には継続して働けるように育児関連の制度を充実させており、現在の育児休業からの復職率は100%ですが、ご家庭の事情等で辞めざるを得ない方にはこういった再入社の制度も用意しています。

 

―一度仕事を辞めたり休んだりすることに何らかの不安を抱える働く女性は多いと思うのですが、西田さんはどのように考えましたか?

西田さん:女性は特に、出産などで仕方なく仕事を休まざるを得ない状況に陥ることがあると思うのですが、それはキャリアストップではなく、何かしら自分のプラスになっていると思います。確かに、休んでいる間にビジネスで必要なスキルや「勘」のようなものが若干落ちてしまう事はあるかもしれませんが、自分自身を振り返ってみると、休んだからこそできた経験により視野を広げられた期間だったと思っています。そしてその経験を業務にどう活かすかを考えることもできました

 

―では、職場に復帰する際に悩みはありませんでしたか?

西田さん:もちろんありました。以前のように働けるのかなど色々と不安でしたね。でも、実際にやってみたら意外とすぐに馴染めました。制度や職場の環境など変わった部分は多くありましたが、知っている人も多かったですし、もし知らなくても「森永製菓の人」という仲間意識があったのですんなり馴染めたのだと思います。新しい会社に初めて入るのとは全く違うなと実感しました。そう考えると、会社の雰囲気や一緒に働く人というのは働く上で重要だと思います。子どもの都合にも合わせなければならない分、以前と全く同じ働き方とはなりませんが、これまで以上に周囲と連携を取りながら、効率的に成果を出すことにこだわった新しいスタイルで働くことができています。

 

―エンゼルリターン制度の他にも取り組んでいることはありますか?

藤本さん:2017年の4月にテレワーク勤務制度を全社に導入しました。パソコンを社外でも利用できるようにするなど通信環境を整え、時間や場所を問わず効率的に働くことができるようにしました。

 

―テレワークはどのように利用するのですか?

藤本さん:前日に上司宛に「何時から何時にこの仕事をやります」といった内容をメールで連絡します。そして、その日の仕事が終わった後に、どんな仕事をしたのかについて、メールで報告するという仕組みです。

 

―テレワーク導入にあたり、問題はなかったのでしょうか?

藤本さん:実際、物理的な距離が離れることで勤務実態をつかみづらくなるのでは、といった議論もありました。しかし、そもそも同じ空間にいたからといって、上司が部下の勤務実態をすべて把握するのは難しいわけですから、そう考えれば、制約がなければもっと成果が出せるという人の制約を取ることの方が、よほど会社にとって有意義ではないか、ということで導入に至りました。

 

―時間と場所に縛られないというのは利用しやすそうですね。

西田さん:そうですね。自立的な働き方ができることを前提に、基本的には社員の意思を尊重してもらえますし、テレワークを利用するための特別な申請も必要ないので、とても利用しやすいです。また、時間や場所を含め、成果の出し方を自分で決めるということは、より生産性を上げて「成果」を出すためのセルフマネジメントが求められているということなので、より「生産性」や「成果」に対する意識が高まりました。

 

―実際に行ったテレワークの活用事例を教えてください。

西田さん:子どもが体調を崩してしまった時は、病院に連れて行き、医師の承諾を得てから保育園に連れて行く必要があります。ただ、そこから会社へ行くとなると通勤時間がもったいないんですよね。そんなとき、テレワークを活用すると通勤時間の往復2時間を業務に費やせ、フルタイムと同じ時間働くことができ、とても便利さを感じました。

藤本さん:私は、コミュニケーションを取りながら進める仕事は会社で、考える仕事は自宅や図書館で一気に進める、というように、業務の種類によって場所を変えたりしています。

 

―テレワークは、必ずしも子育てに使われるわけではないのですね。

藤本さん:こういった制度は対象を限らない方が良いと思っています。なぜなら、対象を限ると皆にとって自分事にならないからです。例えば、「育児をしている人限定」などにしてしまうと、「時間を効率的に使うべきは育児をしている人たちだけだ」という偏見が生まれてしまいます。一方、全員が利用可能とすると、全員が当事者意識を持ちながら、制度を有効活用し、より効率的に働くことを考えるようになります。効率的に働く環境で成果をあげ、社員誰もが会社と共に成長していく、こうした関係が大事だと思っています。

 

―こういった様々な取組みが「プラチナくるみん」の認定につながったのですね。

藤本さん:そうですね。これまでの継続的な働きやすさ、成果の出しやすさへの取り組みが認められ、2017年9月には「プラチナくるみん」の認定を取得することができました。

「くるみん」とは!
 「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。次世代育成支援対策推進法に基づき、一般事業主行動計画を策定した企業のうち、計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、申請を行うことによって「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができます。     
 この認定を受けた企業の証が、「くるみんマーク」です。平成29年3月末時点で、2,695社が認定を受けています。
 さらに、平成27年4月1日より、くるみん認定を既に受け、相当程度両立支援の制度の導入や利用が進み、高い水準の取組を行っている企業を評価しつつ、継続的な取組を促進するため、新たにプラチナくるみん認定がはじまりました。平成29年3月末時点で、118社が認定を受けています。
(厚生労働省のHPより引用)

 

②仕事とプライベートとの両立は自分次第!

―西田さんは今、仕事とプライベートを両立できていると思いますか?

西田さん:そうですね。私の場合、子どもの世話だけで1日を過ごすと、24時間、誰かに合わせて動かなければいけなくなるので辛くなるんです。でも、仕事と子育てを両立することによってメリハリがつき、どちらにも全力投球できます。仕事とプライベートが、相互に精神安定剤となり、着火剤にもなっているように思います。

 

―仕事とプライベートを両立させるために、何か心がけていること、やっていることはありますか?

西田さん:自分の意思を持つことですね。私は、仕事とプライベートどちらにも目標や達成したいことがあるからこそ、両立ができるのだと思っています。ですので、それを自分で決めて、自分の中に持つことが大事だと思います。

藤本さん:全社的なことを言えば、仕事もプライベートも充実させながら相乗効果を生んでほしいので、プレミアムフライデーやノー残業デー、本社20時退館のように、メリハリをつけて働くための働きかけもしています

 

➂仕事に男女の差はない!?

―男女で働き方の違いは感じますか?

藤本さん:特には感じないですね。働き方については、男女というより「個」によるところの方が大きいように感じます。以前は、女性が職場にほとんどいない、といった部署もありましたが、どんどん女性の職域も拡大しているので、そういった意味でも男女の差はなくなってきていると感じます。

 

―女性ならではの苦労はありますか?

西田さん:今まで働いてきた中で、苦労したことはたくさんありましたが、女性だからその苦労があったと感じることはないですね。逆に、上司や先輩から娘や妹のようにかわいがってもらい、たくさんサポートもしていただきましたが、それは男性部下・後輩だったとしても同様だったと思います。ただ、女性ならではという面でいえば、先ほども申し上げましたが、出産の時期には否が応でも職務を離れなければならず、ブランクを埋めることへの苦労は多少はあるかもしれませんね。ただし、子どもを持ったことで発生する人間関係や暮らしぶりからさまざまなことを経験でき、これが仕事に活かせているので、マイナスには感じていません。

 

―女性だからといってこだわることはないのですね。

藤本さん:そうですね。誰もが社内外の経験を通して人間力を向上させ、それをまた仕事にも還元できたらといいと思っています。

 

―最後に、学生へのメッセージをお願いします。

西田さん:退職をしていた期間、今までの自分の人生の延長線上では出会えなかった人たちと出会い、様々な生き方を知りました。そして、それによって自分のしたい生き方が明確になりました。やはり色々なものを見ないと、自分がしたいことは分からないのだと思います。

学生のうちは自由に動ける時間がたくさんあるので、今のうちに様々な生き方や考え方に触れて、自分の所属や肩書にとらわれない「個の強み」を生み出してほしいと思います。それが、これからの社会でも大いに役に立つと思います。

 

―「個の強み」を生み出すことが大事なのですね。本日はありがとうございました!

 

 

<編集後記>

 お話の中で、「出産やそれに伴う育児休業はキャリアストップではない」とおっしゃっていたのが一番印象に残りました。なぜなら、女性である私は、家庭のことで仕事を離れる期間は、ブランクを生む期間だと考えていたからです。しかし、西田さんのお話を聞いていると、仕事から離れている間も学ぶものはたくさんあるのだと分かり、育児休業に対するイメージが改善されました。

 さらに、働く上で男女の差がないということも驚きました。将来自分が働く時には、性別ではなく自分らしさにこだわりたいです。

 藤本さん、西田さん、貴重なお話を聞かせてくださって本当にありがとうございました!

 

 

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gakuseikichi

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