休みの日の過ごし方

のっぺらの音楽を言語化してみようか

2ndアルバム『板西』が今月リリースされた。今回登場していただくのっぺらから話は少しはずれるが、この連載は今の音楽シーンの前線にいるアーティストに何かしらかの形で音楽というものを言語化してもらいたいという個人の希望から始まったものだ。だから記事の鮮度は半年経ったとしても、何か変わらない─欲を言えば不変的なものでありたいと思っている。

話を戻すと、アルバム発売のタイミングでする初めての取材だったので緊張したのだ。というのも、先ほど述べたようにアルバムというものにフォーカスを当てると、記事に不変性を持たせるのが難しくなる─誤解を恐れずに言うのであればつまらないものになるのではないかと思ったからだ。しかし、そんな不安は杞憂に終わった。なぜなら、のっぺらが何かについて話すとき(それは別に音楽に関係ないとしても)、強い力を感じるからだ。

強い力というといささかすごいもののように感じるかもしれないが、当人はなんというか。自然体そのものだ。基本的にくだらないことを話している(本当はその全編を入れたかったが、流れを考慮してかなり省くことになってしまったが)。それと同じ口調で物事の核心をつく。だから僕はワンテンポ遅れてはっとすることになる。こうなってしまうのはなぜだろうと考えた時、「音楽って結局人がやる事だからさ、全部自分としてやってく方がいいと思うんだよね。」と言った飯田さんの発言が頭をよぎった。彼らの多彩な音楽活動がのっぺらという強い力を作り上げているに違いない。

とそろそろ本編に譲りたいが、ここまで書いておいて気づいたのだが、彼らの音楽についてまだなにも触れていない。まあそれもいいか。のっぺらの音楽について具体的に語ることはどことなく野暮な気がする。ただひとつだけ確かなことは取材をした夜、あれは愛と笑いの夜だったということ。

(企画・構成・文)オヤマダ(45)
(サポート)すみ
(撮影)美羽


前よりも思い出がいっぱい詰まったアルバムになったねえ〜っていう感じです。

飯田:よろしくお願いしまーす!

のっぺら:よろしくお願いしまーす!

のっぺら(左から順に:グレート橋本 小棚木もみじ 高林 飯田裕)
2018年活動開始。ボーカルギターの小棚木もみじ、アコーディオンの高林、ドラムのグレート橋本、ベースの飯田裕による四人組。 小棚木もみじの唯一無二の歌を中心に、オルタナティブなアコーディオンと大味なリズム隊が作る、奇癖と親しみのあるバンドサウンドを、鳴らしたり鳴らさなかったりしつつ、日々人間的な成長をしてまいります。 2018年11月 1stアルバム『百丼』リリース。 2020年2月 2ndアルバム『板西』リリース。

 

─よろしくお願いします。ということで、今回はのっぺらの音楽性についてと各々の今までの活動について振り返りながら伺っていきたいと思います。さて2月5日にリリースされた2nd アルバム「板西」ですが。1stの「百丼」はのっぺらの音楽性・キャラクター性をリスナーに理解してもらうためのアルバムという印象が強くて、2ndはその音楽性をヒップホップであったりサイケであったり多様なアプローチで広げた作品という感じで、とても面白かったです。まずはメンバー各々の聴きどころを聞きたいです。

飯田:誰からいく?

もみじ:じゃあ高林さんからで!

高林:言うことなくなる前に言った方がってことか。

一同:(笑)

高林:前回のアルバムは録るのにバタバタしたのと録ったものをエンジニアの方と飯ちゃん(飯田)に任せてたところがあったんですけど、今回は録ったものをみんなでお酒を飲みながらMIXをしたので、曲ごとに個性がでてるんじゃないかなあと。あと酔っ払ってても良く聞こえるのでそこがいいんじゃないかなあ。

一同:(笑)

飯田:酔っ払ってなくてもいい感じだよ(笑)

─橋本さんはどうですか?

もみじ:はっしーのこういうの聞くのってあんまないよね(笑)

橋本:聞きどころすか?なんだろう。聞いた人次第じゃないですか。全てにおいてそうですけど。

─そうですよね…。

橋本:いいアルバムって一貫性がありますよね。今回はできた曲をぶちこんだだけなので、良くも悪くも。

飯田:確かにできた曲をぶっこんだんだけど、結果としてコンセプチュアルになってない?作詞作曲もメンバー全員でやってるけど、なぜか一貫としてる部分はある気がする。

─作詞はもみじさんが全部やってると思ってました。全然違和感がないというか。

もみじ:8割は私ですけど、他の人の持ち込みとかも結構多かったですね。

飯田:今回はメンバー全員で色々こねくり回したのでみんなで作った感があるな。

橋本:6曲目(思考モード突入)ですね聴きどころは。

飯田:あっ自分で書いた曲だからか!!

一同:(爆笑)

飯田:もみじさんの聴きどころは?

もみじ:はっしーが言ったみたいにこの曲おすすめとかは全然ないんだけど、前よりも思い出がいっぱい詰まったアルバムになったねえ〜っていう感じです。アルバム作ってるときに2人(高林と橋本)の母校とか行ったりして。ここで学生生活すごしたのかあ〜みたいなこともあって。そういうのが楽しかった!

声はでかい方がいいよね。

─1stではアコーディオンがバンドにいる特異性ともみじさんの歌声が印象的でのっぺらの特徴だと思ってたんです。それに加えて、今回のアルバムで編曲とコーラスワークもかなりこのバンドの強みだなと感じました。

飯田:コーラスワークっていうほどのものじゃないけど(笑)歌える人は歌うみたいな感じ!

もみじ:みんなおっきい声出たねえ〜みたいな感じ。

飯田:基本ユニゾンだし。キレイにやらなくてもみんなでやろうって感じは良いよね。

もみじ:レコーディングしてくれた人に「こことここの音が当たってる」って結構言われたんですけど、私達は分からなかったので、「そうですかあーこれでいいんです」ってそのままにしちゃいました(笑)

橋本:あれがコーラスワークなのか?

高林:コーラスワークって単語初めて聞いたな。このバンド内で。

飯田:はっしーも他のバンド(神々のゴライコーズ)で歌ってるし、僕と高林くんでやってるバンド(THEズズザザズ)で2人とも歌ってるからなんていうかな、みんな声が大きいよね(笑)それがコーラスワークの秘訣かもしれない。

高林:声はでかい方がいいよね。

橋本:そもそも全員主旋律歌ってるからコーラスってことにはなってねえけどな(笑)

─確かに(笑)さっきも言ったんですけどアコーディオンのサウンドがのっぺらの大きな特徴になってると思うんですが、バンドサウンドにアコーディオンを入れるっていうのは難しくないですか?

高林:元々ギタリストだったんで、その感じでやってて。入れるのはそんな難しくないかな。僕アコーディオンそんな好きじゃないけど。

─好きじゃないんですか(笑)

高林:買う前までにイメージしてた音と全然違くて。めっちゃ派手だったんですよ。

飯田:高林くんがアコーディオン始めた理由がすごい良いんだよ。高林くんが不動産屋さんで働きはじめた時に、土日が休みじゃないからもうバンドは出来ないと思って1人で完結する楽器を始めようと思ったんだよね。それでアコーディオンって伴奏とメロディーと同時にでて、なおかつ口も空いてるから歌えて。これで完結するぞって思って始めたんだよね。

─不動産屋さんが理由だったんですね(笑)正規メンバーにアコーディオンがいるのって面白いなあ。

もみじ:さあ正規メンバーかどうかな??買いかぶりすぎでは?

高林:一応正規メンバーなんですけど。

一同:(笑)

もみじ:たまたま仲良くなった人がアコーディオンの人で良かった。これが三味線だったら三味線がいるバンドになってかもしれない。

一同:(笑)

人生って限られた時間しかないなあって思うようになって。そんな時にはじめたのがのっぺら。

─次に今までのメンバーの活動を振り返りたいと思うんですけど。もみじさんはソロ活動をやられてますよね。のっぺらが初めて組んだバンドですか?

もみじ:わたしの弾き語りにバックバンドをつけた「小棚木もみじバンド」っていうのを一瞬やったんですけど。それは嫌だなと思ってのっぺらを結成しました。「たま」が理想なんですよね。

─たしかにのっぺらは80-90年代のあの雰囲気がでてますよね。

もみじ:バンド内のパワーバランスに優劣がないのがやっぱり良くて。それはバンドのいい所だよね、憧れてる。

飯田:「たま」もみんなで作詞作曲するしね。もみじさんは今もソロを並行してやってるよね。

もみじ:そうなんですけど、私バンドとソロを行ったり来たりみたいなのができないので、今はバンドモードかなあ。バンドの時はみんながいる!みたいなマインドでやってる。

─橋本さんも現在も神々のゴライコーズと並行してやられてますよね。

橋本:そう。僕は前からもみじと知り合いで。

もみじ:元々はっしーのことが好きで。話した時に面白くて、この人は天才で間違いない!って思ったんだよね。あっ、「間違いない!」っていう芸人さんって誰だっけ?

橋本:長井秀和ね。

もみじ:そうそう(笑)ゴライコーズは本当に好きで、今もライブ観に行ってる。

─高林さんはのっぺらのメンバーと出会うまでってどんな感じでした?

高林:好きなことバンドやってて。

もみじ:むすめと書いて娘ですか?

高林:そうだね(笑)だけどその娘にフラれて解散しちゃって。

一同:(笑)

橋本:告白したんですか?

高林:そうそう。それから1ヶ月もたたない間に飯ちゃんにバンド誘われたんだよね。そこで組んだのが「THEズズザザズ」かな。

─なるほど。そんな飯田さんは今まで色々とやられてきたと思うんですけど。

飯田:ずっとやってきたね。1番長かったのが「SEBASTIAN X」だったんだけど。それやってる最中に、俺のやりたいことはひとつのバンドでできねーよなーってなって。なんかそっから色んなバンドやってるおじさんみたいになったんだよね。で、楽しかったんだけど人生って限られた時間しかないなあって思うようになって。そんな時にはじめたのがのっぺら。

─落ち着いてきたってことですか。

飯田:一緒にやりたいなと思った人とは全部やりたかったんだけどね。まあ無理だってことに気がついて。のっぺらは1つだけですごい満足感がある。

─のっぺらだと音楽的に多様なので、メンバー全員がやりたいことをのびのびとできてる感じがしますね。

アウトローになったぜ!ぐらいで満たされちゃうような野心なら大したことないね。

─皆さんは今仕事をされながらバンド活動をされてるんですよね。

もみじ:そうですね。

─僕は今大学生なので周りに学生をやりながらバンドをやってる人達が多くて。それで結構話すのが就職するかしないかみたいな話で。

橋本:そのプライドはぶち捨てた俺たちですけど。

もみじ:あはははは(笑)

飯田:なんか就職するしないのほかにもいっぱいあると思うな。俺は高校中退してずっとバンドやってて、就職もろくにしてないけどなんとか生きてけてるから。高林くんはちゃんと就職したよね?

高林:そうですね。不動産屋さんに就職しましたね。

もみじ:(録音してるスマホを持って)だからお部屋探しは○○不動産(高林の勤務先)でお願いします!!

高林:やめてください。

飯田:まあ、でも結果としてバンドやれてるよね。

高林:みんな飲食とかで働いてるので結構時間が不規則だと思うんですけど、僕の場合は日中で仕事が終わるので1番時間の融通が効くのかな。

もみじ:子どもいるしね!

高林:子どもと奥さんには諦めてもらってるんだけど(笑)最近は帰ってこなくていいまで言われちゃった。

もみじ:あれなんだっけ?亭主元気で…。

飯田:亭主元気で留守がいい!

もみじ:そうそう!じゃあ高林さんは亭主元気で留守がいいの状態だ。

高林:そうだね。僕は大学に行ってたんだけど実家が不動産屋さんだったから、なにしても不動産屋さんに入ろうかなって思ってて。就職してて良かったなって思ったのは、他のメンバーは生きる力があるんですけど僕にはなくて。一回バカを治すためにボコボコにしてもらう必要がありましたね。

もみじ:え?ボコボコに殴られたんですか

高林:殴られてはないけど(笑)

─橋本さんは就職はどうでした?

橋本:僕は就職活動2回して絶望してやめた。

一同:(笑)

橋本:こんなめんどくせえんなら就職活動なんて出来ねえなって。社会の歯車になってくのきっちいなって。ただ経験としてやった方がいいんじゃねえかなとは思う。すぐやめればいいんだよ、嫌なら。それで就職も決めれねえような人間っていうのもダサいような。内定もらえないような奴は。

飯田:え?で結局もらえたの?

橋本:1個ももらえなかった。

─(笑)やっぱり大学生だと音楽やるか就職するかの2択しかないと考えてる人も多いと思うんですよね。

橋本:なんとなくバンドで食ってこうかなだったら働いたほうがいいよ。

飯田:むしろメンバーみんながちゃんと働いてることでうまくいってる事もあるよね。

橋本:アウトローならアウトローでいいですけどね。アウトローになったぜ!ぐらいで満たされちゃうような野心なら大したことないね。

音楽って結局人がやる事だからさ、全部自分としてやってく方がいいと思うんだよね。

高林:なんか色々話が飛んじゃってるけど、大丈夫かな?

─のっぺらの雰囲気が出てていいんじゃないですか(笑)ではまとめとして飯田さん今後の目標とかありますか?

飯田:精一杯生きる。

一同:(笑)

飯田:うーん。音楽と仕事を切り離す必要は無いなと思ってて。仕事は仕事、音楽は音楽じゃなくてどっちもやってく内に繋がっていくと思う。全部繋がっていった方が健全だと思うしね。音楽って結局人がやる事だからさ、全部自分としてやってく方がいいと思うんだよね。

もみじ:うるせえな!!!

飯田:またこうやってうるせえなっていう人がいるのもなんかいいよね。

もみじ:高林さんはどう思いますかあ?

高林:ん?なんの話だっけ。

もみじ:ピザのチーズを増量にするか否かですよ!!!

高林:あ、あれはピザをスーパーで買ってきて….

飯田:はい終了ーーー!!

─(笑)本日は長いお時間ありがとうございました!

[のっぺら リンク]

Twitter:https://twitter.com/NOPPERA_band

Youtube:https://www.youtube.com/channel/UCBXjUs9gc6t

通販:https://kotakara.thebase.in/

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