本格的に【卒業論文】の執筆が始まると思いますが、準備はよろしいでしょうか?
前回は、卒業論文への対策として「レポート」と「論文」の違いについて取り上げました。
今回は、卒業論文の計画立てと、論文の基本構造についてお伝えします。
卒論はぱっぱと終わらせて、早く卒業旅行に行きましょう( ^_^)/
目次
卒論執筆スケジュール
下級生向けに、3年生からのスケジュールも合わせてお伝えします。
3年生12月
卒論のテーマを決める
ということは…ここまでに研究分野を決めましょう!
抽象的な概念、一般的な分野名、その分野の教科書の章や節の題名になっているようなものは避ける。
2 論争のあるテーマを選ぶ。
論争がないテーマは、追求する手がかりがなくてやりづらい。
春休み
テーマの文献調査・収集を開始
手当たり次第に集めていきましょう。
研究論文を集めたら、論文の最後にある引用、参考文献の中で、読みたいと思うものが出てくればそちらも集めていきます。
「大学で何を研究しているのか」問われる時に、焦点を絞り込んだ話ができないのでは能力が低く見られます。でも、多少テーマを見通せる状態にしておくと少し突っ込んだ話をすることができます。
1日2日調べれば十分なものが集まりますから、忙しくても、せめてネットで文献を調べ始めましょう。
4年生の5月連休まで
第2回文献調査・収集
集めた論文が参照している論文を、大学の図書館でコピーしていきましょう。
2 自分の大学にない場合、サイニィ(CiNii)で「所蔵館」を調べ、図書館を通じてコピー依頼をする。
7月8月
序章の執筆
序章は、論文全体を俯瞰する章です。
A4用紙2枚以内で、次の順序で書いてみましょう。
1 この論文で何を言いたいのか(主張)
2 なぜそれを言いたいのか、その理由と簡単な根拠(主張の論拠)
3 それを論じていく順序(章立て)
「とりあえず書いてみる」ことにより、曖昧さがはっきりしてきます。
もう一度焦らずに文献を読み直したり、友達や指導教員の頭を借りたりすることで整理していきましょう。
9月
最後の文献収集
テーマの問い直しを行い、執筆に向けて最後のテーマ修正を行います。
この時期の文献収集では、有力な著者名、専門雑誌の特集、問題になっている課題とその用語を集めていき、問題がよりはっきりと見えるようにしましょう。
夏休みが明けると、いよいよ執筆本番!
10月、11月
執筆開始
ここまできたら、正しい論文、良い論文ではなく自分らしい論文を書くことを心がけましょう。
各章ごとに書いたらプリントアウトして読み、誤字脱字などのチェックを行います。
12月
最終ステージ
引用・参考文献の整理と確認を始めます。USBなどでこまめにファイルの保存を行いましょう。
↓
提出1週間前
論文書式と形式の整理、印刷を済ませ、最終チェックを行います。
↓
提出
提出期限には厳しい大学が多いです。余裕を持って提出を完了させましょう!
論文の基本構成
卒業論文の作成には、大きく3つの特徴があります。
1 自分で問題を設定する。
2 丹念な調査、研究と、それによる裏付けが必要である。
3 定まった形式にならって書く。
具体的には、以下のような構成になります。
卒業論文の形式
1 自分の主張をまず述べる
2 その主張をしなくてはならない現状を紹介する
3 先行研究を批判的に吟味して、その問題に対する現在の論の問題点を明らかにする
4 その批判によって足場、証拠固めをして、自分の論を展開する
5 最後に自分の議論への反省を行い、今後の課題を提示する
具体的な枚数配分
卒論は、文系であればおおよそ400字詰め原稿用紙換算で100枚以上です。論文の要素を割り振ってみると、この数字は案外多くもないのです。
1枚に1行40字×30行=1200字入りますから、原稿用紙100枚は、A4用紙34枚以上となります。最低限の枚数で配分してみると、
表紙 1枚
はじめに(論文執筆の動機など) 1枚
目次 2枚
序章「主張と論展開紹介」 4枚
第1章「課題の紹介と問題提起」 6枚
第2章「先行研究の分析」 8枚
第3章「主張の詳述・分析」 5枚
終章「まとめと今後の課題」 4枚
参考資料(本文に入れると大きすぎるような資料、史料など) x枚
文献一覧(引用・参考文献一覧) 2枚
終わりに(卒論執筆後の感想、反省、謝辞) 1枚
となりますね。
前持ったスケジュール調整で、大変そうな卒業論文も無事終わらせることができそうです。
大学生活の集大成ですから、最後まで気を緩めずに完成させましょう!
参考
小笠原喜康,『新版 大学生のためのレポート・論文術』, 講談社現代新書, 2009.
石黒圭, 『この一冊できちんと書ける! 論文・レポートの基本』, 日本実業出版社, 2012.
大竹秀一, 『新版 だれも教えなかった レポート・論文書き分け術』, エスシーシー, 2017.
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