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CSRだけじゃない!新たな企業戦略、CSVとは?(2)

 近年、日本で浸透しつつある新たな企業戦略、CSV(=Creating Shared Value「共通価値の創造」)

 なぜ今、CSVが必要とされているのでしょうか?その背景には何があるのでしょうか?(CSVについてあまり知らない方は、概要などは前編をお読みください。)

 

イノベーションの可能性を秘めている

 CSVが多くの企業の中で提案されている理由は企業の内側と外側、双方に存在します。まず、企業の内側に関して言うと、社会の環境の変化が激しく、また素早いので、大規模かつ長期的なイノベーションを起こしづらくなっているということです。それだけではなく、時代の波に乗り遅れると、すぐに社会の中では廃れたものとなってしまうので、常にアンテナを張っていなければならないのです。

 ここで、ある前提に気づいていただきたいのですが、企業がアンテナを張って「お!こういう商品なら売れそうだ!」と考えるということは、もともと価値のあるものを取り入れたいと考えているということです。例えば、あるアーティストが流行った時には、「この曲とコラボさせたら売れそうだ!」という話になるのです。けれども最近では流行の移り変わりがとても激しく、商品化まで至る前に流行が過ぎてしまうことや、商品化されても売り上げが良いのは最初だけで、しばらくすると売れなくなってしまうことが多くなってきているというのです。あるコンサルティング会社の分析によれば、「研究開発投資をすればするほど儲からない」という結果が出ているのだそう。

 そこで生まれたのが、もう、耳にタコができるほど聞かされているCSV!笑 これはハーバード大学のマイケル・E・ポーター教授らが2011年に提唱したものです。つまりは、市場に決められたルールに「従う」のではなくて、自らルールを「創り出す」側に立つべきだということです。「共通価値の創造」という名前の理由も、これで少しは理解できたでしょうか? 世の中の目まぐるしく変わっていく価値に右往左往することなく、「これに私たちは価値を置きます!」と言って、またその賛同者や同業者を増やしていくことによって、自然とそれが一般的な価値となっていくのです。ですので、必然的に1社だけでこれを達成することは不可能です。多くの企業やNGOや政府、さらには国際機関を巻き込んで、このCSVをリードしていくことになるのです。

 

消費者・NGO・国連の後押しも

 さて、企業の外側に関しては、やはり人々の考えの変化によってこのCSVの考え方が生まれました。しかし、イノベーションと直接関係があるわけではなく、企業が共通価値にしようとしているものを人々の変化から導き出したという表現ができると思います。

 人々の考えの変化というのは、少し具体的にいうと、消費者が社会的な価値をより意識するようになったということです。「環境を汚しているものは安くても買わない」とか「価格の半分は被災地に行くなら買おう」という考えが広まってきているのです。そういった動きに連動するようにして、政府などもそういった法整備や取り組みの後押しをするようになりました。NGOなどの力が強くなってきているのも理由の一つでしょう。また、何より、国連が掲げている持続可能な開発目標(SDGs)が大きな追い風となっています。

 もちろん、そのさらに背景には、気候変動や貧富の格差拡大などの社会問題の深刻化があります。そういった背景があって、今このCSVが企業だけではなく消費者である私たちにも注目されてきているのです!

 

CSVのゴールとは

 CSVが目指すことは、私たち消費者が商品を選ぶ時に、「新しい共通価値」を意識して購入することです。

 従来、消費者が商品を選ぶポイントは、その商品の「機能」「品質」「価格」だとされていました。けれどもCSVのゴールは、この3つのポイントに「社会課題の解決」を加えようとしているのです。「省エネ大賞受賞!」なんて聞くと、とても良い商品なのだろうと想像しますよね。実際のところは、省エネというのは節電などに繋がり、消費者が直接的に得をするような仕組みになっているので買いたくなるのは当たり前のことなのですが、将来的には、消費者が得をしなくとも、「この商品のお買い上げにつき、発展途上国の子供たちに靴を送ります!」などが商品を選ぶ新しい基準になっているかもしれません。

 

最後に…

 最後に強調したいのが、CSVは1社でできることではありません。実際、CSVに取り組んでいる企業は他の企業や政府、NGOと協力して、社会的価値を経済的な価値として広げようとしています。けれども、最終的に何が価値のあるものかを決めるのは、私たち消費者なのです!私たちが環境に良いものを選ぶとき、人権に配慮したサービスを選択するときにそれは「新しい共通価値」となるのです。浸透しつつあるCSVですが、実は日本はかなりのCSV後進国だと言われています。その理由の一つは「消費者教育」だそうです。

 もし私たちが社会課題を解決したいと願うとき、あなたが買っている食べ物、洋服、サービスの裏側に何があるか、是非調べてみてください。実際、原材料を作るために大規模な森林破壊をしてできた人気カップラーメンがあります。違法木材を使った家具もたくさん購入されています。その上で、選んでみてください。

 私たちもこのCSVに参加できるのです!

 

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gakuseikichi

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