急速に需要が増えているITエンジニア。
今回は「優秀なエンジニアとは」、「企業が求める新卒エンジニアとは」を探るインタビュー特集第2弾です!
【ITエンジニア取材シリーズ】
第一弾:日本IBMのITスペシャリストが語るエンジニアの心構えとは
第三弾:ポテンシャル採用を実施するヤフーが欲しい新卒IT人材とは
今回はなんとクックパッドのCTO成田さんにお話を伺いました。
国内最大の料理レシピ投稿・検索サービス「クックパッド」の企画・運営をおこなっている。
「毎日の料理を楽しみにする」を企業理念に掲げ、料理関連のITサービスを中心に展開。2014年からは海外展開も本格化している。
好きなプログラミングに関わり続けた
—成田さん、よろしくお願いします!はじめに成田さん自身のことを伺いたいのですが、成田さんはいつ頃からプログラミングを始められたのでしょうか?
僕は小学生時代から物作りが好きで工作少年だったんですが、この頃にプログラミングもやっていたりしていましたね。
それからずっとプログラミングは好きだったので、プログラミングの道で生きていきたいと思って、高専に入り本格的に勉強していました。
—昔から好きでやられていたんですね。大学時代ではどんなことをやっていたのでしょうか?
高専に通っていたので3年からの編入だったのですが、大学も情報系の学部に所属していましたね。
学部生の時には人工知能の研究室に所属していて、電動車椅子をベースにした、自動運転のできる個人用の乗り物を作る研究などをしていました。
大学院でも割とハードウェア寄りで、テディベア型ロボットを作ったりしてたんですよ。
—成田さんは新卒でヤフーに入られたとお聞きしましたが、そこからはソフトウェアの方を?
そうですね。大学ではハードウェアに触ることが多かったですが、結局ハードウェアは開発の困難さからあまり手に馴染まなかったんですよね。(笑)
ハードウェアと違い、ソフトウェアは絶対に書いたとおりに動くというところが気に入っています。
ヤフーでは2年間勤めて、クックパッドにサービス開発エンジニアとして入社しています。
その後インフラストラクチャー部のマネージャーを務めて、2016年にCTOに就任しました。
エンジニアのリーダーシップ=影響力
—クックパッドは優秀なエンジニアが集まっているとよく聞くのですが、クックパッドで求められるエンジニアというのはどんな人材でしょうか?
リーダーシップのあるエンジニアですね。
といっても、エンジニアのリーダーシップは部下をマネージするとか、そういう話には限らないと思っています。
僕の中の定義は、どれだけ影響力があるかですね。
例えば、サービスを作っていく中で、この部分を改善したら他のサービス開発チームにも使えるんじゃないかなと思った時に、実際にそれを改善して他のチームにこれどう?って言いに行ける、といったこと。
これだって影響力の一つの形です。
書いているコードや、作っているプロダクトで、自分のチームだけでなく、周りのチームにまで良い影響を与えるっていうのが大事だと思うんですよね。
—自分の腕で周りをちょっと良くできるかどうかだと?
周りをちょっと良くできる人が増えれば増えるほど、全体がじわっと良くなるイメージなんですよ。
それで組織全体を良くしていきたいと思っているので、そういう背中で語るじゃないけど、物作りで語れる人材がクックパッドで求められる人材です。
—なるほど。そのためには自分の仕事だけ見ていてもダメそうですね。(笑)
あるものを見るためには、その周辺もちょっと見ないとダメなんですよ。
僕はインフラの部長をやっていた時は、インフラと一緒に仕事をしているサービス開発のチームや、ユーザーサポートの人たちとしっかりコミュニケーションをとらないとうまくいかなかったし、今はエンジニア全体を担当するようになったから、あえてエンジニアだけでなく会社全体を見るようにしてます。
—そういった姿勢はたとえ新人であったとしても求めますか?
規模が大きすぎる大手だったら別ですけど、今のクックパッドくらいだったら全体を把握できるサイズなので、見るようにした方がいいんじゃないかなと思いますね。
会社の中で、繋がっていない部署なんてないので。全体を把握した方がその人自身の仕事の理解につながると思います。
物作りが好きでしょうがない人と働きたい
—次にちょっと視点を変えてお聞きしますが、成田さんが一緒に働きたいエンジニアというのはどういうエンジニアでしょう?
物作りが楽しくてしょうがない人と一緒に仕事したいですね。
こういう人たちは、自分でタスクを考えてグイグイ進めることができるんですよ。
というか、ものを作ってるだけで楽しくてしょうがなかったら、だったらこれもやるべきだよねとか、自分だったらこうするよねっていうのがどんどん出てくるはずです。
高い目標を目指すためには、そういう物作りのエネルギーを持った人が必要だと思っています。
—社内の開発チームをマネジメントするときも、そういった楽しんでもらうことは意識したりしますか?
「何をやりたいか」を問うように意識してます。
結局人が成果を出せるときって楽しいことをやってるときなんですよ。
プログラミングと言ってもフロントだったりバックだったり、人によって好きな領域は違うので、目標を決めるときにやりたいことをベースに仕事を決めるようにしてます。
—そうなると、自分がやりたいことをわかっているのは大事ですね。
やりたいことが分かってる人は、今自分が何をやるべきなのか、がわかるんですよね。
自分のスキルが会社に活かせて、しかもそれが自分のやりたいことであると、みんなが言えるような状態にしたいと思ってます。
料理が楽しみになる世界が悪いはずがない
—次に会社選びについてお聞きしたいのですが、就活生がIT企業を選ぶときのアドバイスをいただけますか?
失敗するリスクどうこうで言えば、ベンチャーと大手で言ったら大手の方がリスクは少ないです。
大手には新卒を採って育てる仕組みがあるけれども、ベンチャーは待遇や労働環境においても充実している会社とそうでない会社でかなりばらつきがある。
また、事業が成功するとは限らないというリスクもあります。
一方で、その分、ベンチャーにはベンチャーにしかない緊張感のある環境や雰囲気があって、そういうのに合っている人は大手に行くより大きく成長できる可能性があります。
向き不向きや運の要素もあり、どちらが良いとは一概には言えないので、難しい問題です。
ただ、エンジニアは手に職があって転職がしやすいので、リスクをそこまで怖がる必要もないと思いますけどね。(笑)
—なるほど。それではもし、学生がベンチャーを選びたいと思ったときに、一番大事なところは何だと思いますか?
いろいろあるとは思いますが、一つは事業理念じゃないでしょうか。
その会社が何を目指して事業を立ち上げて、収益を得ようとしているのか。
その事業が盛り上がっていくとどういう風に世の中が良くなっていくのか。
そういったところに寄り添えるかどうか、ついていこうと思えるかは、会社を選ぶ際にはすごく大事。
あとは財務状況ですね。
—お金回りということですね?
一般論ですが、ベンチャーの中でも特にスタートアップは資金繰りの状況を正直ちゃんと見ておいたほうがいいと思います。
資金繰りが悪くなると、一旦事業理念で掲げたことを諦めて短期の収益を目指す方向になりがちなんです。
本当はやろうと思ってなかったことに手を出さなくちゃいけない状況になることもあるんですよ。
—事業理念に共感できるのが大事なのは、そのために頑張れたり、先ほどおっしゃった楽しく仕事することと繋がるからでしょうか?
僕はそう思いますね。
僕が転職した時期は、周りのエンジニアの多くはソーシャルゲームの会社に転職していきましたが、僕はゲーム業界が盛り上がっても世の中が今より良い方向には向きづらいのでは、と思ったんです。もちろん、いろんな解釈があるとは思いますが。
クックパッドのミッションは「毎日の料理を楽しみにする」なのですが、料理が楽しみになる世界が悪いはずがないと思ったんですよ。良いことしかないと信じられる。
どうせならその事業が盛り上がると世の中が良くなるところで時間を使いたいなと思っていたので、クックパッドを選びました。
クックパッドCTOが採用で見るモノ
—最後に、新卒採用のときに一番重視する点を教えてください。
よく「学生にも技術力を求めるのか」という話があって、結果だけ見るとうちの会社はスキルが高い人を採ってるんですけど、スキルが高い人を採ろうとしようとして採用をしていたわけじゃないんです。
今は誰でもパソコンを持ってるし、プログラミングの勉強って誰でもできるものになっていて、プロが使うような開発環境も無料で手に入るような時代なんですよね。
何が言いたいかというと、そういうような環境があるのに、やってないということは、プログラミングを好きじゃないのではって思うんですよ。
—「好きなのになんでやってないの?」って思ってしまうということですね?
はい。物作りが好きかどうか、プログラミングを好きかどうかというのは、何を作ってきたのかを見ればもうわかっちゃいますよね。
逆に、何も作ってなかったら、本当に好きとは言い難いと考えています。それをできる環境は常にそこにあるのに。
なので、新卒採用のときに高いスキル自体を求めているわけではないのですが、何を作ってきた人なのかを重視しているため、結果的にスキルの高い人を採ることが多いという状況になっています。
—好きなことがあるなら行動してほしいと。
僕が学生さんに言いたいのは、物作りを楽しんでほしいということですね。
好きなものを作るのに時間をつぎ込むってことは学生のうちがやっぱり一番できると思うので、そういう物作りを楽しむ経験をしてほしいです。
—成田さん、ありがとうございました!
〜編集後記〜
CTOの方に取材させていただけるとのことで、緊張していた私たちでしたが、気さくに接してくださった成田さん。
「学生時代は授業を聞かないで作りたいものを作ったりしていた。(笑)」とおっしゃっていましたが、本当に物作りが好きなご様子がお話を聞いていて伝わってきました。
ITはすぐに作りたいものを作れるのが利点の一つ。作りたいものに対して打ち込んで学生生活を過ごしていきたいと感じました。 成田さん、本当にありがとうございました!
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