どんな仕事があるの？　鉄道業界について知ろう！

　多くの大学生にとって、普段の通学・レジャーの移動手段として最も役立っているのは間違いなく「鉄道」ではないでしょうか。実は「鉄道会社」は鉄道の運行だけでなく、色んな事業を行っているんです！今回は、私たちの移動を支えている鉄道業界について調べました！

１．日本の鉄道業界の特徴

　日本の鉄道路線って、世界から見たら狭い国土の中で網目のようになってます。特に東京・大阪といった主要都市は数キロごとに駅があります。日本は鉄道事業が成熟していて、鉄道会社は約２００社存在していて、その路線総延長は２万７０００kmにも及びます。

　また鉄道は重要なインフラです。通勤・通学の足として常に一定の需要は存在している一方で、ビジネスやレジャーといった中長距離移動は景気の影響を受けやすいともいえます。また、社会貢献が求められていて、高い定時性、安定した輸送、より安全な対策を追い求めていかなくてはならないといった側面も存在しています。世間的には元々JRが国営であった名残や常に一定の需要が存在することなどから、安定した業界とのイメージが根強いです。

２．鉄道業界の仕事

　鉄道業界で働く人はほとんどの会社で、総合職・現業職の２つに分けられます。

総合職…普段の利用者と接する仕事ではなく、事務的な作業がメインとなる　
　経営・総務、企画、営業、不動産開発など、一般的な企業とほぼ同じ組織構成。本社で働いている人はほぼこの業種。

現業職…鉄道そのものの運転やそれを守る作業がメインとなる。
　運転士、車掌・駅員、車両保線、電気関係などが存在している。普段、私たちが駅や電車で見かける人たちはこの業種に分類される。

鉄道を運行する現場以外でどんな事業が存在するか？
・不動産事業　（東急電鉄等）
　沿線の不動産事業を行っている会社も多いです。特に東急電鉄は二子玉川や渋谷といった地区の再開発を行っていて、沿線は人気があります。商業施設やビルを建てて、賃貸業を行ったり、宅地造成をして分譲したりするなど沿線の街づくりを担っているといえます。

・沿線観光事業　（小田急電鉄等）
　沿線に存在する自然や観光地を生かして、特急列車を走らせたり、お得な切符を発売したりして、路線をアピールしていく事業です。小田急電鉄の例でいえば、ロマンスカーは新宿から箱根を結んでいます。他にも、東京メトロの「find my Tokyo」のような、あまり注目されていないような地域にスポットを当てて、宣伝・周知していくという方法もあります。　

・駅ナカ事業　（JR東日本等）
　駅の中で買い物ができる商業施設をオープンする。ただの通過点ではなく、駅で買い物をするという目的づくりをすることで、駅の利用者数を増やして、テナント料などで収益を上げていく。

・広告事業　（ほとんどの鉄道会社）
　鉄道というのは多くの人が利用しています。つまり、そこに広告を出せば、より多くの人の目に映って、結果的に注目してもらえます。車内の中吊り広告や車両の側面にデザインされている広告、最近では車内にあるテレビで字幕付きのCMを流している車両も多いです。ちなみにJR東日本の都心の混雑する路線のテレビ（トレインチャンネル）に、１５秒の広告を１週間掲載するのにかかる金額は、約４５０万円だそうです！

３．鉄道業界の動向

　都心部では、訪日外国人の増加などで鉄道利用者の数は増えつつあります。一方で、過疎化の進んだ地方では廃線が相次いでいます。また少子高齢化は避けられず、通勤通学といったそもそもの需要が減ってしまうと考えられています。そのため、各社は相互乗り入れやホームドアの設置といった利便性の向上を目指したり、沿線の再開発を行ったりして、商業施設や学校・企業などを誘致することによって「沿線価値の上昇」を目標としている会社が多いです。

　他にも豪華寝台列車や観光地への輸送に特化した列車を設定することによって、需要を掘り起こそうとする傾向もみられます。

４．鉄道業界で働くとは？

　現業職は高卒の人が比較的多く、大学を出て鉄道会社に入る人の多くは「総合職」を志望する人が多いです。安定しているというイメージや私たちの生活に深くかかわっているという側面から毎年、入社希望の倍率もとても高い業界です。

 「鉄道が好きだから鉄道会社に入りたい！」と思っていても、事業は多角化していて、運よく入社してもしばらくしたら、駅ナカ事業をやることになった…なんてことにもなります。しかし、逆に言えば街づくりや観光客の誘致など、様々な事業領域を経験できるかもしれないというのが魅力です。