皆さんは「小町紅」という口紅を知っていますか?
なんとこの小町紅は江戸時代から伝わる、緑色に光る特別な化粧品なんです!
今回はそんな長い伝統を持つ小町紅の魅力を、本紅事業部 企画販売課 金治さやかさんに直接伺ってきました。
目次
そもそも小町紅とは?
‐小町紅とはどんな商品でしょうか?
小町紅は水を含ませた紅筆で、溶かして使用する口紅です。この原材料は、山形県産の手摘みのベニバナの花びらで、そこから赤色の色素を抽出しています。1000輪の花から採れる色素でも、お猪口ひとつ分程度なためとても希少です。玉虫色に輝く紅は高品質の証拠であり、職人の手作りで一つ一つ作っているんです。伊勢半本店は文政8年に創業し今では日本で最後の紅屋として伝統を守り、未来へ伝えていくことを使命に紅を作り続けています。
‐小町紅は口紅だけでなくチークやアイシャドウにも使用でき、非常に汎用性が高い商品ですよね。実際に使用したときに感じる小町紅の魅力とはどのようなところにありますか
紅の色は塗る人、筆に含ませる紅や水の量、重ねる回数によっても色が変わります。特に塗る人の本来持つ肌の色によって発色は大きく異なるんです。例えば、ある人が塗れば深紅の赤色に、他の人はヌードベージュのようなつやのある色に、また人によってはほんのりと玉虫色の輝きをはらんだ赤色の紅になることもあります。不思議なことに紅は塗った瞬間にその人に一番似合う色へと変化するんです。その変化も魅力のひとつですね。
‐これまでのお話を聞くとすごく貴重で高級な紅であることがわかります。実際に購入される方はどのような年代の方がどのような機会でご利用がされることが多いのでしょうか?
以前は、伝統的な文化に造詣の深い高めの年代の方に多く購入していただいていましたが、最近では20代の方の購入率もじわじわと伸び始めています。一筆一筆が貴重であるからこそ婚礼やお子様の七五三、ご両親の還暦祝いなど様々な節目にご利用される方が多いです。
小町紅を知ってもらうための工夫
‐長い歴史を誇る小町紅の宣伝にあたって意識しているプロモーションの工夫はありますか?
江戸時代から続く文化ですが、歴史をそのままの形で継承するだけではなく、生きた文化として多くの人に知ってもらうことが大切であると考えています。紅の中身は江戸時代からの文化を受け継ぎ変化することはありません。一方で器は伝統工芸の未来を担う若手の作家さんとコラボするなど新たな付加価値をつけていくようにしています。
‐SNSなどの広報活動で力を入れている点はありますか?
初めて小町紅を見る人は紅が玉虫色であることにびっくりすると思います。そこでできるだけインパクトのある紅を溶いているシーンを多めに使ったり、色の変化をわかりやすくしたりすることを意識しています。
実際に小町紅に触れられる紅ミュージアム
‐小町紅を広めるという点に関しては紅ミュージアムの存在が印象的です。どのような経緯でミュージアムを開館したのですか?
神保町で期間限定の資料館として始まり、終了後に復活を望むお客様の多くの声から2005年に常設の館として生まれ変わりました。自社商品だけでなく、国内外の化粧品業界全体から資料を集め展示して日本の化粧史の流れを感じられるようにしています。学芸員の努力により、いまでは昔の生活様式、流通、広報、デザインなど幅広く興味がある方に来館していただけるミュージアムになりました。
‐実際に紅を体験することができるブースもありますね。体験するときに「ここに注目してほしい!」というのはありますか?
なんといっても紅の色の変化ですね。ご自身が何色になるかだけではなく、お友達と数人で試してお互いの色の違いを楽しむのもすごくお勧めです!本当にそれぞれ似合う色に変化するんですよ。またミュージアムには外国のお客様もいらっしゃっていて、紅のつけ心地や発色を楽しんでくださっています。
最後に
‐金治さんがお仕事をしていて大変なこと、うれしかったことを教えてください。
新しい商品を開発するときには、企画から発売までに2~3年の月日がかかります。地道な素材テストからデザイン、パッケージまで商品を作り上げることは大変ですが、お客様の結婚式や七五三などの幸せのワンシーンに紅が使われているところを見るとすごくうれしい気持ちになりますね。
‐伊勢半本店様の皆様の地道な努力の積み重ねで江戸時代から続く小町紅の歴史は受け継がれているのですね。取材させていただきありがとうございました!
伊勢半本店様 ホームページ↓
https://www.isehanhonten.co.jp/
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