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イノベーションを生み出すデザイン経営とは/富士フイルム

2017年には20製品。さらに2018年度は29もの製品がグッドデザイン賞を受賞した富士フイルム。なぜそんなにたくさんの良い製品を生み出し続けられるのか…?

その秘密を解明すべく、富士フイルムの「デザインセンターCLAY」に取材してきました!

 

 

製品デザインは本社と別の場所で行われているとのことで、指定された住所に向かうと…

 

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ここは本当に会社なのか?と目を疑うくらい洗練された外観の建物 。いいえ、すごいのは外観だけではありません。中も徹底的にこだわり抜かれた素敵な空間。コンクリートで作られているにも関わらず、天井が高く、さらにガラス張りで光を多く取り込んでいるので開放的な雰囲気。中にはバーのようなスペースに壁一面の本棚。

 

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一歩足を踏み入れた瞬間から、私はすっかりこのスタジオに魅了されてしまいました。なぜこんなにお洒落なデザインなのか。この建物の中ではどんなものが生まれてくるのだろう。次々とあふれ出る私の疑問に答えていただいたのは、デザインセンター長の堀切和久さん。

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堀切和久
富士フイルム デザインセンター長
多摩美術大学 卒業後、富士フイルム入社。同社のプロダクトデザインを数多く手掛け、国内外のデザイン賞を数多く受賞。代表作は初代チェキのデザイン。
2014年デザインセンター長就任後、2017年5月にCLAYデザインスタジオを西麻布に開設。2018年デザイナー初の執行役員就任。
デザインをこよなく愛すセンター長。

 

 

 

―初めまして。本日はよろしくお願いいたします。
あまりにも建物がおしゃれで驚いているのですが、この建物について教えてください。

(堀切)ここは2017年5月に新たなイノベーションを生み出す活動の拠点としてオープンした富士フイルムのデザインスタジオです。デザイナーが楽しみながら作業できるクリエイティブな環境を作りたくて、海外のデザインスタジオをイメージして設計しました。社長直下のデザインセンターとして、すべての事業部と、研究所の製品はもちろんですが、サービスやブランドなど幅広い領域のデザインをしています。

 

 

―社長直下のデザインセンターとは珍しいですね。

そうですね。実は、これは富士フイルムがグッドデザイン賞をたくさん受賞することができる要因の一つです。
外国でデザインを重要視している、いわゆる「デザイン経営」を行っている会社の業績が伸びています。デザインがその核の部分から事業に関与できるようになるので、デザイナーの私が執行役員になったことは、会社全体としてデザインを大切したいという決意の表れだと思います。

 

―デザイン経営をしている会社の業績が良くなるのはなぜですか?

デザイナーの思いが生きるからだと思います。普通の会社でデザインの提案をするときは、デザイナーが課長に上申→課長のOKがでたら、さらにそれを部長に上申→部長が最終決定という流れなので、結局上司がOKを出すデザインしか生まれない、という状況になってしまいがちです。しかし、富士フイルムではセンター長から若手デザイナーまで一緒にアイデアを出し合って一つの物を生み出しています。100人いたら100通りのアイデアが生み出され、そのバラバラな個性をすべて生かしたまま、それが一つにまとまればとても大きなものが生まれます。さらに集まるデザイナーの個性が磨かれていたら想像できないくらいすごいものが生まれます。

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―CLAYスタジオの持つ役割を詳しく教えてください。

このスタジオは「イノベーション」を生む場所です。このスペースで大学との産学共同を行って、学生の自由な発想を取り入れたり、落語の高座や音楽イベントを開催したりと、「アーティスト」から表現の仕方を学ぶ場にもなっています。

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また、デザイナーが力を最大限に発揮するために、デザインが関わってくる打ち合わせはなるべくこのスタジオで行うようにしています。企画を出したり、アイデアを提案したりと、従来のデザイナーの仕事は相手の所に行く。つまりアウェーでパフォーマンスすることが多いのですが、ここに来てもらうことは自分のホームで試合ができるのと同じ。最高のパフォーマンスが生まれやすくなります。

さらに、ここがおしゃれな建物であることも実はよいデザインを作る秘訣の一つなんです。

 

―まさかこの建物自体が良いデザインを作る秘訣…!ぜひ詳しく教えてください!

ディテールにこだわっていると、3割増しで印象が良く見えるくらい細かい部分が重要だと思っています。なので、全体的なデザインだけでなく、ピクトグラムなど、説明されないと分からないような細かい所一つ一つを徹底的にこだわってデザインしました。

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(置いてある椅子は全て違う色でした!)

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そうやってこだわったデザインのものに囲まれて過ごしていると、デザインに対するアンテナが張られるのはデザイナーだけではありません。打ち合わせに来た技術者や企画者の方もデザインの話に入りやすくなり、本質的な話ができるようになります。
さらに、会議室でやると雰囲気的に、コストを抑えたいとか予算を下げるためのデザインは…という方向に話がそれてしまいがちですが、ここでは皆がクリエイティブな気持ちになりデザインに真摯に向き合える。「場の持つ力」だと思います。

 

―場所の持つ力を最大限に利用することで、良いデザインが生まれやすい環境を作っているんですね。そんなCLAYスタジオで生みだされるのはどんなデザインですか?

ユーザーを超えるユーザー目線で、当人ですら気付いていない、ましてや言語化さえされてないような小さな不便や課題を見つけていくことで使いやすさを向上させていく「誠実なデザイン」です。
例えば、化粧水を詰め替えるときにストローの部分から中身がしたたり落ちるのは、それを不便だと思わないくらい当たり前のことになっていますよね。その小さな不便を解消させることが、私達の使命だと思っています。なので、どこがすごいのか説明されないと分からないようなデザインも多いですね。でも、実際に使っている人は違いをハッキリと感じるし、格段に使いやすくなっている。地味かもしれないけれど、とても尊いことだと思っています。

 

―富士フイルムの製品デザインは全てユーザーのことを考えて作られているので、よいデザインなんですね.

2018年度にグッドデザイン賞を受賞した29つの製品は、カメラをはじめとして医療分野、化粧品、インターフェース開発など富士フイルムが取り組んでいるほぼすべてのジャンルを網羅していました。富士フイルムが会社全体で意識してきた「ユーザーのことを大切に思う誠実さ」が評価されたと思うと感慨深いですね。ここで終わりではなく、本当にユーザーが求めているデザインはさらに進化を加えて受け継いでいきながら。新しく作るものはユーザーが求めているものをデザインする。この信念を持ち続けて、これからも富士フイルムはユーザーの言葉にならない思いを形にしていきます。 

 

―本日はありがとうございました!

 

より詳しい富士フイルムの製品デザインの工夫が知りたい方はこちら

【就活生必見】これを読めばデザイン思考のすべてが分かる!

 

 

10月31日から始まるグッドデザイン賞の受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION」会場では、
富士フイルムが今年の29の受賞デザインを紹介する特別コーナーを設けます。富士フイルムの
幅広いデザイン活動がわかる展示にぜひご注目を。

 

 

画像提供:富士フイルム

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