突然ですが、みなさんは
「美術館ワークショップ」
というものを聞いたことがありますか?
絵画や石膏など目で見て楽しむ美術館。実は展覧会だけでなく、私たちアーティストでもなんでもない一般人がアートが楽しめるワークショップも開催しているのです!
制作ワークショップではとてもリーズナブルなお値段で、本格的な道具を使って自分のオリジナルの作品が作れます。もちろん、プロの方が講師なので道具の使い方、購入場所など、制作中に気なった事はなんでも気軽に聞けます。
ワークショップは大体十数名の少人数で行われ、1日以内で終わります。非日常的な事をやってみたい人はぜひ「美術館ワークショップ」と検索してみてください!制作ワークショップだけでなく、鑑賞やディスカッションワークショップなどと形式も様々あります。事前予約をしなければならない場合が多いので、「このワークショップに参加したい!」と思ったら、主催する美術館の公式HPにて申込み参加方法が記載されているはずなので、それに従って申し込んでください。
今回は私が参加した多摩美術大学美術館主催の
「たまびの版画ワークショップ 銅版画 メゾチント講座」をご紹介させていただきます!
私は絵心がなくてもできるアート!?版画を作ってみよう。記事のために「版画」について調べていた最中にこのワークショップを発見しました。その記事で紹介した凸版と違って、メゾチントは凹版の直刻法の一つです。
凹版は凸版の真逆で、刷られる部分が凹んでいます。版一面にインクを塗り広げ、凹んだところにインクを詰めてから表面を拭うことで、刷りたいところにインクを残します。そのあとは版の上に支持体(紙など)を置いて圧力をかけることで絵を転写します。この圧力は専用のプレス機によるもので、圧力に耐えられるためにも版の素材として金属が使われます。一番知られているのは「銅版画」ですが、鉄、亜鉛、アルミニウムなども版の素材になれます。
そこで「メゾチント」はロッカー(別名:ベルソー)という道具を版の上で左右に揺らすことで格子状の溝を作る(この行為を「目立て」と呼ぶ)ことを示します。よって目立て後の版を黒インクで刷れば真っ黒な一面になります。刷る前にスクレッパーというもので刷りたい絵を削って目立ての溝を浅く、またはなくしていきます。目立てがない部分はインクが乗らず白くなり、目立ての溝が浅い部分は削られていない場合より薄くインクが刷れます。
…とかなり専門的な内容になりましたが、これが気軽に!半日で!手ぶらで!学べちゃったのです!!
必要な道具は全て美術館側が用意してくれたので、当日は参加費の1000円以外は何も持って行ってません!受付を済ませ、案内された席に座ります。机にはすでに制作道具一式が揃っています。
講師の方々が一通り作業の流れを紹介し終わったら、自分たちの制作を始めます。
まずは刷りたい絵を目立てされた銅版に削ります。私は建築家の高松伸が設計した信徒会館「能勢妙見山 星嶺」をモチーフにしました。写真の上にトレーシングペーパーをのせて絵を転写します。
銅版にカーボン紙をのせて、ひっくり返したトレーシングペーパーの上から絵をなぞります。ここでの「ひっくり返す」ステップはとても重要です!凹版は私たちが実際に削った絵の反転されたものが刷られますので文字などを含む場合はしっかりひっくり返しましょう!
削っていきます。
削り終わった直後はこんな感じです!
インクを満遍なく塗っていきます。
寒冷紗(かんれいしゃ:目が粗く薄地で硬い織布)を使ってインクを版の溝にに詰めながら余分なインクを拭き取ります。
色のトーンなども考慮して拭き終わったら、プレートマーク(銅版のエッジに作られるくぼみ)を綺麗にします。
これであとはプレスするだけです!
この専用プレス機を使って絵を転写します。
版画用紙をセットして、
板を置いて、
フェルトをのせて、
プレス機を回します!
完成です!
「き…きれい…誰が作ったんだ!…はっ、自分だ!」
もちろん作った作品(銅版含め)は持って帰れたので、まあ壁に飾りますよね(笑)。
おお~上出来~。
私は建築系の学部に所属していることもあり日常生活では「版画」に全く接しません。忙しい日々、このようなワークショップに参加した事で、ものづくりの楽しさを再確認でき、こころの余裕ができました。
趣味を探している人、気分転換に何かやりたい人には特におすすめなのでぜひ「美術館ワークショップ」に参加してみてくださいね!
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