食品業界

期待を超えるアイデアを生み出し続ける!/日清食品

【大学生から身に付ける!クリエイティブ思考 第1弾!! 】

これからの時代に必要な力とは?!でもお伝えしましたシリーズの第1弾!(まだ読んでいない方はぜひ読んでみてください!)

実際にクリエイティブな仕事をしている方からヒントを得るために、インタビューを行いました!

今回は、日清食品株式会社のマーケティング部 EC*グループ ブランドマネージャーの佐藤 真有美(さとう まゆみ)さんにお話を伺いました。

*Electronic Commerce=電子商取引

 

~生み出された無数のヒット商品~

 

―よろしくお願いします。はじめに、どういった仕事をなされているのか教えてください。

私は現在、2016年9月に開設した「日清食品グループ オンラインストア」のマーケティングを担当しています。こちらのストアの前身となる「日清 e-めんShop」というサイトが2000年の4月から存在していたのですが、商品はすべてケース単位で販売しており、配送にも時間がかかっていました。そこで、もっと手軽に日清食品グループの商品をオンラインで買っていただけるようにするというミッションのもと、2016年の3月よりEC専門チームをマーケティング部内に組織化し、新たなオンラインストアを立ち上げました。

このオンラインストアでは、すべての商品が1個単位で買えて、オーダーしてから最短で2日後には届きます。また、豊富な商品の中から欲しいものが直感的に選べるよう、サイトのデザインやレイアウトにも徹底的にこだわりました。商品の価格を押し出すのではなく、インスタグラムのように、見て楽しんでいただけるように工夫しています。

このサイトでは地方限定商品やJALの国際線機内食だけで提供される商品も買えます。

一般的にプロジェクトを進める際、すでに社内にある資産を活かし、各部署でできることを積み上げていくやり方をする企業が多いと思いますが、日清はまず先に、「2,000円以上買うと送料無料で、1個単位で買えること」といった、絶対に譲れないゴールを設定します。そして、そのゴールに向けて誰が何をすべきかを決める、というアプローチで取り組みました。生産部や物流部をはじめ様々な部署に協力してもらうため、熱意と将来像をもって説得をし、完成に漕ぎ着けました。

 

―新しいネット販売サービスの反響はどうでしたか?

反響はとてもよく、最初はアクセスが集中しサイトがダウンしてしまうほどでした。しかし、サイトも生き物のようなもので、絶えず何か話題を生み続けないと、次第にお客さまは去ってしまいます。したがって、これからもお客さまの期待や想像を超えたことを常に考えていきたいと思っています。

 

―今までで、話題になった商品の例を教えてください。

最近話題になったものとしては、「ガールズ&パンツァー」というアニメとコラボした商品があります。このアニメを知らない方もいるかもしれませんが、非常にコアなファンを持つコンテンツに目を付け商品化しました。こうしたコンテンツはマスで広告を打たなくても、ある一部のコミュニティーに情報を流すだけで、ファンのほとんどに広まるというメリットがあります。

実際にアニメに登場する砲弾を、実寸大で忠実に再現して、カップヌードルを保管できる「砲弾型ストッカー」にしました。ほかに、人気キャラクターとカップヌードルが共演したと描き下ろしのオリジナルポスターなどをつけた29,800円の商品だったのですが、限定2500セットが1日半で売り切れました。

このようなコラボ商品はファンの心をつかむことが大切なので、このコンテンツをやろうと決めたら、映画やDVDをじっくりと見てファンの気持ちになり、ツボを探して商品を企画しています。

 

―なるほど。コアなターゲットを狙ったのですね。

はい。逆に、広いニーズをターゲットにした例もあります。世界的人気のロールプレイングゲーム「ファイナルファンタジー」ともコラボしました。

歴代のプロデューサーが選んだシリーズ1から15までの最強の敵キャラをプリントし、「空腹は最強の敵だ!」というキャッチコピーでオリジナルデザインのカップヌードルを作りました。

商品開発の視点で考えたら、こんなにたくさんのパッケージを作るというのは、デザインから製造、資材管理まで本当に手間と時間がかかる”クレイジー”な取り組みです(笑)

しかしこのように手間や時間をかけることは、決して無意味ではありせん。これらの商品の購入者の約8割が20代や30代の新規ユーザーで、しかもその商品の購入後に、通常の商品を買いにオンラインストアを利用しに来てくださるお客様も多くいらっしゃるのです。

 

~当たり前だと、つまらない~

 

―若い人たちの心をつかんでいるのですね。そういったマーケティング方法はどのように生まれているのですか?

若い人たちの胃袋と心と興味を引くために、頭を若々しく柔軟に使っています。 また、新しい企画を考えるときはブレインストーミングで意見を出し合うこともよく行います。その際は、どんな意見でも「それいいね」と言い、否定しないルールを作ることで、自由な発想で面白い意見が出るように心がけています。

私たちは自社の商品のおいしさには自信を持っているので、お客さまにトライアルを促し、商品を食べてもらう機会をつくる工夫をしています。「カップヌードル お湯入れとる紙袋」もその一例です。

結構な人気アイテムです。販売価格が1枚300円の商品なので、送料を無料にするためか、即席麺など他の商品も合わせて買っていただいていることがわかりました。どんな経緯であっても、弊社の商品を食べていただく機会につながるのは非常にありがたいと思っています。

 

―日清食品の商品やイベントなどはクリエイティブなものが多いですが、どうやって生み出していますか?

日清食品ではマーケティングのほとんどを自社で考えています。広告代理店からアイデアをもらうことはあるのですが、提案をそのまま使うことはほぼありません「世の中を驚かせるようなことを考えないと意味がない。当たり前でない面白いことをやろう。」という社風があります。

先ほどファイナルファンタジーとのコラボ商品を開発したと言いましたが、最強の武器と言われているアルテマウェポンのフォークを限定でプレゼントしました。

これも一見小学生が考えそうなことですが、大人がまじめに何週間も議論を続けて考え出したものです。

 

~アイデアは努力から生まれる~

 

―そのようなクリエイティブな考え方はどのようにして身に付けていますか?

よいアイデアを思いつく能力は天性の才能のように思われがちですが、そのような才能を持つ人は本当にまれで、多くの人のアイデアは努力のたまものだと思っています。売れたものと売れなかったものを深く分析し、消費者に何が刺さったのだろう、何が刺さらなかったのだろうと、人一倍観察・研究・調査することで、面白いアイデアを生み出している人がほとんどです。

また、右脳派の人が毎回よいアイデアを出すというわけでもありません。たとえば、まじめで優秀なロジカルな考え方をする人が、すごく面白いことを考え出してきました。実はそれは、捨て案も含めてものすごい量の案を何個も何個も考えて、その中から選び抜いてきたものでした。

どんなにマーケティング経験を積んだベテランでも100%成功することはなく、失敗をしながら素晴らしいアイデアが浮かぶようになります。スタートはみんな一緒だと思います。私は、「自分の中で努力をやめたらいい案は思いつかない」ということをいつも心に留めています。

(↑クリエイティブなアイデアの例:生カップヌードル ECサイトオープニングキャンペーンで作られ大ヒットした、お湯のいらない缶入りのカップヌードル)

 

―クリエイティブな思考は努力によって身に付けられるものなのですね! 学生が今からクリエイティブ思考を身に付けるためにはどうしたらいいですか?

企業が発信をしていることに興味を持ち、小さなことでも「これは面白い!」と驚いたり感動したりできるような活き活きした感覚をずっと持ち続けるのがいいと思います。

私たちも実際に、私生活の中でも他社のマーケティングや発信される情報にアンテナを高くし、さすがだな、やられた!と思うようなものは、そのアイデアをヒントに別の形に作りかえてもっと面白くしてやろうという積み重ねをしています。

消費者のニーズがわかる人は、自分自身や自分の考え方を客観視できる人かな?という思いもあります。マーケティングにおいては、消費者が求めていなければ、いくら内輪で大うけしてもメーカーの自己満足に終わってしまいます。例えば、ラーメン好きの女性向けの商品を考えるとします。女性向けといえども、女性が日ごろから好む色やデザインをラーメンに求めているかと言えば、そうとは限りません。主観を大切にしながらも、ターゲットの立場になって何を優先すべきか考えられないと、本当のニーズから外れた商品を生み出してしまうリスクがあります。

自分を客観視できることはどの業種に行っても必要なスキルだと思います。周りのメンバーや上司から、自分は今何を求められているのだろう、この文脈からは何をするのが一番いいのだろう、と常に客観的に考えることは必要です。

 

―佐藤さん、ありがとうございました!

 

(編集後記)

面白いことを次から次へと生み出している日清食品も、何週間にもわたる議論と試行錯誤のうえでアイデアを考え出しているとわかりました!クリエイティブな力は生まれ持った才能だと思われがちですが、そうではなくて努力のたまものなのだと知り、日頃から周りのことに興味を持ち、面白いことを見つけてその理由を考えようと思いました。

 

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