食品業界

国民的お菓子「カルビーポテトチップス」のブランドを支える仕事とは?

目次

(第3回)国民的スナック菓子
「カルビーポテトチップス」

  ロングセラー商品の現担当者に「どんなやりがいや苦労があるのか?」を伺い、学生へメッセージも頂く、ガクセイ基地インタビュー企画。

  今回は、幅広い世代から支持を集めるお菓子、カルビー株式会社「カルビーポテトチップス」の現担当者である 谷澤渓介さん にお話を伺いました!

プロフィール
  マーケティング本部 ポテトチップス部で「カルビーポテトチップス」の商品企画を担当。
  マーケティングリサーチ会社に務めたのち、2016年から中途でカルビーに入社後から現職。
 
 趣味やマイブーム
・学生時代から続けているサイクリング
 今年の目標
・フルマラソンに挑戦すること

 

【目次】

1. 「カルビーポテトチップス」ブランドを成長させるための工夫
2. カルビーで働くこととは?
3. 学生へのメッセージ

 

「カルビーポテトチップス」ブランドを成長させるための工夫

―本日はよろしくお願いします!
さっそくですが、担当されている仕事から教えてください!

  マーケティング本部のポテトチップス部で「カルビーポテトチップス」のブランド管理・育成や新商品企画を担当するチームにいます。

  個人としては「コンソメパンチ」47都道府県のポテトチップスシリーズの九州・沖縄地区商品(2017年は佐賀「佐賀のり味」・福岡「ごぼう天うどん味」などを発売)の担当をしています。

 

―具体的にはどんな内容なのでしょうか?

  携わっている「47都道府県のポテトチップス」企画は、地元の方と一緒に商品を作るというコンセプトがあるので、今は週1回のペースで九州・沖縄に出張しています。

  あと中身の味について栃木県に開発センターがあるので、週1日はそこでの打ち合わせや試食がありますね。

  ほかにも、東京本社では商品ブランドの育成戦略の打ち合わせやデザイン会社とのパッケージデザインの検討、広告プロモーション関係の商談などを行っています。

 

―なるほど、幅広い業務があるのですね!それでは「カルビーポテトチップス」がカルビーの商品の中でどういうポジションなのか教えてください。

   商品全体の中で一番の売り上げがあるので、会社の屋台骨といえるブランドですね。

   実は、ポテトチップスブランドには定番商品季節(期間)限定の味替わり商品があります。

  定番商品は年間を通じて、店舗の棚に置いてもらいブランドとして育てますが、それだけだとお客様に飽きられてしまうほか、新しいお客様を獲得することが難しいんです。

  そのため頻繁に新しい味の商品を出すことで、購入してもらったり、ブランドとしての「鮮度」を保ったりできるように取り組んでいます。

 

―コンビニ限定や期間限定商品が多いイメージは、「ブランドの鮮度」を守るという戦略にもとづいているのですね!

  特に各都道府県の特産品や郷土料理で味づくりを行い、2017年に発売された47都道府県のポテトチップスが特徴的です。

  地元の味がポテトチップスになると、購入したことがなかった人にも「地元の味が出たんだ!」と買ってもらうきっかけになりました。

  そこから「やっぱりポテトチップスって美味しいよね!」と感じてもらい、既存の定番商品を買っていただく傾向も見えているので、お客様が楽しめる取り組みになったと思います。

 

―地元の方々に協力して頂いたとのことですが、例えばどんな方でしょうか?

  今回は特に都道府県庁などの地方自治体の方と一緒に開発を行いました。

  一緒に都道府県を代表する味のアイデア出しのワークショップから始め、試作段階では「ほんとうに郷土料理の味といえるのか?」と議論しながら、商品全体に地元らしさを出すためにご協力いただきました。

   例としては、福岡ごぼう天うどん味ですね。

  パッケージには、福岡県の伝統工芸である博多織の柄小石原焼という器の写真を使用して、福岡県の文化を表現するパッケージになっています。

  このように地元らしさを前面に出しているのが47都道府県のポテトチップス企画の特徴です。

  また、2017年から進めていた47都道府県のシリーズが全て出揃ったので、現在2周目を企画中です。

 今回は地方自治体だけではなく、一般の地元を愛するお客様と商品をつくるコンセプトがあります。実際にアイデアを応募フォームから募集して、そこから参考にしたり、実際に投稿された方に試食して頂いたりする方法を採りました。

 

―自分のアイデアが商品になるチャンスなのですね!それでは健康志向など今後の社会環境の変化にどのように対応するのか教えてください。

  ポテトチップスは、糖質・脂質・塩分のいずれも高いというイメージがあるので、その点では逆風だと思います。

  そのために「ナチュラルカルビー」という素材のおいしさを活かし、1袋のカロリーを抑えたブランドを展開して、健康ニーズにこたえています。

  ほかにも、少子高齢化や単身世帯の増加傾向は続くと思うので、容量や価格に関しても適正かどうか常に考える必要があると思いますね。

  ただ、ポテトチップスの一番の価値は食べる「楽しさ」や「美味しさ」であり、そのポテトチップスらしさを無くしてはいけないと考えています。

  特にカルビーポテトチップスでは「パリッ」という食感を重視しているので、そういった点を含めておいしさを提供したいと思っています。

 カルビーで働くこととは?

―いまの仕事内容について、やりがいを教えてください。

  ポテトチップスは年間で日本人の約5割の方に買っていただいています。ここまで世の中に知られている商品に携わること自体がやりがいだなと思います。

  一方で、それは難しさでもあって、商品の改良で日本人の5割の人に届いて喜ばれるかもしれない。逆にがっかりさせてしまうかもしれない。ブランドに対する責任感も大きい仕事ですね。

 

―責任感が大きい仕事とのことですが、今まで教訓になったことはありますか?

  この商品に限らずですが、周りの声を聞きすぎてはいけないと思います。

  「偉い人はこの意見、あの人は別の意見、だからこうしよう。」と考え、本当にお客様のためになっているのか?という視点を見失った時期がありました。

 一番はお客様がどう感じるかだと心がけていきたいですね。

 

―谷澤さんが最初にマーケティングリサーチ業界に行き、そこからカルビーに入社した理由を教えてください。

  リサーチ会社に入った理由は、マーケティングの仕事に関わりたいという学生時代からの考えからです。

  その時から将来はメーカーなど自分でマーケティングプランを考えて動かせる仕事に就きたいと思っていました。

  そこで、まずは専門性や強みを身に付けたいと思い、リサーチ会社に就職しました。

  菓子・飲料業界の市場調査やデータ分析を行い、メーカー企業と一緒に商品戦略を立てるなどの経験を積んだ上で、実際のものづくりに関わりたいと思うようになり、お菓子が好きだったことからもカルビーに入社しました。

 

―それでは、カルビーという職場はどんな雰囲気でしょうか?

  すごく風通しのいい、フラットな会社だとおもいます。

  社長室が無いので、社長がオフィスの中を歩いていて、話をすることもあります。上司との距離も近くて、何か言いにくいという雰囲気はないですね。

  基本的に、みなさん優しい方が多いので、意見や考えも言いやすいと思います。

 

―谷澤さんは中途で入社されたと伺いましたが、最初はどんな印象でしたか?

  自分がわからないことを丁寧に教えて頂いたのが印象深いです。

  チームで仕事をすることが多いので、チームワークを深めて団結しようという意識が高く、すごく仕事のしやすい職場だと感じましたね。

 

―谷澤さんご自身の仕事に対する考え方が、入社前と後で変わったことはありますか?

  仕事することは楽しいと感じますね。

  学生のアルバイトは仕事が決まっていて「やらされる仕事」が多いですが、実際に会社で働くと、自分がこうしたいと思ったことを実現できると思います。

  会社という大きな組織では、個人ではできない大きなお金を使うこともあります。自分がやりたいことを周囲を説得して、よりインパクトある仕事を実現できるのが楽しいです。

  就活が憂鬱な人もいるかもしれませんが、仕事というのは楽しいものだと私は思います。

 

―カルビーの職場で活躍する人物像を教えてください!

  まずは、視野の広い人だと思います。

  僕自身、どうしても仕事が忙しくなると、目の前の仕事しか見えなくなってしまう。マーケティングに関わらず、今後は「いかに新しい価値を生み出すか」が重要になってくると思います。

  そこで自分の仕事だけ考えるとダメで、他の業界のことや遊びのことなど、消費者目線で何が面白いかどうか考えなくてはなりません。

  そういう意味で仕事だけではなく、視野の広い人が活躍できるのではと思います。

  あと、会社に骨を埋めようとは思わない人がいいですね。

  就活して内定をもらい、その会社で働き続けようと過度に気負っている人は、会社に食わせてもらう、お世話になるという感覚になり、仕事に対して受け身になるのではないでしょうか。

  そうではなくキャリアは自分で開拓していくぞ、という思いを持つ人の方が結果に対するコミットや仕事に対する姿勢が前向きで、より成長できると思います。

 

 学生へのメッセージ

―学生時代のことを伺いたいのですが、谷澤さんはどんな学生でしたか?

  普通にアルバイトもして、ゼミの研究に取り組む学生でしたね。

  ちなみにアルバイトは果物屋でジュースを作っていました。いま振り返るとずっと食に関わる仕事はしていましたね(笑)

  夏休みに自転車で30泊31日の旅をしたりもしました。実家の神奈川から北上して、北海道の3/4周ぐらいしたところで終わりました。北海道はとても広かったです(笑)

 

―メーカー志望の学生へ、メッセージをお願いします!

  やっぱり、自分が興味を抱いている商品の「ものづくり」に携わる仕事は絶対楽しいと思います。

  新しい商品を作りたいとか、こういう商品を作りたいという熱い思いがあれば、是非その思いを行きたい企業には伝えるべきだと思います!

 

―それでは最後に、大学生全体へのメッセージもお願いします!

  視野を広く持って欲しいです!

  例えばカルビーという会社名は誰でも知っているので、就職したいと思う人が多いのは当たり前です。

  しかし、世の中に知られていないけど、すごく重要で面白い仕事はたくさんあるので、知らない企業・業界を見る視野の広さを持つと良いです。

  私がいたマーケティングリサーチ業界もあまり認知度は高くないですが、多くのメーカーにとって必要不可欠な仕事なので、その会社なりの面白さもあると私も感じましたね。


谷澤さん、ありがとうございました!

 

【カルビーポテトチップスについてもっと知りたい方はこちら!】

http://www.calbee.co.jp/potatochips/

 

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