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WTO、問われる存在意義【3分ニュース】

WTOがデータに関する新ルール作り(2019月1日3日(木)日本経済新聞掲載)

大学生向け新聞解説シリーズ第4弾です!

 

 

忙しい人はここだけ!
WTO(※)が初めてデータを使うビジネスの国際的なルールを作る。企業の持つ情報に国が関わるとビジネスの国際的な競争に影響を及ぼすことを懸念し、国が企業にデータの開示を求めることを禁止などする予定。
 
※WTO…世界貿易機関。貿易自由化を目指して発足した国際機関。
 
多くの国と企業が関わるこの問題に、アメリカや中国を含めた国々をどれだけ取り入れることが出来るのか…。現実的にこのルールは機能するのか…。
経済活動の中心が、モノやサービスからデータへと移行してきている現代社会で、WTOはきちんと役割を果たし、国際秩序を守れるのかが問われることになる。
 

 

 

 

前提知識

 

・アメリカと中国の摩擦

2018年から続く、「アメリカと中国の貿易摩擦」や「アメリカの中国ハイテク企業の排除」は世界に大きな影響を与えている

「アメリカと中国の貿易摩擦」とは、両国がお互いに追加で関税をかけ合っているということ。アメリカが貿易赤字を回復させるために始めたが、未だに終わりは見えていない

「アメリカの中国ハイテク企業の排除」で代表的なのが、アメリカが中国最大の通信機器企業(ファーウェイ)の製品を使用しているところとは取引を一切しないというニュース(日本経済新聞12月7日掲載)。アメリカという大国がファーウェイを排除するということは、アメリカとのつながりを維持するために他の国もファーウェイの製品を使わなくなるとうことだ。中国にとっては非常に大きなダメージなのである。

つまり、以上のようなアメリカと中国の貿易摩擦は「自分優先」であり、今までの「みんな仲良く」という暗黙のルールが崩れてきている。

その結果、経済の中心となってきているデジタル市場が無法地帯になってしまう!という状況なのだ。

 

 

・アメリカは環太平洋経済連携協定(※)を離脱している

アメリカが環太平洋経済連携協定を離脱して以来、アメリカと中国の両国に挟まれたアジアの国々は、デジタルの通商ルールの不備に危機感を高めている。

 

※環太平洋経済連携協定…TPPと略される。太平洋を囲む国々で、関税をなくして貿易を自由化しようと結ばれた協定。

 

→このため、今回の議論を主導するのは、日本、シンガポール、オーストラリアの3か国なのだ。

 

 

・WTO不要論

アメリカが特にWTOが機能していないことに対して批判している。

WTOで決められたルールが、実質的には守られていないまま世界が動いてしまっているのが現状として問題視されている。

 

→つまり、今回のデータ通商分野のルールがきちんと機能するかどうかも注目されている。

 

 

 

ポイントで記事を読む!

 

ポイント①どのようなルール?

国が企業秘密の情報などの開示を求めるコトを禁止したり、国独自の暗号を強制的に使わせることを禁止したりする。

 

ポイント②なぜこのルールが必要なのか

国同士のルールが乱され始め、このままでは経済成長の柱であるデジタル市場の秩序を維持できなくなってしまうから。

国が企業の情報に関わりすぎると、重要データの流出の恐れがある。また、企業のグローバル化に支障をきたし負担となる。

 

ポイント③アメリカと中国の立場

アメリカ

WTOの機能不全を批判し、脱退をちらつかせている。

・安全なデータビジネスの環境を作り、そこへ中国を巻き込むことには前向き。

 

中国

・国家が企業のデータ管理に強くかかわっている。

・今回のルール作りは中国が念頭に置かれている。

→中国がどう動くかはまだわからないけれど、確実に中国の参加がカギとなってくることがわかる。

 

ポイント④日本の立場

・プログラムの設計図について、国による企業秘密の開示請求を禁止することを提案した。

 →アメリカやヨーロッパも同調している。

・WTOで、シンガポールとオーストラリアと共に議論を主導している。

 

ポイント⑤このルールにより生まれる懸念

今回のルール作りで失敗すれば、「WTOは不要だ」ということが証明される一つの要素になりかねない。ルールを作り、実際に機能するかどうかが注目される。

 

 

 

まとめ

 

「皆で仲良く」の多国間主義を否定していたアメリカ、ネット空間で排他的な政策をとってきた中国、どちらもこの多国間協議に転じざるを得ないのは現代社会が背景にある。世界76憶人の約60%がネットで繋がる世界では、自国だけの規制や優遇策は機能しないということだ。

ルール作りでは、中国を抑え込むのではなく、国際ルールの世界に引き込むことが重要となる。

 

 

2018年1月3日時点の掲載記事のまとめは以上です。当記事は大学生向けに必要な情報をわかりやすくまとめたものです。数字など、より詳細な情報を知りたい方は以下を参照してください。

 

参考

日本経済新聞(2018年12月3日、12月7日、2019年1月3日)

経済ナレッジバンク

 

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