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広告大手の電通が手掛ける地域創生の鍵「プレイス・ブランディング」とは

現在の日本は、若年人口の東京一極集中や少子高齢化という社会問題を抱え、2040年には「全国896の自治体で今と同じ運営は不可能」というデータもあります。【消滅可能都市-国土交通省HP】

その問題に対し、大手広告代理店の電通は従来とは違う視点で地域の魅力発信のプロジェクトを行っています。その方法は「プレイス・ブランディング」

よく耳にする「地域おこし」とはどんな違いがあるのでしょうか?電通abic project( area brand incubation core の頭文字をとったチーム名 )担当者へインタビュー取材をしました!

 

~トピックス~

1.場所に意味を持たせる「プレイス・ブランディング」
2.地域の課題解決のカギは「若者」と「コミュニティ」
3.学生へのメッセージ

 

若林宏保さん
株式会社電通のクリエイティブディレクターであり、電通abic projectのリーダー。
大学の専攻は経済学。外資系の広告会社に就職した後「マーケティング」の魅力に気づき、大学院へ進んでマーケティングを学ぶ。その後、現在の電通に入社。

 

場所に意味を持たせる
「プレイス・ブランディング」

-はじめに「プレイス・ブランディング」の言葉の意味から教えてください。
今までの県や市という地域単位ではなく、もっと自由に定義づけた「場所」を活性化していくプロジェクトです。

地理的な観点だけではなく、必ず同じテーマを持った意味の空間として価値づけします。例えば、山梨県北杜市を中心とした「水の山」プロジェクトや東急池上線沿線の「生活名所」プロジェクトですね。


-なぜ、「プレイス・ブランディング」という言葉を使い始めたのでしょうか?

この言葉を使いはじめたのは2,3年前です。

以前は「地域ブランド」と呼んでいましたが、松阪牛のように「地場産品」というイメージがあったんです。それに地域自体をブランディングするという私たちの思いも伝わりづらく、「プレイス・ブランディング」という言葉を使い始めました。

 

-「プレイス・ブランディング」には、どんな仕事があるのでしょうか?
大きく分けて ①プレイスの単位を設定 ②そのプレイスの意味づけ ③人脈づくり ④コンテンツの創出 ⑤発信活動 という5つの流れです。


①のプレイスの単位設定がまず大事です。東急池上線の例では、沿線はどこまでが範囲なのか定めます。ここで方向性を間違えると、時間的にも金銭的にも無駄になってしまうので時間をかけます。

単位を設定した後は、②の場所にどういう意味づけを行うのか「テーマ決め」です。地元の方へのインタビューなどを通じて場所の意味を考えていきます。そのテーマコンセプトを形にするため、そこにはどんな人がいるのか、③の人脈づくりが必要なんです。

既にこのテーマに基づいた活動をしている方や企業は居るのか? どうすれば民間企業に協力してもらえるのか? そうやって、いろいろな人を巻き込むほど、良いプレイスになると考えています。

その後、④場所の名産物やツアーなどコンテンツを作り出していきます。東急池上線の場合は「生活名所」というテーマに合わせて、スポットを実際の生活名所として認定したり、地元の商店街や企業と協力してイベントを行ったりしました。

⑤の段階で、来てもらうために東急池上線の1日無料キャンペーンを企画し、それに向けてSNS等でPR活動を行いました。

全体的には「共通したテーマを持つコンテンツを多数つくることで、そのプレイスが浮かび上がって完成していく。」という考え方でプランニングを行っています。

 

-実際のプレイス・ブランディングにはどのくらいの期間をかけるのですか?
まず、計画の方向性を決めるために半年から1年ほどかけています。

実際のブランディングを行うのに3年、しっかりとした実績になるには5年ほどかかりますね。そこは行政など関係者の方とも先を見据え、協力しています。

 

-この仕事に携わるやりがいを教えてください。
地元の方など、いろいろな人との出会いが多いことですね。そこで、テーマに沿ったコンテンツを上手く作り出して、喜んでくれることがやりがいです。

あとは場所の意味を見出したときですね。「この場所は、こういうテーマを設定するとぐっと良くなる!」というアイデアを見つけた時はとても嬉しいです。

 

-それでは、特に大学生におすすめのプレイスを教えてください!
特に行って欲しい場所は、瀬戸内のしまなみ海道(尾道~今治)です。

自転車でサイクリングしながら島に寄り道したり、のんびりしたり。ほかにも温泉に浸かって「多島美」のなかに自分がいるような感覚を味わえます。

あと、石川県の金沢ですね。現代的な「21世紀美術館」がある一方、昔の武家屋敷や町並みという、異なる文化が融合した素敵な場所だと思います。

また、ほかの場所に行くことで、自分の住んでいる地域や出身地を振り返り、今まで気づかなかった魅力が見つかることも楽しいですよ。

 

-温泉に浸かりながら瀬戸内海の風景を眺める…
とても粋な楽しみ方ですね。1度は行ってみたいです!

地域の課題解決のキーワードは
「若者」と「コミュニティ」

-「プレイス・ブランディング」を通じて、最終的にはどんな目的がありますか?
例えば、移住のような重い決断ではなく、「好きな場所になる」ことが目的です。

普段は都市で暮らしている人でも、地方での自分の居場所を2つ3つとつくっていく。1人1人の移動が活発で、お気に入りのプレイスを持っているような時代になればいいなと思います。

特に若者には好きな場所を増やしてほしいです! SNSがあれば、空間を越えた「つながり」が生まれます。どんどん移動して、いろいろな地域や人と繋がって、居心地の良いプレイスを見つけて欲しいです。

だから、今回は若者に「プレイス・ブランディング」のことを知ってほしく、無料献本をしています!

詳細はこちら!
(当サイトからの締切は8月20日)

-若林さんはこれからの日本の地域について、どう考えていますか?
自由な単位やテーマでプレイスを設定することが活性化への一歩ではないでしょうか。自治体や行政を中心に、もっと民間と協力して、可能性のある場所を整備していけば、この課題は解決できると思います。

 

-例えば郊外のベッドタウンなど、場所の意味が無さそうですが、どうあるべきなのでしょうか?
平日は仕事で都市部、休日は車でショッピングモールという生活習慣が出来上がっているんですよね。住んでいる地域に、家以外の居場所が無い。だからこそ「コミュニティや居場所」を求める人は多いと思います。

そこで、コミュニティを生み出すことがまず必要です。民間企業が運営する図書館の例など、話題になる施設も良いですよね。たまり場のような、規模は小さくても他の人と交流できるコミュニティは今後生まれてくると思います。

ベッドタウンの自治体は人口が多く、財政も比較的余裕があるので、実現性は高いのではないでしょうか。

 

学生へのメッセージ

-学生と社会人、若林さんはそこにどんな違いがあると思いますか?
私は正直、大きな違いは無いと思います。勉学だけではなく、極めたことや好きな分野とか趣味を持つ人が強いです。今は、自分の好きなことを学生時代に見つけて、その仕事に就くという風潮がありますね。学生時代の延長線上に社会、企業があり、それを受け入れる世の中になっていると思います。

その一方で、やっているうちの「偶然の出会い」もあります。社会に揉まれるなかで、自分の得意分野を作り出すという認識も重要ですね

私もプレイス・ブランディングに出会ったのは偶然でしたから。社内起業のように始めた仕事なので、何かを始めることに自由な社風に助けられたと思います。

 

-最後に、学生へのアドバイスをお願いします!
地域創生は、日本全体の重い課題です。その解決手段の1つとして、私たちはこの「プレイス・ブランディング」に取り組んでいます。

しかし、若年人口が減っているからこそ、みなさんが地域に興味をもって、課題に立ち向かうという意識が必要だと思います。

全般的な観点では、「無駄なこと」「自分の好きなこと」をいっぱいやってみてください!「無駄なこと」をいっぱいできるのは学生のうちだけですからね。

 

-若林さん、ありがとうございました!

 

電通abic project ホームページ

実際のプレイスブランディングを行った地域
世界に誇る「水の山」プロジェクト
「生活名所」東急池上線

「プレイス・ブランディング」に関する無料献本!
ワカモン献本のご案内
(当サイトからの締切は8月20日)

①リンク先から申込用紙をダウンロード
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③記載の有斐閣メールアドレス宛に必要情報を送信

 

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gakuseikichi

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