「PLOTTER」とは、未来を計画する人や 変化を生み出す人を表す言葉。
そんな未来のPLOTTERを発掘、応援したい!という想いから、文房具を中心としたクリエイティブツールブランドのPLOTTERとガクセイ基地でコラボを行っている「未来のPLOTTER応援プロジェクト」。
このプロジェクトを通して、KOKOROISHIさんがソファを作る過程でやむなく捨ててしまっていた革をアップサイクルして作ったペンケースを発売することになりました。このペンケースをはじめとしてPLOTTER製品に欠かせない「革」。それがどのように作られているのかを知るために、ガクセイ基地メンバーのすみ、たいき、タオニーの3人は、タンナ―の見学に行ってきました!
目次
タンナ―とは?
そもそも「かわ」という漢字には「革」と「皮」の2種類がありますが、その使い分け方はご存じでしょうか?
「革」は加工されて製品となったものを指す漢字で、「皮」は動物からはがされた状態~加工されている最中の状態を指す漢字です。つまり、皮に「なめし」と呼ばれる加工を施すことで、製品としての革になるということ。
この皮をなめす作業を行っているのがタンナ―(tanner)です。
今回の記事では、皮が革になるまでの過程をだいぶ端折りながらではありますが紹介していきます!
タンナ―に皮が届く
タンナ―に届いた状態の皮は、食肉加工用の動物から副産物としてはがされただけなので、まだ耳や毛、血がついているだけでなく、腐敗防止のために塩漬けにされています。
皮を洗う、半分に裁断する
回転桶の中に皮と水、薬剤を入れて皮を洗っていきます。
この過程が終わると、付着している汚物や塩が取れて綺麗な状態になります。
タンナ―に届くのは、一頭分が一枚の皮になっている状態ですが、このままでは大きすぎてこの後の加工が大変とのことで、半分に裁断します。
表側の毛、裏側の脂肪の処理
別の回転桶に皮と薬剤を入れて回すことで、表面の毛を処理していきます。処理後の写真がこちら。
(濡れた状態の皮は水を吸っているので、女子大生が一人で持ち上げるのに苦労するくらい重い!)
毛が無くなって表面は綺麗になりましたが裏には脂肪がついているのが分かります。
次は、裏の脂肪をこそぎ取るのと皮の厚みを均等にするための機械にかけます。
後ろに見えているのが皮から取った脂肪。
山盛りです。
見た目も触り心地もソフトさきイカにそっくりでした。
タンニンでなめす
タンニンを皮にしみこませるとその成分が革の中のタンパク質と結合して、腐りにくくなる、裂けにくくなるなど皮の耐久度が上がります。
ちなみに皮をなめすのは主に「クロム」と「タンニン」の2種類があり、クロムとタンニンではタンパク質との結合の仕方が異なります。植物由来のタンニンは繊維を締めるように結合するので、靴底のようなしっかりとした革を作るのに向いていて、金属由来のクロムは革が柔らかく仕上がるので、レザージャケットのように革が伸びたほうがいい場合に用いられます。
こちらも、回転桶に皮と薬剤を入れて回転させながら、皮に薬剤をしみこませていきます。
洗浄、乾燥、皮をほぐす
ここまでの工程で様々な薬剤などを使ってきたので、皮をしっかりと洗った後に乾燥させます。
その後、回転桶で回す、振動を与える、洗濯物を干す時の要領で皮を機械で振るなど、タンナ―によって方法は様々ですが、皮を乾燥させたり、柔らかくするための加工が施されます。
一旦完成
端折った部分もありますが、ここまででこのタンナ―さんでの皮の加工は終了です。
写真は実際にペンケースに使用する皮ですが、柔らかく、表裏ともに綺麗な状態になりました。
最初に毛がついていた状態の皮と同じものとは思えない…!まさに、皮が革になる瞬間を目撃しました。
この後、この皮は別の職人さんの所に運ばれ染色されることで、商品を作るための素材として完成した状態になります。
日本における革産業の現状
今回、タンナ―見学をコーディネートしていただいたPLOTTERの斎藤さんと、KOKOROISHIの心石さんに革製品に関わる色々なお話をお聞きしました。
国内で革産業が廃れていくと機械の整備なども海外に頼ることになり、さらにコストと時間がかかるためますます産業として存続させるのが難しくなる…という負のループが生まれつつあります。
また、日本において「ものづくり」は産業全体として縮小しつつあるという状況。そのため「いつなくなるか分からないので自分の子どもには継がせられない」と考える職人さんも多く、後継者不足が深刻な問題となっているそうです。
これからは、私たち作っている側も製品のことだけでなく、それが作られている背景こそしっかり伝えていかないとなと思っています
日本の革産業を盛り上げていくために
(使っている内に味が出てくるのが革製品の良さ)
革製品の良さについてはこちらの記事でも詳しく紹介しています。
>革製品の魅力が存分に詰まったアップサイクルのペンケース【未来のPLOTTER応援プロジェクト#2】
まとめ・参加してみて感じたこと
おまけ
今回伺ったタンナ―さんでは太鼓用の革や豚革の加工もされていました。
これら↑は太鼓用の革。
こちらは豚革。日本の豚革は世界一とも言われるほど高品質でそれを作る技術があるにも関わらず、豚革特有の大きな毛穴が好かれないため、ほとんどが日本で加工されず海外に輸出されてしまうそうです。
確かに豚革の毛穴は目視できるほどに大きいですが、その分通気性が抜群なんだとか。靴の中敷きなどに使うと最高だそうです。
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