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大学生のうちに知っておきたい「地域おこし協力隊」という選択肢!

地域おこし協力隊。聞いたことがある…なんとなーく知っているという方が多いのではないでしょうか。2009年度から総務省が行っている制度です。概要を見てみましょう。 

ー地域おこし協力隊とは
都市地域から過疎地域等の条件不利地域に住民票を移動し、生活の拠点を移した者を、地方公共団体が「地域おこし 協力隊員」として委嘱。隊員は、一定期間、地域に居住して、地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR等の地域おこしの支援や、 農林水産業への従事、住民の生活支援などの「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取組。
(総務省 『地域おこし協力隊の概要』より)


えーっと、超簡単にまとめると
都市部の人が地域おこし協力員として地方に移住&働くことで地域の問題解決&活性化に貢献する(OR携わる)取り組み」ですね!
今回の記事では石川県七尾市高階(たかしな)地区で地域おこし協力隊として活動している任田和真さんに実際の活動についてお聞きしました!

 

任田和真

 

任田和真(とうだかずま)
1991年石川県小松市生まれ。教員であった両親に憧れ、保健体育科教員を目指し日本大学文理学部体育学科へ進学。学生時代はサッカー部の主将を務め、卒業後に国際NGOピースボート地球一周の船旅に参加。その後国際NGOピースボート職員として勤務し、3年間で地球2周、約50カ国を旅しながら国際協力事業に尽力した。そして結婚を機に子育ての理想の地として「能登半島七尾」と出会い2018年4月に東京都から夫婦で移住。現在は地域おこし協力隊として七尾市高階(たかしな)地区にて活動している。

 

ー地域おこし協力隊になったら何をするのですか?
任田 一言に”地域おこし協力隊”と言っても着任する自治体によって業務やミッション、雇用形態は異なります。どこで何をするかはその地域によって様々なんです。例えば農村地域であれば、農家の担い手となりその地域の農業を盛り上げたり、牡蠣やイチゴなどの特産品があればそのブランド化に挑戦して地域産業を盛り上げるとか、または市役所の臨時職員となり、市役所の業務をサポートする場合もあります。このように挙げればきりがないのですが、ひとつ共通しているのは協力隊の任期は3年間で、その後その地域に定住してもらうのがこの制度の大きな目的になります。
そんな中で僕に与えられたミッションは『移住者を増やしてください。そして移住者を定住者にしてください』でした。「えっと…そのために何をすればいいんですか?」と聞き返したのですが、「とにかく田舎を元気にしてくれ!」と具体的な業務は決まってなかったんです。(笑)

 

ーかなりざっくりとしたミッションですね(笑)アイデアを生む力が必要そうですが、任田さんは具体的にどんな事をされたのですか?
はい。そんな場合もあります。でも逆に言うと非常に自由だったので僕にとっては有難かったです。
まずは、自分が地域おこし協力隊として活動していることを地域の人たちに知ってもらう必要があると思いました。なので、消防団活動や・地域行事、地域のお祭りなど全てに参加したり、田植えや草刈り、ごみ当番など、なんでも断らずに「僕やります!」と言うイエスマンになりました。でもこんなにも自分が人から求められるのは初めてだったので単純にそれに応えるのが楽しかったですね。そうやって地域内で知り合いが増えてくると地域の人の色々な要望が聞こえてくるんです。

ー要望ですか?
はい。一番強かった意見が「小学校が廃校になってから地域で子ども達の姿がぱったりと見えなくなって寂しい」とかですね。そこで、廃校をキーワードにして何かおもしろいことは出来ないかなという話から、まずは廃校でフジテレビの”逃走中”を真似してやろう!と移住者仲間で話し合って企画したんです。その名も「廃校中 in 高階小 ~ハンターから逃げきれ~」。

 

廃校になった時は、生徒が60人くらいしかしない学校だったのに参加者が総勢で約100人!想像以上の大反響で僕らもビクビクしながら実施しましたが、なんとかケガ人を出さずに成功させることができました。こうしてまずはニュースを作って高階という地域を知ってもらうことで、移住者を増やすことに繋げようと考えていました。他にも廃校でビアガーデン、廃校で2020センチの恵方巻作り、廃校をイルミネーションしたりとかもういろいろしましたね。(笑)

 

ー任田さんは2018年度末に集落のルールやしきたりをまとめた移住希望者向けの情報誌「集落の教科書」を発行した際に、編集長を務めたとお聞きしました。どのような経緯で作成が始まったのですか?
イベント等の活動も功を奏して、移住者が何名か地域に来てくれました。でも地域に馴染めなかった、人間関係がうまくいかなかった等の理由で地域を離れてしまった方もいました。田舎って色々な決まり事だったり、独自のルールがあるんですね。例えば、草刈りには絶対参加で、出なかったら罰金があるとか、町会費が都会と比べてめっちゃ高いとか。そういう地域独自のルールって住んでる人にとったら当たり前のことだから、誰も移住者に教えてあげない。郷に入れば郷に従わないと行けないのですが、肝心の郷のルールは誰も教えてくれないんです。なのでルールを知らない移住者が知らないことが原因でトラブルになったりもするんです。
でもこういう情報って移住前に知りたいけど、Google先生に聞いても教えてくれないですよね。(笑)良いことだけを伝える情報誌はありましたが、それだとこのミスマッチは防げないので、「良いことも、そうでないことも、ちゃんと伝えたい」というコピーの元、地域の風習やルールを明文化した”集落の教科書”作成を開始しました。

「集落の教科書」ダウンロードリンク

ー集落の教科書に書いてある情報はどのように調べたのですか?
大学生のインターンを募集して、ライターとして活動してもらったのですが、75問くらいあるヒアリングシートを作成して、各9町の町会長に直接聞きに行きました。1時間の調査のつもりが3時間半かかったりしながら地道に集めました。

 

ー75問!すごいボリュームですね。
項目は大きく分けて二つあるんです。移住者が「知りたい!」という情報と、地域住民が移住者に「これだけは知っておいてほしい!」という情報です。どういう質問にすればほしい答えになるのかまで考えた、練りに練った75問です。

 

私も読んでみたのですが、挨拶周りから、お葬式、そして中学校の部活のことまで書いてあって、非常に内容の濃い一冊だと感じました!この教科書があれば移住のハードルが下がりますね。
集落の教科書をリリースしてから、1年間で3組の方が高階に移住してくれました。この教科書が「ある」ことで、高階は移住者を積極的に受け入れようとしている地域だという事が伝えられているのかな、と思います。
後は地元を離れた人が帰省した時に見て「すごい!」と感想をくれたりしたので、作って良かったなぁと思いました。

ー地域おこし協力隊になるために必要な事は何だと思いますか?
あえて言うなら「偶然の出来事を楽しめるかどうか」が大事かなと思っています。僕の活動が成功しているかどうかは別にして、僕が活動してきたほとんどのことは今振り返ると全く予想してなかったことばかりです。とにかく色んな人とコミュニケーションをとって信頼関係を築いていくと、「この人の力になりたい!」「この人が困っていることを解決したい!」と思うようになるんです。その時に普段会わない人とチームを組んだり、アイデアを出し合い、イベントを運営したりと、偶然の出来事がたくさん発生します。それを楽しめるかどうかが大切だと思います。
また、僕が持っていて良かったと思うのは、世代を問わず色々な人と話すことが出来る能力です。地域おこし協力隊の仕事って、言い換えれば「地域のなんでも屋」なんですね。そのためにはまず自分が地域の人達と円滑な関係を築かなきゃいけない。地域の人たちの要望を引き出したり、人と人とのパイプ役になったりするためには、コミュニケーションをとり、相手のことを理解しようとする姿勢が大切ですね。
何か目立つことをしなくても田舎に若者が暮らしているだけでまずは立派な地域おこしです。3年間という限られた期間での仕事ですが、たくさんの人に感謝し、たくさんの人から感謝され、やりがいが目に見える仕事だと思います。
給料や社会的な地位じゃなく、やりがいを求める若者には是非挑戦して欲しいです!共に日本を盛り上げましょう!

ー任田さんありがとうございました!
地域おこし協力隊の報酬と任期はその地域ごとに異なります。(任期は1~3年)
地域おこし協力隊として活動した後は、そのまま定住したり、協力隊での活動からヒントを得て企業したりする人が少なくありません。設定されているミッションが具体的でないからこそ、自分のアイデア・能力次第で可能性が無限な活動だと思いました。田舎に暮らして自分の能力を試すことの出来る地域おこし協力隊。人生の選択肢の一つとして、頭の片隅にいれて置くのはいかがでしょう?

 

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