学生時代について
−大学卒業後はすぐにSANAAに勤めたとのことですが、その時はなぜアトリエ系を選択したのですか?
大学2年生に伊東豊雄さんのオープンデスクに行って、模型作りの手伝いとかをしていたんです。やり方も覚えてきて、次はお金をもらえるようなところで学んでみようと思って、ゼネコンや組織設計事務所にも色々バイトしてみました。でも最初に行った伊東さんの時のほどの楽しさやワクワクは感じなかったこともあって、かな。
あとは、ハウスメーカーやゼネコンや組織設計事務所が悪いわけでは無いけど、僕は「これは自分が設計した!」って言い張りたいし、たくさんお金を稼ぐことよりは自分で考えて自分で作ったものを世界に残したいっていう意思が強く、1から10まで全部、自分でやりたいと思ったので、アトリエ系を選びました。
−最近の学生で多いんですが、工藤さんはアトリエ系を選択した時「ブラックじゃないかな」「収入は不安定なんじゃないか」と不安になりませんでしたか?
不安はあったけど、実際ブラックかどうかって自分が好きなことをやっているかどうかだと思います。スポーツ選手とかだってと幼い頃から1日中ずっと練習してる。それと同じで、時間に拘束されているんじゃなくて、目的のためにやっていたらたまたま24時間ずっと建築のことを考えていたっていうこと。でも「そこまでエネルギーを注げられない」って自分で判断したら、割り切って5時まで仕事して帰って趣味とかに没頭してもいいと思うんですよ。自分の人生の中で仕事とプライベートのバランスはどれくらいがいいかを考える必要はあります。仕事が好きだから、もっと上を目指したいっていう目標だったり、そのためにそういう風な生活をしているだけであってそれを数値化して「ブラックだ」って言い付けるのはちょっと違うかなと思います。自分と同じようなことを強要するのは、ブラックですけどね(笑)
自分はどんなことが好きか、どんなことをしたいかを自己分析して物事の本質をちゃんとしっかりみて将来を決めることが大事です。最近はそこまでたどり着く前にいろんな情報が入りすぎて物事の本質をつけないこともあるからシンプルに自問自答するのがいいと思います。
−学生時代の「建築家」のイメージと現実は一致していますか?
学生の頃は、建築家って一人で、たくさん面白いアイデア出して進めてるイメージだったんだけど、実際はその建築家が1人で決めてるわけではないんだなって気づきました。それは僕が学んだ妹島さん、西沢さんもそうだし、スタッフがいていろんな人の話を聞いて設計を構築してまとめてるんだなって事務所に入って学びました。
でも建築家はいい意味で子供っぽいっていうイメージは一致していました。ただ学生の頃、僕が「いいなぁ」って思っていた建築家は絞られていたからかもしれませんが(笑)。妹島さん西沢さんも童心みたいなものを持っていて、その素直さや愛らしさが魅力的な建築にもつながっていて、僕もこうなりたいと思うようになりました。
Add Comment